映画|ラストハザード 美しきジハード|Last Rites of the Dead

この映画の設定では、ゾンビは普通のゾンビ - 痴呆状態&強烈な飢餓感に囚われてガオーとひとを襲う、というアレでなく、病人みたいな哀れなひとたちである。死体肌のあちこちから流血し、ちからなくトボトボと歩く姿は現代のらい病患者といったありさまであり、心ないワルガキどもにヤーイといぢめられる気の毒なアンデッドたち。

ジーナ・ラムスデン演じるアンジェラちゃんは暴力カレシにダダーンと射殺された。自力で蘇生した彼女は必死で救急車を呼んだが、レスキューはピクピク動く死体を見て「またゾンビか！ヘッ」てな具合に置き去りにされる。彼女はゾンビになった。この未来ではこの疫病がアメリカじゅうに蔓延しているのだ。

アメリカ版のDVDのタイトルは『Zombies Anonymous』となっているが、これはわかりやすくていい題名である。アル中がいくのはAlcoholic Anonymous、ヤク中がいくのはNarcotics Anonymous、てわけなんで、ゾンビのみなさんがお互いに告白ごっこをしてみんなでがんばりましょうっていうサークルがZombies Annonymousなのだ。アンジェラも通ってます。

彼女の不幸な日常を描きつつ、暗黒的な近未来の風景がイントロダクションされていく。ショッピング番組では『Looks Alive(生きてるように見える！)』ていう商品がバンバン宣伝されている。ゾンビがそれを肌に塗ると、生きてる人間みたいに変われるというファウンデーション。彼女は陰気顔でテレビを見つつ、生きてるネズミをムシャムシャ食ったりする。

むやみにひとを襲わない善良ゾンビがいるのと同様に、人間のほうも善悪のグループにわかれている。ゾンビを敵愾心むきだしで襲う、ネオナチみたいな連中がいて、ヒステリックにわめく女リーダーが銃をばんばん撃ってゾンビ狩りに精を出している。オーイエーと嬌声をあげてゾンビどもをブッタ切り、さらし首にするのが彼女のお気に入り。

とくれば、ゾンビの中にも過激派が出現するのは必然であり「ゾンビが人間を食ってなにがわるい」というポリシーを標榜するサブカルゾンビ軍団が登場。アンジェラもスカウトされます。彼女は血ミドロの争いなんかやりたくないんだけど、なんだかんだと巻き込まれてしまう。ネオナチ軍団のほうには彼女を殺した元カレがいる。後半はズズガガーンとスプラッターな闘いに突入。そ、そして、最後には、終始おとなしかったアンジェラちゃんはドドドーと怒りを爆発！ガガーとハジケて、にっくき元カレに熱いお灸を据えちゃう！

※感想

設定からして普通のゾンビ映画とちがってて、最初に出てきた悲しげな顔つきのゾンビのみなさんは『Dead Creatures (2001)』のカニバリストのようでした。かわいそうで涙があふれます。これは果たしてゾンビといっていいのだろうかと思いつつ見ていったらば、後半ではゾンビはゾンビらしくガオーとなるので少し安心しました。アンジェラちゃんはかなりよかったけど、わるもんババアが単純バカのヒステリー女みたいだったのが残念でした。もっとこう、なんちゅうか、非道かつ冷血かつ狂人かつ ... みたいな極悪キャラだったらよかったのにな。

SPOILER ALERT!!!!!!
以下ネタバレ！

ラスト。

優柔不断バカ元カレのキンタマをナイフでえぐりだしてイッヒッヒ。

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