映画|La Petite Mort 2: The Nasty Tapes
『La petite mort (2009)』の続編パート2。ホステルモドキのジャーマンゴア。ウーヴェ・ボルがチョロッと出てきます。監督マルセル・ヴァルツ。2014年。
ここはドイツ。
前作『La petite mort (2009)』の拷問クラブが再登場。最初にカワイコちゃんのコンビが出てきて、「ハーイ!拷問クラブにようこそ!」とかいう。秘密クラブの紹介ビデオみたい。
クラブは同じだが、趣向は少し異なる。経営者が代わって、サディストマダムから変態男主人になった。彼は芸術家気取りで、美女に生まれ変わりたい願望に囚われている。
実際に拷問プレイをやるのはカワイコちゃんチーム。ナースとかチャイナとかいろんなコスプレ衣装で出てきて、犠牲者たちに痛いことをする。ギャーギャー。お手伝いのアンちゃんは格下扱いで、下僕のようにコキ使われている。女権体質のムードは経営者が変わっても受け継がれているようだ。
変態金持ちのお客様が入れ替わりにやってきて、あれこれと注文を出す。鼻をそいでみせよとか。シチューエーションとか。お店側は彼らのお好みを満たすセットをこしらえ、注文通りの拷問をやる。変態客はそれを見てデへへーと楽しむ。飛び入り参加も可能。
つまりイメプレである。あらゆる道楽をやり尽くした金持ち連中が最後に行き着く場所。前作においては、表向きバーという設定だったが、今回はカモを引っ張り込む手練はなしで、いきなり拷問が始まる。メイド喫茶が風俗店に鞍替えしたってかんじ。
こんな調子なので物語性などは皆無だが、クラブで働いている人たちがケンカしたり、変態主人が変態願望をしゃべったり、多少のキャラ設定はある。変態主人は最後にびっくりすることをやる。もう!きもちわるいんだから!
いろんな客がきて、いろんなプレイを要求し、いろんな趣向で人間を切り刻む。ぜんぶプラクティカルゴア。今回パート2では、オラフ・イッテンバッハがゴアメイクを手がけておらず、そこがちょっと不満だが、けっこう頑張ってる。ワインのコルク抜きみたいなのをチンコにかぶせて尿道をグリグリしたりする。痛痛痛痛痛きちがいめ。
イッテンバッハの不在を埋めるように、というほどのもんではないが、ウーヴェ・ボルが変態客役でチョロッと出てくる。彼はパソコンの前にいて、自宅でプレイを鑑賞し、あれこれと注文を出す。ンー。まさかと思ってたらやっぱり出てきやがったか!
トレイラー動画
La Petite Mort 2: The Nasty Tapes (2014) trailer
感想
前作『La petite mort (2009)』はおもしろかった。犠牲になるのが善良オノボリさんで、しかもひとりは盲目女性というところがよかったが、今回は「とにかくゴアをやりました!」という単純バカである。
イッテンバッハ不在ゆえに、パワーダウン感は否めないが、全編プラクティカルのゴア描写は思ったよりもよい。が、この種のヤツの常であるが、カメラブレブレや過剰ライティングでごまかしており、それが少しやり過ぎかなと思った。イッテンバッハもブレブレをよくやってるが、やはりどこか違う。彼がゴアメイクをやると、俳優さんのギャーギャー演技も一層に気合いが入るのかな。格の違いだろうか。
と思ったが、DVDに入っているメイキングを見たら、少し印象が変わった。メイキングでは鮮明に写っているんだけれども、それを見るとかなりよく出来ているのである。この出来なら、もう少しブレブレを抑えてもよかったんじゃないのかね。つまり、ゴアメイクの不出来というよりも、撮影/編集を指示したマルセルさんの欠点なのではないか(邪推)。
彼はおそらくPV風のカッコいいヤツをやりたかったのではないか。きっとそうに違いない。「ゴアゴア一直線でやるぞ!」と決めたものの、編集やってるうちに、『かっこいいPV風』をやりたくなってしまった。みたいな。しかも、それがあんまりかっこよくないというのが、じつにマルセルである。ぜんぶ私の想像だが、彼ならあり得る。
こんなマルセルさんは最近ボルさんとよくツルんでいて、『SEED 2 (2014)』というのをつくった。マルセルさんがボル兄貴の『SEED (2006)』の続編をつくったのである。私はそちらは未見だが、いつもtwitterでお世話になってるBavariaさんによればこうだそうで↓
マルセル君、SEED2でちょっとその作品の破綻ぶり(荒唐無稽とはちょっとちがう)がうけたのだけど、それ以来、お腹いっぱいになって距離を置いていたことを思い出しました。あの作品で感想文書けと言われたら、ちょっと困るレベル。o(TωT )o
— Bavariya (@BavariyaHonpo11) October 25, 2016
La Petite Mort2で、ボルの旦那がカメオ出演(しかも変態の客)なら観ねばならない。Σ(T皿T)ピート・バーンズを失ったかなしみを、ボルならきっと傷口に塩と辛子と酢をすり込むように癒してくれるだろう。(それって、自傷行為……)
— Bavariya (@BavariyaHonpo11) October 25, 2016
ははははは。見てないからわかんないけど、なんとなく想像できる話だ。ボルさんもマルセルさんも万事こういう調子で、なんていうのかね、永遠の中学生っていうのかね。憎めない人たちである。道端に咲いている奇形タンポポみたい人たちだよね。
tweetを追記。
ボルさんはいい顔をしているなー。人間、こうでなくちゃいかん。https://t.co/xg4UOp5LMV
— Hiro Fujii (@horrorshox) October 27, 2016
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