映画|The Life and Death of a Porno Gang セルビア版DVD
セルビアの変態キチガイ映画『ポルノ・ギャング』のセルビア国内リリース版DVDを送ってもらいました!みせびらかしエントリを書きます。
ジャジャーン!
サインをしてもらったよ!
このデザインかっこいいですね!
"TO TINKER"
"MLADEN DJORDJEVIC"
"PORN GANG"
"FOR A JAPANESE FRIEND"
"MLADEN DJORDJEVIC"
"FEBRUARY 2011"
やったぜ、イエーイイイイイイ!
Thank you! Hvala, Mladen!
Thank you! Hvala, Milan!
I treasure it!
Porn Gang rules!
この映画の内容については、以前、スクリーナーを観て書いたヤツをご覧ください↓
上のレビューを書いたときには「DVDがいつ出るかなんてわかんないヨ」という話だったですが、セルビア国内版がリリースされたということで、監督さん以下関係者一同はひと安心。他国でもそのうち出るかな。
さて、2回目の鑑賞になったら、1回目とはまた少しちがう気持ちになりましたよ。上にリンクした自分のレビューを読み直したら、ヘタクソが目について仕方がありません。でも、一度公開したものを書き直すのも不健康な話なので、あれはあれで残しておきます。1回目の感想文として。
以前観たときには、その異常さ異質さというものにあっけにとられてしまいましたが、こんどはよく観察するように観ました。
2度目の感想
この映画に出てくる変態さんたちはかなりエキセントリックであるとはいえ、わるもんではありません。数々の悲惨な出来事を経て、彼らはスナッフの道に入ってしまうのだけれど、その理由が薄ぼんやりとしていて、言葉でどう表現してもしっくりこない気がする。理由はいろいろあるんだけど、明瞭に説明し切れていないなにかがあるような。
前回観たときは、お安いインディーズ映画の常として、プロットが雑なせいであろうと思ってたんですけど、今回は少し深読みをしてみたよ。んで、こんな仮説を得ました↓
元々の話、彼らが自ら破滅の道を選んだのではなく、彼らが住んでる世界そのものが破滅しているのではないか。監督さんの頭の中には「おれたちは狂った世界に生きている」というお約束事項が既にあって、そこからすべてが出発しているのではないか。なんて。想像ですが。
変態さんたちが○○されてる最中にとつぜんケタケタ笑いをし始めるというシーンがあってですね、とてもびっくりするところなんですが、あれを観たとき、上のような考えが浮かびました。
とにかく、この映画はすごく異質で、いくつかのシーンは非常に不快です。オカマちゃんが馬にナニするとか、被爆した奇形牛が出てくるとか、かわいそうな奇形少女が出てくるとか、その他イロイロあります。
またプロットは洗練されているとはいえず、粗雑な部分があります。低予算ゆえに安っぽいところもあります。
ただ、なんていうんですかね、非常なる荒々しさがあります。おれはこれで勝負しているのだ、もんくがあるやつはかかってこい!というような。そこがとてもいいですね。
でもすべてのひとが好きになる映画であるとはとても思えません。小汚いし、ヒデーもん。その点は何度観ても変わらないですなあ。ははははははは。
DVDのオマケ
オマケはこれだけ↓
- trailer (02:00)
- making of (27:00)
変態さんを演じた俳優さんたちがウジャウジャ出てきて、脚本の人(かな)がべらべらしゃべります。
「コレはヒデー映画です。ぼくの人生の汚点です。こんなもんつくりたくなかったですよ。俳優?素人ばかりですよ。ヒデーもんです。ドヘタな上に病人ぞろい。みんなキチガイですから」
なんつって、ひとりづつ紹介します。
「コイツは学校にいくといってたくせにうそばっかり!」とか、ゲイのアンちゃんには「この男は監督と寝て仕事を取ってくるのです。どうしようもねーな、おめえはよう」とか、おデブちゃんの女優さんには「彼女はこの仕事のために、180キロ増量しました」とか。お笑いノリが楽しいです。
フランツを演じた初老の俳優さんだけは少し距離を置いて、みんなとバカ話などせず、黙々と脚本を読んでいます。そこにしれーと近づいていって「ちょっとインタビュー」とかいって、彼の薄い頭をジロジロ眺め「こんなにすきまが空いているのに、どうして生えてこないのですか?」と質問したりします。ぎゃははははは。
クソガキどもが暴れ回っているという雰囲気のロケ地なんだが、監督さんだけはニヒルに押し黙ってなんか仕事をやってます。と、まァ、お笑いノリでいくんだが、後半はちゃんとまじめに撮影をやってるメイキングもあったよ。
Mladen Djordjevic監督について
Mladen Djordjevicという監督さんはこんなひと↓
ポルノ業界におけるドキュメンタリの分野で多数実績がある。代表作は『MADE IN SERBIA』。これは社会派ドラマ風ドキュメンタリ。その後、セルビア初のゾンビ映画『THE LIVING DEAD』ていうショートフィルムもつくった。NATOの毒ガスで村人たちがゾンビになる映画。ヴァンパイアもののショートフィルム『HUNGER』てのもある。
本作『The Life and Death of a Porno Gang』(しばしば略して『Porn Gang』と呼ばれる)は、20の映画祭で賞を受賞した。近年のセルビア映画の代表作のひとつ。
現在、セルビア国内版のみがリリースされているが、順次各国で売られるようになる模様。
チト余談。
『ゾーン・オブ・ザ・デッド (2009)』もNATOの毒ガスでどーのこーの、という話だったですが、ご存知の通り、セルビアはかつてNATOに大規模な空爆をされたという悲劇の過去があります。ソレを笑い飛ばしてゾンビ映画をつくるエネルギーというのは、とてもポジティブですね。
日本はいま大変な災害に見舞われ、おれたちはどうなるんだ!と大心配ですが、この先、将来、いつか物事が落ち着いたとき、日本人の才能あるクリエイターが「原発からゾンビが出てきた!ラスボスは東電社長ゾンビ!」なんて映画をつくろうとしたら、きっとゴチャゴチャいうヤツが出てくるんだろうけど、そんなのに負けずにがんばってもらいたいです。
セルビア事情イロイロ
ところで、余談ですが、今回送ってもらったDVDはスリムケースていうのかな、通常のケースよりも薄っぺらいヤツだったのです。これを送ってくれたミランさんはその点が気に入らないらしくて「スリムケースでごめんね」とかいうのです。でも私はそれが安っぽいなんて格段思いませんでしたので「べつにいいよー」といってたら、相手は「ニューススタンドで売りやすいようにスリムにしたんだとさ」なんてしれーというの。「ふーん、そういうもんすか」とか答えつつ、
え..... ちょ、ニューススタンド???
私は頭がくらくらしてきて「ニューススタンドってことはさ、これが本屋とかビデオ屋のレジ横で売ってるわけですか」と聞き返したわけですよ。そしたらさ、これまた、しれーと、「そうだよ。新作はみんなそうだよ」といいやがるのです。
ほえー。
Speechless........
やっぱセルビアってすごいなとおもいました。
セルビアってキチガイ映画ばかり出してきやがるし、こんなもんはレジ横で売ってるし、いったいなにを考えているのであるか。
「イカレてますなあ。たいしたもんですなあ」と喜んでいたらば、ミランさんはさすがにヤバいと思ったのか「ホラー映画以外もたくさんあるよ!」つって、その他系のヤツも教えてもらいました。
コメディとか恋愛ドラマなんかが普通に流行っているそうです。キチガイホラーはやっぱ異質なものという扱いを受けているらしい。そりゃそうだわな。
でもコレがレジ横で売ってるくらいだから、その国民性がかなり日本とちがうのは間違いない。censorship(当局の検閲とか)もユルユルだそうです。
また、もうひとつおもしろい話として、こんな映画でも政府からいくらかの援助が出るんですよ。映画の最初でお役所のロゴが出ます。もらえる金額はとても安いんだけど、ないよりはましというかんじで、インディーズ監督はジャンジャカ申請を出すそうです。
これもまたすごいですな。日本で『片腕マシンガール』のDVDのケースに文化庁のロゴが入ってるようなもんじゃないですか!
「よくこんなホラーにお金を出してもらえるもんだね」つったら「ホラーはさすがに審査が通らないので、書類上はてきとうにだまくらかすのだ」なんていうんだが(冗談冗談)、ロゴが入ってるのは事実なので、政府からお金が出ていることは間違いないのです。
だからといって、余裕でおきらくに映画をつくっているという雰囲気ではないです。セルビアのホラー監督のみなさんはみんなお金がなくてヒーヒーいってます。
「どうしてこういうホラーが多いのか?」という質問に対しては「わからん!」といっていました。戦争の傷跡とかなんだとか、ソレらしいことはあるけれど、じっさいなんでかわからないだそうです。
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2009年 | |
セルビア | |
2009年2月28日 (セルビア) (FEST) 2009年7月18日 (韓国) (PiFan International Film Festival) 2009年9月 (イギリス) (Raindance Film Festival) 2009年10月24日 (ドイツ) (Pornfilmfestival Berlin) 2009年10月30日 (イタリア) (Ravenna Nightmare Film Festival) 2010年7月10日 (カナダ) (Fantasia Film Festival) 2010年7月18日 (アメリカ) (Danger After Dark Film Festival) | |
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