2013/2/27 (Wed) at 3:14 pm

映画|フッテージ|Sinister

凶悪犯罪専門のノンフィクション作家がスナッフフィルムを見つけてびっくりするホラー映画。イーサン・ホークジュリエット・リランスジェームズ・ランソン。監督スコット・デリクソン。2012年。

フッテージ / Sinister DVDDVD画像

ペンシルバニアの小さな町。

ノンフィクション作家のエリソン・オズワルト(イーサン・ホーク)が一軒家に引っ越してくる。妻(ジュリエット・リランス)と、ふたりの子供(Michael Hall D'Addarioクレア・フォーリー)もいっしょ。

この家はかつて怪奇な事件が起きた犯罪現場である。平凡な一家が裏庭の木で首吊り&全死亡したが、末娘だけが行方不明になった。どこにいったかわからない。なにが起きたかもわからない。一切謎。ポリスはお手上げ。

そんないわくのある家であるが、オズワルトはすべてを承知でこの家を選んだ。しかも家族といっしょに住むというのだから、酔狂な話である。世の中、オバケハウスから逃げる人間は多いが、逆は珍しい。なぜそんなことをやるかというと、彼が凶悪犯罪専門のノンフィクション作家だからである。

犯罪を知るために犯罪現場に住む。というのは大したプロ根性だが、つきあわされる家族には大迷惑。正直に話したら怒られるから、彼は奥さんにも子供たちにもそれを隠しているのです。ははははは。

オズワルトという作家はそこらへんのひとにサインを求められたりするのでかなり有名らしいが、そのわりには、家族の会話を聞いているとあまり裕福そうでない。

食卓の場面では「こんなごちそうはひさしぶりだねー」「なんでうちはお金がないの?」「前の家が売れるまでの辛抱だ」「次の本は売れるといいね」「パパ、がんばって」とかいう。

流行作家のくせにしみったれているではないか。と意外に思われるが、それはこういう事情による。その昔、彼は一発当てて大ベストセラー作家になった。その本は警察のミスを暴いて、賞賛を浴びた。でもその後はぜんぶだめだった。

これが小説家であれば、単に世間から忘れ去られるだけの話だが、彼がやってるのは凶悪犯罪のルポなので、ヘタクソをやるとしっぺ返しが大きい。「警察の捜査を邪魔した」「おまえのせいで犯人を逃がした」という汚名を着せられてしまう。映画の冒頭で、地元シェリフ(フレッド・ダルトン・トンプソン)に「なにしにきやがった」とイヤミをいわれるシーンがあるが、これはそのせいである。

落ち目のライター男が再起復活の夢を賭け、家族をだまくらかして、この引っ越しプロジェクトは行われたというわけです。

オズワルトは屋根裏に古い8ミリテープを発見する。テープは全部で5本あり、次のようなタイトルがついていた↓

  • プールパーティ(Pool Party '66)
  • バーベキュー(BBQ '79)
  • 芝刈り仕事(Lawn Work '86)
  • おねむの時間(Sleepy Time '98)
  • 家族といっしょ(Family Hanging Out '11)

これだけ見ると楽しげな家族の記録のようだが、その中身はスナッフフィルムだった。家族といっしょ(Family Hanging Out)はこの家の裏庭が舞台である。4人の人間が首を吊る場面が映っていた。

『hang out』というのは『いっしょに遊ぶ』という意味で、hang aroundと並んでよく使われる表現だが、それがじつは『hangしてoutだった(首吊って死亡)』というのはいいシャレだと思うが、これを見たオズワルトはひぃーとおののく。他の映像も似たようなものであり、バーベキューはガレージで家族が丸焼けになる映像。プールパーティはプールで誰かが拷問溺死させられる映像。他も同様。

オズワルトは恐怖を覚えたが、そこはルポライターである。彼にとっては金儲けのネタであるばかりでなく、人助けの意味もある。行方不明の娘はもしかしたらどこかで生きているのかもしれないではないか。彼はフィルムの中身を調査開始。やがて、これらのフィルムは、実際に起きた犯罪の記録であるとわかった。しかし、どういう関連があるのか謎である。時代も場所もバラバラだから。

彼は何度もフィルムを見る。その度にひぃーとヒキツリ顔になるんだが、その中に決まって死神風の仮面男が出てくる。そうこうするうち、家の中にオバケが出てきて、息子が病気になり、娘はへんな絵を描き、ママはキャーキャー泣き叫ぶ。

こうなるとパパの隠し事はバレてしまう。「家族を巻き込むなんてひどいひどい!ゆるさない!」と怒るママをなだめるパパは、この期に及んでも調査をやめない。彼はどうしても本を書いて売りたい。でもオバケはそこにいるんですよ。もう出てったほうがいいんじゃないの。

オズワルトに協力してくれる地元のdeputyにジェームズ・ランソン。彼はシェリフと違ってオズワルトのファンであり、進んで協力してくれる。オズワルトは彼を「Deputy so and so」なんて呼んで、ちとコバカにしているが、意外に使えるヤツだった。ヴィンセント・ドノフリオはオカルト歴史に詳しい大学教授。彼は謎を解く重要なヒントを与えてくれます。

トレイラー動画

Sinister (2012) trailer

邦題『フッテージ

この映画は邦題『フッテージ』にて、2013年5月、劇場公開予定だそうです。詳しくは公式サイトをどうぞ↓

感想

  • ツカミはヨシ
  • イーサン・ホークのこわがり演技がスゲーおもしろい
  • 小娘のように飛びあがるオッサンが見れるよ
  • ははははは
  • でも後半はつまらない
  • オバケのこわがらせがつまらない
  • エンディングもつまらない

家族はおもしろいんだよね。イーサン・ホーク演じるパパは明らかに身勝手男なんだが、映画の中ではユーモラスに描かれているから、非道な印象は受けない。ママと子供たちは「パパ、がんばって」つって、パパは「いっちょうやるぞ!」ていう。なかなかほほえましい。子供たちのキャラがいかにも「大人から見てかわいい子供」的なので、いやらしく感じられるという点は痛いが、まぁ、許せる範囲。

もしオズワルトが目論見通りにベストセラー作家に返り咲いたら、結果オーライで「パパってすごい!」となったことだろうし、彼もそういうつもりでいたのだろう。身勝手男ではあるが、応援したくなるキャラでもある。そんな彼がスナッフフィルムを発見しておののきながら観るんだが、いちいちこわがるんだよね。ヒャーッてさ。おもしろーい。

そこらへんまではいいんだが、肝心のオバケがうろつくあたりからガッターンとつまらなくなった。こわがらせは平凡。オバケの背景話もありがちなものだった。トホホであります。

この映画はコメディにしたほうがよかった

前述したように、パパはここが陰惨な事件の現場だったという点を家族に隠して引っ越しをしたんだが、それがぜんぶバレちゃったときの夫婦ケンカのシーンは、急にお笑いになるからびっくりした。

「パパ!ひどいじゃないの!あなたを信じてついてきたのに!この身勝手男め!」つってママが怒るの。するとパパは言い返す。「ちがうちがう。ここで誰かが殺されたってわけじゃないのですよ。壁に血痕がついてたこともないしさ。勘違いしないでママ」「え、そなの?」「そうですよ」「じゃどこで死んだの?」「裏庭だよ(ここは寝室)」「はァ?」「裏庭だってば」「どっちでもいっしょでしょーが!もうこんな生活、いやぁあああ!」

ははははははははははははは。

このシーンは何度見ても笑える。ママのブチキレ演技がすごくおもしろい。どう見てもお笑いだが、この映画の制作者はシリアスなドラマとしてつくっているらしい。それが信じられない。

この映画はコメディにすべきだったとおもいますよ。こんなのだったらよかったのに↓

パパはオバケに負けて、ついに降参する。「ごめん。もう帰ろう。おれの間違いだった」という。すると、いままで怒っていた家族が反対するの。ママは「なにいってるの!ベストセラーを書くんでしょーが!ちゃんとやんなさい!」とかいう。彼女はゴーストバスターズコスになる。子供たちもほうきやバットを持って「わたしたちがオバケを退治してあげるよ!」とかいう。家族は団結する。かかってきやがれ。

そこにアダムス・ファミリーみたいなオバケがウジャーと出てきて、安っぽいヒモで吊ったような生首が部屋の中を飛んだりする。ドタバタの末、家族はオバケをぜんぶやっつけて、パパは本を書き上げる。バカ売れして、ハッピーエンド。おしまい。

もしこんなお話だったら最高だったよね。

DVDのオマケ

  • Audio Commentary With Director Scott Derrickson
  • Audio Commentary With Writers Scott Derrickson And C. Robert Cargill
  • True Crime Authors
  • Living In A House Of Death
  • Deleted Scenes
  • Theatrical Trailer

True Crime Authorsは実際に犯罪ルポをやってるライターさんのインタビュー中心のドキュメンタリ。Steve Hodel、Chip Jacobs、John Struloeff他。Living In A House Of Deathは実際に犯罪が起きた場所に住んだ経験のあるひとたちが出てくるドキュメンタリ。これらは映画には直接関係ない内容。Deleted Scenesにはコメンタリつきでした。

英語字幕つき↓

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Untitled Scott Derrickson Project
邦題(カタカナ): 『フッテージ』
制作年: 2012年
制作国: アメリカ/カナダ/イギリス
公開日: 2012年3月11日 (アメリカ) (South by Southwest Film Festival)
2012年9月21日 (アメリカ) (Austin Fantastic Fest)
2012年10月5日 (イギリス)
2012年10月11日 (ロシア)
2012年10月12日 (カナダ)
2012年10月12日 (アメリカ)
2012年10月31日 (スペイン)
2012年10月31日 (フランス) (Samain du Cinema Fantastique)
2012年11月1日 (オーストラリア)
2012年11月7日 (フランス)
2012年11月15日 (韓国)
2012年11月22日 (ドイツ)
2012年11月22日 (香港)
2012年11月22日 (ロシア) (DVD)
2013年3月14日 (イタリア)
2013年5月11日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Sinister
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞
  • レビュー:フッテージ(5月11日公開) - INTRO

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    2013/5/10, 3:59 PM

ホラーSHOX [呪](『ほらーしょっくすのろい』と読む)は新作ホラー映画のレビュー中心のブログです。たまに古いのやコメディ等もとりあげます。HORROR SHOX is a Japan-based web site, which is all about horror flicks.

 

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