2011/4/22 (Fri) at 10:18 pm

映画|リカット|Re-Cut

レポーターのネーチャンが取材にいってこわい目に遭うモキュメンタリ手法のホラー映画。低予算。メレディス・フィリップスロス・コーンオースティン・ベイシス。監督Fritz Manger。2010年。

リカット / Re-Cut DVDDVD画像

この映画には、abcのリアリティ番組『The Bachelor』『The Bachelorette』に出ていたメレディス・フィリップスさんが、その名前で本人として登場します。

彼女が出た番組てのは、素人の男女が出てきて、1人対25人でいろいろやって、王子様かシンデレラになったような調子で、恋人選びをするというヤツです。この種の中では古くて人気がある。

が、私はこんなチャラチャラしたもんは見ませんので、このネーチャンは知りませんでした。そういうひとだったんですか。

この種の番組でデビューし、モデルやら女優やらになったりする人は多いですが、彼女も大いに顔を売ってセレブになったということで、さてさて、ここから先がつくり話です。

ここまではほんと。以下はうそ。

『The Bachelorette』で名を売ったメレディス・フィリップスは、現在、ニュース局のレポーターとして活躍中。

そこに、サエないアンちゃん2人組(ロス・コーンオースティン・ベイシス)がやってくる。彼らはメレディスさんに密着取材をしてドキュメンタリ映画をつくりたいそうで「取材許可を取ったヨ!」と主張するのであるが、当のメレディスさんはぜんぜん覚えていない。

アンちゃんは焦って説得するんだが、ぜんぜん聞いてもらえず、犬コロみたいに追い出されてしまうのであるが、そこに局のえらいさんが出てきて、メレディスさんに「取材に行け」と命じる。

「ウィスコンシンで起きた双子少女死亡事件を取材せよ」という話なんだが、あいにく同伴するクルーがいないもんで、急きょ、2人組はテレビ局の下働きディレクター + カメラマンとなり、メレディスさんの取材に同行することになった。ドキュメンタリの取材もいっしょにやるっていうんだが、そっちの方はもうどうでもよくなっちゃうのです。

このおそろしくいいかげんな展開はおそろしく笑える。ははははははは。ホラーですから、細かいことは気にせずに。

3人は取材チームになり、はるばるドライブをして、ウィスコンシンに行く。着いてみたら、そこは陰気な田舎町であった。「なんだかくらいまちだなあ」つって、町に入っていったら、いきなり行き倒れのオヤジが道路に寝ているというびっくりシーンがおもしろい。

さて、彼らが取材する事件てのは「農家の納屋で双子の少女が死んでるのが発見された」という話なんだが、なにやら秘密がありそう。町に着くと、メレディスさんはさっそく取材を開始する。

まずは地元のポリスに行き、シェリフに話を聞いたら、明らかに歓迎されない様子。それでも少しはしゃべってくれたんだが「もっと詳しく教えてちょうだいよ」と食い下がったら「もう、おしまい。帰れ」といわれてしまう。

でもメレディスさんはめげない。おてんばレポーターらしく、ナヨナヨ男ふたりに「おまえら、ついてこい」つって喝を入れつつ、独自取材を続ける。

彼女のような有名人がウロウロしているとじつに目立つので、地元のチンピラが寄ってきたりして、いろいろとおっかない目に遭ったりもしつつ、詳しいことが少しづつわかってくる。

双子少女には母はなく、父親がめんどうを見てたんだが、これが聖書キチガイのイカレ男で、娘たちを家に閉じ込めて学校に行かせず、へんな独自教育をやってたらしい。

その家にいってみたら、これまたきもちわりーもんがいろいろ出てきてびっくりする。んで、がつーんと襲われてこわい目に遭う。こんな趣向のモキュメンタリ映画です。

トレイラー動画

Re-Cut (2010) trailer

感想

前半はかなりおもしろいです。じめじめこわい雰囲気が良く出ていて、ザラザラのドキュメンタリ風の映像がいいかんじ。死んじゃった双子の姉妹はとてもかわいくて、かわいそうです。

でも、後半になるとやや失速、そして、最後は強引オチで終了。オチの意味はわかったけど、細かい点が説明不足のまま終わる。惜しいところだなあ。

いろいろと欠点だらけなんだけれども、ある一点のみ、すばらしいアイデアがあって「実在するセレブ女を実名で登場させた」ということなんですね。この着想はおもしろいですな。これまた新しいモキュメンタリの手法だなって思いましたよ。

メレディス・フィリップスさんという、じつに中途半端な知名度のネーチャンという設定が妙にハマるの。アナリン・マコードが普通のホラー映画に出てたら、あー、そうですか、と思うだけですが、この、セレブといっていいのかよくわからない湯加減のネーチャンがこんなホラーに、本人として出ているというのが、インチキ臭くておもしろい。

メレディスさんはよくこんなもんに出る気になったなあ。彼女はチャレンジャーだなあ。彼女はやり手のレポーターなので、危険を顧みずにずんずん突き進むのが楽しいところ。

ところがですね、拍子抜けすることに、この女は脱ぎナシなのですよ。脱がないどころか、足も腕も鎖骨も出さない。下は黒いパンツで、上はラクダみたいなセーターにジャケット。最後までそのまま。こんなホラー女優は初めて見た。おまえなー。

出演の契約をするにおいて「出るのはええけど、脱がんよ。ぜったい脱がんよ。足も腕も出さんよ」と強固に主張したんでしょうか。なにせこんなキチガイ映画だから、それを守らせないと変態クルーにレイプされると思ったのかもしれない。

この映画では鹿の死体がゴロゴロ出てくるんだけど、映画の最後に出る字幕によれば「動物をいぢめたり殺したりしてないヨ」だそうです。

これは極めてへんなもの好きなひと向けのホラー映画ですな。私はこういうのを許せちゃうんですが。

最後にひとつ。セットがとてもよかったよ。アートディレクションのひとはスゲーがんばったんじゃないですか。

DVDのオマケは20分程度のメイキングのみ。このDVDは字幕ナシ。

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原題: Re-Cut
別題: ReCut
The Meredith Phillips Report
制作年: 2010年
制作国: アメリカ
公開日: 2010年 (アメリカ) (Los Angeles Film Festival)
2010年4月17日 (アメリカ) (Wisconsin Film Festival)
2010年10月 (アメリカ) (Austin Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: Re-Cut

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