映画|ペナンス|Penance
ストリッパーを浄化する目的でマンコを切り刻むマッド外科医!ゴア残虐不快イテテPOVホラー映画。マライエ・デルフィノ、グレアム・マクタヴィッシュ、マイケル・ルーカー。監督ジェイク・ケネディ。2009年。
マライエ・デルフィノ演じる美人シングルマザーのアメリアちゃんは、何をトチ狂ったか、出張ストリッパーとしてデビューする。彼女は美人ではあるものの、お色気キャラとは大ちがいの ... どっちかっていうと明るい健康女ってかんじなんだが、愛する子供のために急場のカネがいるんで、いっちょうやるかと決断したのである。
頼れる先輩ストリッパー(イヴ・マウロ)の手厚いダンス指導を受け「えー、こんな服着るんですかー。ひぃいいい」とかいいつつ、どうにかこうにか仕事を終え、約束の500ドルをもらえた。ふぅー。彼女はこれでおしまいにしとくつもりだったんだが、お世話になった先輩ストリッパーから再びダンス仕事を頼まれる。先輩女は男にブン殴られてパンダ顔になっちゃったので「今夜だけ代行をタノム!」という話で、なんとそれは普通よりもハイクラスな特別顧客の仕事で「前金2千ドル + ボーナス」という破格高額ギャラなのだと説得され、やべえなあと思いつつ、承諾する。
という導入で始まる『Penance』はPOV手法の映画である。ウィルていう男友達(ギャレット・ジョーンズ)がカメラ担当。とにかくカネに困ってるアメリアは自分のジタバタ体験を録画し、リアリティショーに応募し、賞金をゲットするのだと考えたのである。こんなありきたりな気の毒話がいまさらテレビネタになるのかと思う人もいるかもしれないが、彼女は美人だし、そのノリがあっけらかんとしていて「がんばるママお笑い編」的なネタとしておもしろいというのはわかる気がする。
さて、この映画はDVDスルーのホラー映画にしてはキャストが豪華なんだが、まずイッパツ目に目を引くのがトニー・トッドである。彼の役柄はストリッパー嬢のお迎え男で、その出演時間は少ないが、じつにインパクトがある。トニー・トッドをパシリ役に使うなんて、いったいどんなわるもんなのであるか!?と想像がわくじゃないですか。
大男のトニー・トッドがぬぅーと顔を出し「きみがストリッパーちゃんだね。さあ、車に乗りたまえ。行き先は秘密であるよ。外を見ちゃだめよ」とブキミ声でいい(地獄への案内人風)、アメリアとカメラ男を目隠しカーテンのある後部シートに乗せる。ふたりは「こえーなー」と怯える。
ネタバレいやな方はここらへんまでにしといたほうがいいかも。このエントリはこの先ネタバレ度中です。
目的地に到着し、控え室に案内されたら、ふたりのストリッパー嬢がすでにいた(シタ・ヤング + キャサリン・ランドルフ)。ぎこちなく挨拶し、パッと終わらせてサッサと帰りたいワと思ってたら、ダンディ白スーツがキマりすぎのマイケル・ルーカーがジャジャーンと出てきて、わるもん台詞を述べる。かっこいいいい!↓
Mann (Michael Rooker): Can you help me? No. Can I help you? No. Can you help yourselves? No. Are you absolutely, positively fucked? Yes.
ストリッパー3名は睡眠薬でコテン。マイケル・ルーカーはカメラ男をダダーンと射殺。このシーンでマイケル・ルーカーはストリップ嬢を相手に立ち回りをするんだけど、最高シビレるかっこよさであった。さて、アメリア他のみなさんが目を覚ましたら、そこはサイコ病院の監禁病棟であり、やがてわるもんの意図が明かされる。
グレアム・マクタヴィッシュ演じるGeevesは真性キチガイ外科医であり、憂き世の背徳に汚れたストリッパーたちを心身共に『purification(浄化)』してやらねばならぬという信念で拉致監禁拷問を行っているのであった。アメリアを含むストリッパー嬢のみなさんは彼が出題する道徳テストを受けさせられる。それにパスしなければ、鞭打ち/マンコを切り刻むといった拷問が続くか、殺される。サイコパス医者はこれを『救済行為』であると信じており、自分自身もまた清浄であれねばならぬという信念に従うため、自分のキンタマを自分でチョン切るというショッカーワザもやる。
というお話は実話ベースのホラー映画だそうです。こんなキチガイ医者がほんとにいたなんて!
トレイラー動画
感想 - POV手法について
この映画はおもしろいぶぶんと残念なぶぶんが混在していると思われました。まずPOVですが、最初のあたりはよかった。マライエ・デルフィノの自己紹介から始まり、彼女がストリッパー修行をやりつつ、がんばって500ドルの初ギャラをもらえるところはじつにおもしろくてですね、先輩ストリッパーのイヴ・マウロはすばらしいハマり役で、一方、普通ママのマライエ・デルフィノはピンヒールなんか履いたことないんだが、彼女は手ほどきを受けてがんばるのです。いざ客に呼ばれたら心臓バクバクで逃げだしたくなるんだけど、「いっちょうヤッタレ!」とハジケちゃう。ダンスが終わったら素に戻ってヒャーと逃げてきちゃう。という流れが滑らかで、POV手法がよく合ってると思いました。
でも実際に本編が始まると、POVが明らかに無理ぽいのですね。だれもがそう思うんじゃないかなあ。秘密の場所にストリッパー嬢を監禁する悪人がカメラ男の同行を許すなんてへんでしょう?DVDのDeleted Scenesには、カメラ男とトニー・トッドが言い合いをするシーンがありましたが、これがあれば多少は納得できるかなあと思うけど、本編ではカットされていました。
監禁が始まると、POVがますます不自然に思えてきます。「悪人の証拠としてビデオ撮影しなくちゃいけないのだ」という台詞があったけど、やっぱムリぽいです。POVの映画をつくる人たちは「いかに自然ぽく演出するか」という点に腐心すると思うんだけど、『クローバーフィールド/HAKAISHA / Cloverfield (2008)』も『REC/レック / [Rec] (2007)』もそういう制作者の工夫が感じられけど、『Penance』の場合は「それをいうな!」という開き直り姿勢がかんじられます。
が、POV手法ゆえにいいかんじのシーンがあったという点もあるし、また、演出的に不自然ではあるけれど、映像はきれいで見やすく、汚いハンディカメラ映像&ピンボケしまくりという調子ではないので、だからまぁ、私的には「許す!」というオッケー姿勢なんですが、ここらへんが気になる方はきっとこの映画を好きにならないだろうなあと思いました。
感想 - ゴア描写について
残念ながらgore freakなホラーファンには少し物足りないのではないかしらん。特殊効果で目を引いたのはキンタマカットシーンだけですかね。あれはインパクトありました。ぐぐぐ → グサッ! → イテテ → グニョー → びよーん → チョッキーーン! → ふぅ → ちゃぽん。てかんじでした(映画を観た人はわかる)。クリトリスカットのシーンはありましたが『Antichrist (2009)』のような直接描写ではなかった。ビラビラカットもありますが。
でもよかったぶぶんもありました。オッと思ったのはトイレのシーンです。キチガイ外科医は切り取った女性器の肉片を大きなビンに入れて保存してるんだけど、それをまとめてトイレに流して捨てるのです。保管するという行為が変態的だし、いかにも『汚物』のような扱い方がこれまた変態的。ユルグ・ブットゲライトの『シュラム 死の快楽 / Schramm (1993)』のアレ、真性ダメ人間のシリアルキラーがダッチワイフをジャブジャブ洗うシーンはおそろしく孤独で悲しい映像でしたが、あれほどのインパクトはないにせよ、キチガイ性を表現しているという点でなかなかではないかと。
ところで、余談ですが、マンコカット映画といえば『Antichrist (2009)』が話題ですが、私もそのうちレビューを書こうと思っているのですが、『Hanger (2009)』という悪趣味な低予算映画もありましたが、みなさんはご覧になったでしょうか。超安っぽいですが、内容がヒデー。場末の妊婦売春婦を暴力ヒモ男が殴る蹴るの挙げ句に、針金ハンガーをマンコに突っ込んで堕胎処理をするというヤツでした(直接描写アリ)。私はあまりに暗澹としてしまったので、エントリを書かずじまいでした。
感想 - キャスティングについて
主演のマライエ・デルフィノはamazingです。絶叫演技はよかったし、最初のストリッパー修行のところはとても演技がじょうず。ほんとにそういうひとみたいだった。さらに、前述したように、この映画はキャスティングが豪華です。トニー・トッド(出演時間は少ないがインパクトのあるハマり役!)、マイケル・ルーカー(ダンディ白スーツがキマリすぎ!)、グレアム・マクタヴィッシュ(キチガイ外科医!キンタマカットを熱演!)というスターのみなさんが登場します。
『Zombie Honeymoon (2004)』のトレーシー・クーガン、『ドニー・ダーコ / Donnie Darko (2001)』のバニーちゃんフランク役のジェームズ・デュヴァルのカメオ的チョイ出演もあります。
その他のみなさん、イヴ・マウロ(お色気ストリッパー!)、アリス・アムター(ナチ風サディスト女!ムチをバシバシ!)、シタ・ヤング(ストリッパー!)、キャサリン・ランドルフ(ストリッパー!)、ギャレット・ジョーンズ(カメラ男!彼は『ゾンビ・トランスフュージョン / Automaton Transfusion (2006)』に出てました。同映画からWilliam Clevingerがプロデューサーとして入ってるのでその流れかと)といったあたりはさほど有名ではないですけど、いい役づくり/演技をしてました。
DVDスルーの低予算ホラーとしてはけっこうなキャスティングだと思うんですが、これは安易にカネをバラまいてeye candy俳優を集めたというわけではなく、DVDの監督インタビューを見ると、カネの話をしてるのか映画の話をしてるのかわからないくらい "money, money, money!" を連発してるので、かなりケチケチ予算でつくったんだけど、その中でギリギリやりくりをし、セレブな俳優さんを使うことで得られるMAX効果を期待したってことらしい。この意図はかなり成功しているのでは。キャンスティングはいいけど映画はつまらんというパターンは多いですが、ソレ系ではないなと。よく考えて配置/演出しているなというような。
キャストのみなさんの写真つきおまとめはココが見やすいです↓
感想 - まとめ
全体としてはヨカッター。いいところわるいところコミでおもしろかったよ。imdbを見るとratingは5.5と普通ですが(34votesしかないけど)、User Reviewでは「トーチャーポルノにさえなってない!」と酷評されていますが、ま、自分が好きならいいよね。
『Penance』という題名は宗教的な意味合いのワードなので、なんとなく『マーターズ / Martyrs (2008)』と似たかんじかなと思ったら、アレとはまたちがうかんじ。結末はこちらの方がずっとわかりやすい。元々この映画は『The Devil's Dungeon』というタイトルでプロモをしていたけど、その後、『Penance』に変わりました。こっちの方がずっといいと思う(てかよく意味を知らないけど)。
キチガイ外科医は、Graeme Stephen Reevesていう実在人物の犯罪者をモデルにしているそうで、こちらにまとめがありました↓
DVDのオマケ
DVDのSpecial Featuresにいろいろ入ってますが↓
- Alternate Endings (3)
- Deleted scenes (5)
- How to strip with Marieh and Eve
- Cast Interviews In Character
- Behind The Scenes
- Anatomy Of A Scene
- Director Interview
- Location Scout
- Commentary With The Director
- Commentary With The Director And Producer
"Cast Interviews In Character" てのがおもしろかったです。キャストのみなさんのインタビューなんだけど、各自の役柄になりきってしゃべってるのです。たとえば、キチガイ外科医役のグレアム・マクタヴィッシュが出てきて「人々はわたしの助けを必要としています。罪の束縛から逃れて真の自由を得ること、魂の『浄化』に至るプロセスはそれはそれはたいへんなのです。わたしはその道のプロですからなんでも知ってますよ、ええ。苦痛?苦痛を伴うのは当然です(意訳)」てなかんじ。夢見がちな人がこれを見ると「このひとはキラーなんだ!」なんてかんちがいしちゃうかも?!んなわけない!
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Penance | |
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2009年 | |
アメリカ | |
2009年5月 (フランス) (Cannes Film Market) 2009年5月30日 (アメリカ) (Fangoria Film Festival) 2009年11月17日 (アメリカ) (DVD) | |
imdb.com :: Penance |
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