2014/3/7 (Fri) at 7:34 am

映画|チルドレン・オブ・ソロウ|Children of Sorrow

インチキカルト教団を舞台にしたファウンドフッテージのホラー映画は『サクラメント 死の楽園 (2013)』のパクリではないんですよ。似てるけど。ビル・オバースト・Jrハンナ・レヴィアンホイットニー・ニールセン。監督ジュールダン・マクルーア。2014年。

チルドレン・オブ・ソロウ / Children of Sorrow DVDDVD画像

2008年5月。

ここはアメリカ - メキシコ国境の砂漠。プレハブみたいな家がポツンと建ってて、敷地の回りは高い網フェンスで囲ってある。

この家はサイモン・リーチなるインチキ教祖様(ビル・オバースト・Jr)が運営するカルトの活動本部。

ここにエレンという若いイギリス人女性(ハンナ・レヴィアン)がやってくる。彼女の妹は教団に入信以来、行方知れずになった。エレンさんは妹に何が起きたのかを確かめるため、信者になったフリをして潜入したのである。

そこでは、サイモン教祖を中心に10人ほどの若い男女が共同生活をしていた。メアリという女(ホイットニー・ニールセン)がいて、彼女はサイモンの女房役というか、教団ナンバーツーのような存在。この女はいつもビデオカメラを持ってて、サイモンの活動を記録する。

信者たちは各自の事情で挫折したのちにサイモンと出会ってハッピーになったんだそうで、一様に、洗脳された者特有の信者スマイルを浮かべているが、メアリだけはいつも無愛想。にこりともしない。洗脳された者の顔というのは薄気味悪いものだが、極端に愛想が悪いというのも気持ち悪いですね。

エレンは決死の覚悟でやってきて、しばらくようすを見ていたが、実際にその場の雰囲気を知ったら、拍子抜けしてしまった。信者たちはシスターだのブラザーだのと呼び合い、家の中には祭壇のある部屋があり、宗教団体の体を装っているが、実際にはかなりいいかげんである。教典があるわけでなく、教義を勉強するだの修行をするだのといった、めんどくさいことはやらず、お遊びのような共同生活をしているだけだった。宗教団体というより、ヒッピーグループのノリに近い。

エレンは不思議に思った。サイモンは確かにインチキ野郎だが、危険な存在ではないように思えたから。

しかしながら、やがて彼女はこのカルトのヤバさを知ることになる。サイモンに直接「妹はどうしたんだ?」と訊いてみたらば、「彼女はよりよい場所に旅立った(つまり死んだ)」と聞かされ、「やはりそうだったか!」と涙するのだが、しかし、それがこの映画の主題ではない。彼女はそれがわかった後も、ずるずるべったりと教団に居続けるのである。

つまり彼女も洗脳されちゃったんですね。あー。

映画の後半になると、ヒッピーグループのようなおきらくさはなくなり、サイモンの狂気が露になってくる。エッチなことをやったり、彼のイヤーな部分が出てくると、信者たちはとまどうんだが、そこをペラペラと説き伏せ、口八丁でいうことを聞かせるのがなかなかの詐欺師ぶり。

彼は「選ばれた者だけがよりよい場所にいける」というよくある誘い文句で、ひとりづつブッ殺していくんだが、いつも信者がいうことを聞くとは限らない。重度に洗脳されている者は彼の言葉を真に受けて「うれしいです!サイモン様!ばんざい!」つって死んでいくんだが、いざとなると逃げ出すヤツもいるんですね。そりゃそうだよね。

そんな尻込みする者を脅してなだめてそれでもいうことを聞かないと「だめなやつだおまえは」つってライフルで狙い撃ち。すごく楽しそうです。ここらへんからして、彼の動機というのは、他人の精神を操り、王様きぶんに浸り、殺人を楽しむということなのだろう。インチキ教祖様の例に漏れず、この男もエッチ好きで、信者の女たちは美人揃い。自分の好みで選んでいるのだろう。

哀れな信者のみなさんはサイモンのオモチャになって、ひとりづつブッ殺されていくのです。この映画はガチャガチャ映像のファウンドフッテージです。

トレイラー動画

Children of Sorrow (2014) trailer

感想

そうすごいもんではないが、けっこうおもしろかった。私は元々POV系があまり好きではなかったのだが、最近は以前ほど嫌いではなくなった。IMDbには酷評レビューが並んでいるが、そうひどいもんではないと思う。お話はありきたりだが、サイモンという男の狂気がよく表現されており、いかにもこういうカルトはあるかもな、と思わせる雰囲気があった。

でも、ファウンドフッテージらしくガチャガチャ映像が続くのは、やはり忍耐が要る。コレ系のヤツは60分くらいでやってくれればいいのにと私は思う。こういうのを好きなひとというのは、ぢっと画面を注視し、薄気味悪い場面をどきどきしながら待つのが楽しいのだろうか。私はそこまで入れ込む気にはなれないのだが。

サクラメント 死の楽園 (2013)』に酷似している

ところで、この映画はタイ・ウェストの話題作『サクラメント 死の楽園 (2013)』と内容が酷似しているが、ホラーファンにはおなじみのScott Weinbergtwitter@scottEweinberg)によれば、どちらがどちらをパクッたというもんでなく、単に内容がカブッただけとのことである↓

Children of Sorrow (2014)』は2012年の時点で完成していた。また、タイ・ウェストが泥棒をするわけがないだろう。とスコットさんは肩を持つようなことを書いていて、彼は『The Sacrament (2013)』に出演しているからちょっとフェアではないんじゃないのと思うかもしれないが、それは邪推だと思う。実際、こういうことはよくある。

追記。

「スコットさんがThe Sacramentに出演している」というのは私の勘違いだった。失礼。訂正です。

追記以上。

映画をいつ公開するかというのは配給会社が決めることで、配給会社というのはビジネス優先で物事を決定するから、パクリといわれようがなんだろうが、話題作とカブッて出すのが売れると判断すれば、躊躇なくそうするのである。

サクラメント 死の楽園 (2013)』はまだ公開されていないが、認知度/話題度いずれにおいても圧倒的なので、あちらが出た暁には、『Children of Sorrow (2014)』は「パクリの劣化版」とかいわれてしまうのかなと思うと不憫である。いや、いまのところ、そういわれているわけでないけれど。

いちおう申し添えておくが、日本のファンにもおなじみのAsylumの一連のパクリ映画はパクリ映画ですよ。アレ系はそういうもんだとわかった上で楽しめばいいが、この映画のような例もあるよということです。

私は『Children of Sorrow (2014)』をiTunesUSで見ましたが、US版DVDも発売中↓

ところで余談だが、私はビートたけしの『教祖誕生』がかなり好きである。これが出た頃ってタイミングがすばらしかったよね。おもしろいよ↓

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原題: Children of Sorrow
制作年: 2012年
制作国: アメリカ
公開日: 2012年10月6日 (アメリカ) (Sacramento Horror Film Festival)
2014年3月4日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Children of Sorrow
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