2011/1/26 (Wed) at 7:00 pm

映画|The Life and Death of a Porno Gang

旅芸人一座の変態さんたちがスナッフフィルムを撮影する、モキュメンタリ手法のホラー映画。またまたセルビアからキチガイ映画がきたよ。監督ムラデン・ジョルジェヴィッチ。2009年。

The Life and Death of a Porno Gang DVDDVD画像

マルコさんは映画の学校を卒業して4年目。いつかホラーの大作を撮るんだ!と夢見てうだうだしていたらば、ポルノ業界の大物プロデューサーに出会って、監督デビューする。

プロデューサー氏を師匠と仰ぎ、ポルノをせっせとつくるが、価値観の違いから衝突。借金を踏み倒して逃げちゃう。

数ヶ月の潜伏期間を経て、へんなアングラ一座を結成。場末女優とか、変態さんとか、ゲイとか、おデブちゃん女優とか、毛色の変わったひとたちを集めて、変態演劇をやってみようと思いつく。

本人がいうには「斬新なポルノシアターなのだ!すごいのだ!」てことなんだが、私には、セルビア版・寺山修司みたいなもんかなと思えたが、そういう、変わった趣向の演劇作品をやりたくなり、いろいろとがんばって、ついにベオグラードの劇場で公演する。

本人としては華々しくデビューを飾ったつもりだったが、観客のウケは悪く、さらに、かつての師匠であるプロデューサー氏が乗り込んできて、ボコボコにされる。この男は警官とコネがあっていろいろややこしい人物なので、マルコさんは仲間といっしょにベオグラードから逃げ出す。

彼らは旅芸人の一座になった。ド派手なペイントをしたバンに乗って、田舎の村を回るのである。野宿をし、野外に特設ステージをつくり、村人たちの前で出し物をやる。まさに「安っぽい変態ショー!」という調子の下品な内容であるが、これが意外にウケる。田舎のオッチャンたちはガハハと手を叩いて喜ぶのだ。

なかなかいいじゃないの、と思ったら、またまた障害が発生。村長さんがやってきて、「おまえらのようなキチガイは出て行け」といわれて、退散。あー。

彼らはどこにいってもムシケラ扱いされるが、途中で、オカマちゃんが出てきて「あたしもいれてくださいまし」と合流してきたり、みんなでヤクをやって盛りあがったりして、メゲない連中なのである。

フラワーなノリの変態さんたちはじつにほほえましい。やってることはクレイジーだが、暴力的なひとたちではないのです。自分らの思うままにsexを楽しみたいだけという無邪気さ。

が、やっぱりコレはホラー映画なので、楽しい場面の合間に、オカマちゃんがヤギを殺すシーンやら(ほんとに殺してるのかわからなかった。殺すシーンそのものよりも、殺す理由ってのがおそろしく変態なの!)、村人に襲われ、集団リンチ壮絶レイプされるやら、ドス黒いホラーな描写もいくつかある。グロとお笑いがゴツゴツと混ざり合ったような異質さがある。

彼らは逆境に負けずにずんずん進んでいくのであるが、やっぱりお金がなくなって困ってしまう。そしたら、フランツという謎男がマルコさんに接触してくる。

フランツはドイツ人ジャーナリスト。セルビア語が堪能。その特技を活かしてコソボ紛争の最前線を取材し、ドイツの新聞社にネタを送るという仕事をやっていたんだが、それが彼の本職なんだが、ある日、アメリカのウラ組織から接触され、スナッフフィルムを売ってくれといわれて以来、裏のビジネスをやるようになったそうな。

戦争の前線で取材をしていると、絶対に報道されないような陰惨グロ場面に出くわすことがある。首切り処刑とか。新聞社には売れないような映像を手に入れては、裏組織に流して荒稼ぎ。てのを彼はずっとやってたんだが、戦争が終わるとやりにくくなった。そんな折、彼はマルコさんをヒョイと見つけた。コイツを仕込んだらスナッフ監督になるんじゃないかと考えて、誘い込むチャンスをうかがっていたのであった。

フランツはマルコにスナッフフィルムのサンプルを見せた。兵士が捕虜を首切り処刑し、生首でサッカーをして遊ぶという内容なんだが、これを見たマルコさんは露骨に嫌悪を示し、その場で断った。が、やっぱりお金がなくなるとどもならんので、彼はソレに手を出す。

一座の仲間のみなさんに「こういうヤバい話があるのだが」と打ち明けたら、各自は沈鬱な表情で「うぐぅ」と黙り込んでしまったが、いやいやながら彼らはそれをやるようになる。

異質な世界観が支配するセルビアの片田舎を舞台に、バコバコとsexしながら死んでいく変態さんたちを描いたホラー映画。

We started this journey in order to fuck, not to kill.

おれたちはsex目的で旅に出たんだぜ。それが殺人なんて!

トレイラー動画

The Life and Death of a Porno Gang (2009) trailer

Screener DVD

私が観たのはScreener DVDで、まだこの映画はどこの国でもメディアリリースされていないです。いくつかの国の映画祭で上映され、買い手を待っているところ。

この前『セルビアン・フィルム (2010)』という狂った映画を観たあと、セルビアの某ホラー映画関係者(名前を書いてもいいと思うんだが、こういうときの業界のしきたりってもんがよくわからないので、なにか迷惑かけてもいけないので、伏せ字にした)とチャットしていて「これはすごいもんですなあ」とかいったら「これもみろみろみろみろ!もっとすごいぞ!」といわれて、彼のおかげで観れたのです。どうもありがとう。おもしろかったから、DVDが出たら買うよ。

未リリース段階なので、ネタバレ少なめに書きます。セルビア国内でも出てなくて、てか、いつ出るのかぜんぜんわからないそうなんですが、いつか出るといいですね。

あとから追記。

その後、US版が出ました。いまは普通にamazon.comで買えます↓

私はこのエントリを書いたあと、セルビア国内版を送ってもらったんですが↓

US版の方はSpecial Editionなんだそうで、特典の内容がチョット違うみたい。US版には『Deleted Scenes』があるそうなんだけど、セルビア版にはないなあ。

追記以上。

感想

『フリークス (1932)』のフリークスたちを変態さんに置き換え、フロイトの『エロスとタナトス』をベースに、エッチなグロ描写を突っ込んで、ゴアゴアにしたらこうなった、みたいな映画。

言葉が足らなかったと思うので、追記します。私自身は、この映画の変態さんを奇形者だと蔑んでいるわけじゃないんですよ。映画の中ではこのひとたちはどこにいってもいぢめられるんですね。それが『フリークス (1932)』のかわいそうな奇形たちとカブったのです。そういう意味です。追記以上。

筋書きだけを見ると↓

「映画監督を夢見る男が、謎の男にスナッフつくれといわれて、報酬に釣られて、ソレをやっちゃう」

というお話は『セルビアン・フィルム (2010)』によく似ていますが、映画の雰囲気はぜんぜんちがいます。動機もちがう。あちらではキチガイが狂信的な芸術論をわめいていましたが、こちらは純粋にカネ目的。最後のほうで、スナッフフィルムを買いたがるお得意さんたちが出てくるんだが、彼らは喜んで、マルコさんの殺人ショーを見にきたんだが、台詞はなかった。うれしそうな顔で見てるだけ。それだけでずいぶん異常で、インパクトありましたが。

マルコさんがプロデューサー氏とケンカするきっかけになった映像作品ていうのがおもしろいのでそのあらすじを紹介します。こんなの↓

「貧乏農夫が豆の畑を始めたが、ぜんぜん作物が育たない。彼は大地とsexして精液を畑に注入する(『グレートハンティング (1975)』とそっくり)。そしたら、不思議な植物が生えてきて、たまたま通りがかったヤクの売人がそれを盗んで、葉っぱを吸ったら、ラリラリになって、どーのこーの」

いかにもインディーズ臭いですね。大事な予算を使ってこんなもんを作ってしまったマルコさんは師匠に怒られ、青臭い芸術論をブチかまし、我慢できなくなって飛び出していったのです。

『大地とのsex』というのにずいぶんこだわりがあるみたい。旅芸人以降もこれの変形ネタが出てくる。こちらでは、男が大地とsexしたら地面から手が出てきてチンコを切り取られ、泣いて家に帰ったら、奥さんに「チンコどうした!」と怒られる。というヤツであった。これに田舎のオッチャンたちはガハハと喜ぶのです。

ここらへんまではお笑い先行で進行するんだが、スナッフの話が出てくると、徐々に暗くなって、楽しかった時間は終わってしまい、お笑いゴアから悲惨ゴアに暗転し、マルコさんは死に場所を探しているような顔になってくる。

彼の周囲には常に死が漂うようになり、悲劇なのか救済なのかよくわからないエンディングに着地する。よくわかんねーよ!という感想を持つひともいるかもしれないが、最後のほうでマルコさんが女を相手に「sexと死」について心情を述べるシーンがあって、結局、あれが映画のテーマだったのかなと思いました。だから私的にはちゃんとわかった気がしました。

わかった気はしたけど、かなり異質です。異質であることに加え、ものすごく嫌悪感を起こさせるシーンがいくつかある。あれを見たら、すべてを否定したくなるひとも多いのではないか。でもそれは人間として正常な反応だから、この映画を嫌いになるという気持ちもまた、この映画に対するcomplimentだとおもいますよ。

マルコさんという男の生き様を見て、単なるマスターベーション野郎だと思うもよし、なんかわかる気がするなあ、としみじみするもよし。というかんじです。

監督さんその他いろいろ

ムラデン・ジョルジェヴィッチ監督は『ゾーン・オブ・ザ・デッド (2009)』にチョイ役で出ていたそうです。このひと↓

Mladen Djordjevicさん
Mladen Djordjevic

あとですね、この映画の特殊メイクはMiroslav Lakobrijaていうひとなんだが、彼は『ゾーン・オブ・ザ・デッド (2009)』『セルビアン・フィルム (2010)』の特殊メイクもやってるんですよ。こんなアンちゃん↓

Miroslav Lakobrijaさん
Miroslav Lakobrija
(Zone Of The Dead Making Video)

彼は『ゾーン・オブ・ザ・デッド (2009)』のメイキングに出ていたのですが、愛嬌のある顔して、いつもニコニコしてるひとだなーと思ってたら、もう最近じゃセルビアのホラー業界じゃ大人気のメイクアーティストなんだそうな。

余談ですが、私、以前、この周辺のだれかがつくったインディーズのショートフィルムを見せてもらったんだが、それにも出ていましたよ。

Miroslav Lakobrijaの公式サイト↓

上のサイトにいくと特殊メイクの画像がたくさんある。

なんだか知らないが、セルビアのホラー業界は活況ですなあ。日本のバイヤー/ディストリビューターのみなさんはぜひぜひコンタクトをしてみてください。

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原題: Zivot i smrt porno bande
別題: Leben und Tod einer Pornobande
Life and Death of Porno Gang
The Life and Death of a Porno Gang
Zivljenje in smrt porno tolpe
制作年: 2009年
制作国: セルビア
公開日: 2009年2月28日 (セルビア) (FEST)
2009年7月18日 (韓国) (PiFan International Film Festival)
2009年9月 (イギリス) (Raindance Film Festival)
2009年10月24日 (ドイツ) (Pornfilmfestival Berlin)
2009年10月30日 (イタリア) (Ravenna Nightmare Film Festival)
2010年7月10日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2010年7月18日 (アメリカ) (Danger After Dark Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: Zivot i smrt porno bande
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