2013/8/8 (Thu) at 11:03 am

映画|エビデンス 全滅|Evidence

溶接トーチで四肢切断。犯罪現場から回収されたビデオ記録を、科学捜査専門の刑事が精査解明するスリラー映画。新機軸のファウンドフッテージ。スティーヴン・モイヤーラダ・ミッチェルトーレイ・デヴィートケイトリン・ステイシー。監督オラントゥンデ・オスサンミ。2013年。

エビデンス 全滅 / Evidence DVDDVD画像

ここはネバダ砂漠。べガスから100キロ以上離れた砂漠のど真ん中。

鉄クズが散乱するトラックヤードの無人廃墟で、多数の丸焦げズタズタ切断死体が発見された。ニュースは大騒ぎ。生存者は2名。ひとりは重傷意識不明。もうひとりはショック状態で話せない。これじゃ証言を得られないから、警察はやきもきする。

ここで登場するのが、forensic(警察の科学捜査)の中でも、ビデオ映像の分析を専門に行う捜査官たちである。刑事コンビ(ラダ・ミッチェル + スティーヴン・モイヤー)と、助手エンジニア(バラク・ハードリー)。

彼らは現場から回収されたビデオカメラ2台 + ケータイ + スマートフォンの動画を、先端的な手法で分析し、事件を解明していく。人間の証言はコロコロ変わるが、ビデオの証拠は確実に決め手になるから、こんな専門家は頼りになるよね。

Detective Burquez: Witnesses lie, the camera doesn't.

「証言者は嘘をつく。カメラは嘘をつかない」

つまり、これは『ファウンドフッテージを刑事たちといっしょに鑑賞するファンドフッテージ映画』てわけです。ガチャガチャのホームビデオ映像がたくさん出るが、ところどころで刑事たちの会話になり、先端ハイテクでどーこーしたり、映像を解説してくれるので、いつものPOV映画よりも飽きない趣向です。なかなかおもしろい。

さっそく映像をチェックしたらば、ふたりのカワイコちゃんが出てきて、うだうだしゃべるのが出てくるもんで、ミッチェルさんはうんざりし「事件が起きるトコまで早送りして」というんだが、モイヤーさんは「だめだめ。ぜんぶ見なくちゃ」つって反対する。

刑事たちはしばらく我慢して、ダルいホームビデオを鑑賞するのであります。モイヤーさんの直感は正しかったという点が後からわかるのですが。

ふたりの娘はリアン(トーレイ・デヴィート)とレイチェル(ケイトリン・ステイシー)といって、映画学校の同級生で、女優の卵と映画監督の卵である。ハリウッドに憧れるコンビは、べガスに向けて出発する。

女優になりたいリアンさんは、おめめをきらきらさせてこんな台詞をいう↓

Leann: You and me are gonna make a movie together one day. Just you and I. It's gonna be a masterpiece.

「ふたりでいつかいっしょに映画をつくろうね。傑作になるよ」

映画を観ているあなたはこういいたくなる↓

「べガスにいけばデビューできるわけでもなかろうに」

夢見るアーパー娘にそんな説教をしても仕方がありません。彼女たちは「そこになにかがある」と信じ、だから、旅の様子をすべてビデオ記録することにした。将来、リアンさんが大女優になったとき、こんなメモリアルビデオがあったらいいじゃないですか。『Before They Were Famous』(スターの無名時代)みたいなかんじで。

この旅には、リアンさんのカレシであり、ギター弾き男のタイラーさん(ノーラン・ジェラード・ファンク)も同行する。彼は出発する前に間の悪いことをやらかして、気まずくなってしまったんだが、ふたりに説得され、直前に合流した。

3人はシャトルバスに乗って出発。途中で他の乗客も乗ってくる。ロシア人ダンサー女(スヴェトラーナ・メトキナ)とか、スタンダップコメディアンに憧れる16歳の坊や(Albert Kuo)とか。運転手を演じるのは、ハリー・J・レニックス

この先、もうひとつビデオカメラが出てくるが、これはダンサー女所有のカメラで、彼女が息子への誕生日プレゼントとして買ったものだった。

乗客の顔ぶれはいかにもべガス行きのバスに乗ってる人たちという雰囲気で、彼らは遠足きぶんでワイワイと楽しげ。刑事たちはつぶさに観察し、乗客の中に怪しいオバちゃんを発見するんだが、これについては後述します。

さて、バスは町を出て、砂漠に入る。すると運転手は途中でルートを変える。どうしたんだ。と思ったら「こっちで乗客を拾うから」というんだが、なんかへんだよね。

この直後にアクシデント発生。バスは事故を起こして、走れなくなってしまう。みなさんが砂漠の道を歩いていったら、廃墟を発見。夜になったらキチガイキラーが出てきてウギャー!

溶接マスクをかぶったキラーが闇を徘徊し、溶接トーチで人間を襲う。鉄板を切るみたいに、手足をトーチ切断。ブオーーと炎を浴びせて、丸焦げにしちゃう。あぁ、おそろしい。なんてひどいことをするんだ。陰惨な犯罪現場を見馴れているはずの刑事たちもこれにはびっくり。顔がひんまがってしまう。こんなやつはぜったいに許せん。

てわけで、やっと事件の核心に近づいたわけだが、さきほど触れた怪しいオバちゃんについてである。カトリナ(デイル・ディッキー)なる女は、他の乗客と距離を置き、ギロリ顔でカメラを睨みつけ、大きなバッグを大事そうに抱えている。映像を拡大したら、バッグの中はものすごい札束ではないか。刑事たちは大興奮。

「このババアはナニモノだ!」つって、詳しい話は映画でどうぞと思うが、映像にチラと映る〇〇から身元を特定。さらに彼女と夫の経歴が明かされ、夫が重要参考人としてマークされ、たちまち居場所を特定。SWATが部屋に突入。サクサクいくところがテレビドラマみたい。

やったではないか。チョロいぜ。ガッツポーズだ。とみなさんは安堵するが、もちろんこれはスカだった。そんなに簡単に終わったらおもしろくないよね。

やがて刑事たちは、戦慄する事態に直面するのです。

彼らがビデオを分析して、一生懸命に仕事をしているあいだに、証拠ビデオのコピー(刑事たちが見ているのと同じもの)がテレビやネットに流出。えー。

警察のサーバにアクセスするなんて限りなく不可能で、いったいどうやったのか見当もつかないが、この犯人はじつにたちの悪い劇場型の犯罪者で、警察をセセラ笑うことに悦びを感じているのです。刑事たちは目をぱちくり。唖然とし、そして、自分たちがコケにされたと知るや、メラメラと怒る。く、くそぉおおオオオオオォ!

最後はびっくり仰天のtwistが待っているよ。おすすめ。

トレイラー動画

Evidence (2013) trailer

邦題『エビデンス 全滅』

追記。

この映画は邦題『エビデンス 全滅』にて、2013年10月5日、劇場公開予定だそうです↓

追記以上。

感想

私、スティーヴン・モイヤーラダ・ミッチェルのどちらも好きなのですが、これは期待以上におもしろかったです。

びっくりオチにびっくりです。最初のへんは「テレビドラマみたいだなあ」なんて思いながら見てましたが、もしこのオチをテレビのエピソードでやったら、tv.comのbbsは「Stupid!」の嵐で、大ブーイングが起きるんじゃないですか。でも、映画ファンはこの手のヤツに寛容だと思う。テレビファンと映画ファンって、微妙に許容点が違うよね。

オチに至る伏線がうまく貼られていたのはえらい。最後にズラズラーと真相が明かされる場面は、おー、そうかー、と楽しかった。でもムリムリ感もあって、見終えて3分後にはいろんな疑問が頭に浮かんでくる。でも、ま、許容です。

オラントゥンデ・オスサンミ監督は『THE 4TH KIND フォース・カインド (2009)』の監督でもある。どちらも変わった趣向のモキュメンタリ映画です。彼は凝ったプロットを考えるのが好きなんだなあ。プロットの練り具合は『THE 4TH KIND フォース・カインド (2009)』の方が上だと思うが、映画としては、こちらの方がずっとおもしろい。という点がじつに映画的だなと思いました。

ホラーファンが注目するであろう溶接トーチ殺人の場面ですが、手持ちのブレブレ映像だったり、ナイトビジョン映像だったりするので、鮮明ではないけれども、うまくつくってあってかなりギョッとしました。

みなさんのレビューを読ませてもらうと、意見が割れています。嫌だっていう人はホームビデオ映像がえんえん流れるのがかったるいみたい。確かにそれはあって、必要なトコだけ見せてくれりゃいいのに、という気もするが、でもさ、それをやったら緊張感が薄れてしまうという気もするんで、これでよかったんじゃないの。

最後にひとつ文句。ラダ・ミッチェル演じる女刑事がdumbバカすぎるのではないか。そこが小さな傷だった。

DVDは来月発売予定

私はこの映画をiTunesUSで見ましたが、Blu-Ray/DVDは2013年8月20日に発売予定だそうです↓

Memorable Quotes

girls: Okay, so, America! Are you ready? For the story of Leann Hookplat, from the the girl next door to America's ???? ....

Leann: Rach, you and me are gonna make a movie together one day. Just you and I. It's gonna be a masterpiece.

Tyler: You can't fix this with editing.
Rachel: I can fix anything with editing.

Rachel: With everything that's happening, does it put everything into perspective? Does almost dying kind of put everything in perspective?
Leann: That's right. We all could've...

Katrina Fleishman: It's like the reality stars you see on TV. There ain't no reason for them to be famous. But they are. Like God just reached down and touched them, changed their whole lives forever. Well, he done the same thing to my Gerry. But it wasn't no touch. It was a stomp. Looks like God's like God's got his stompin' boots on again. See ya soon, baby.

Leann: I don't want to marry you! Get it through your skull! I don't want to marry you! God! Go write a fucking song about it, and pretend to be good at something! Jesus Christ!

Fear Me As You Fear God.

Detective Reese: The timecode is not breaking with the glitches. They're not glitches. They're edits.

Rachel: This is our little editing suite, we'll get video later when Stacy gets out... Jen, Yeah!

girls: That's it. Thanks for watching. Remember, the next time someone's filming you, You could be in the sequel.

備忘録としてネタバレを以下に書きますが、未見の方は読まない方がいいですよ。

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原題: Evidence
別題: Evidências
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邦題(カタカナ): 『エビデンス -全滅-』
制作年: 2013年
制作国: アメリカ
公開日: 2013年7月18日 (ロシア)
2013年7月19日 (アメリカ)
2013年10月5日 (日本)
2013年12月13日 (ドイツ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Evidence
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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