映画|デス・チャット|The Den

ここはLA。

エリザベスさん（メラニー・パパリア）はチャット大好き娘。部屋にこもり、誰かを相手におしゃべりをするのが日課である。

そんな彼女のお気に入りはDEN CHATなるサイトで、ここにアクセスをすれば、お手軽にチャット相手を見つけられる。いろんな国のひとが出てきて、気に入らなければ、ポンポンと切り替えられる。簡単お見合いソフトみたいなヤツ。LINEってこういうものなの？と思うが、おじさんはLINEをやったことがないから知らない。

チャット中毒の女はチャットに入れ込むあまり、趣味と実益を兼ねたらいいではないかと考え、大学の研究課題にこれを申請してみたところ、許可を得ることができてしまった。つまりうだうだとチャットをし定期的にレポートを書けばお金をもらえるのである。

こうなるとプロのチャッターである。日本にはチャットレディというサクラ仕事があるが、こちらは大学の研究課題としてやるのだから、なんだか重みが違いますね。こっちの方がえらそうです。やってることは同じなんだが。いやサクラさんの方が苦労が多いかもしれない。

こんな重度のヒキコモリ女はいったいどんなヤツなのか。どうせ汚いスエットを着た汚いデブ娘にちがいないと思うだろうが、意外なことにけっこうな美人である。映画ですから。

こんな女にもリアルの友達が何人かいる。恋人男もいる。姉もいる。周囲の人たちはことあるごとに「外に出ておいで」と誘うんだが、そこはヒキコモリ女なので、なんだかんだと言い訳をして部屋にこもっている。んで、彼女はせっせとチャットにいそしむんだが、そうこうするうち、へんなことが起きる。

Pyagrl*16というアカウント名のヤツがよく出てくるんだが、なぜかコイツは動画がなく静止画しか出てこない。画像だけ見ればきれいな女だが、こんなものはあてにならない。適当にパスしてたんだが、度々コイツとつながって、なんだかきもちわりーと思ったら、いきなり若い娘がズダーンとブッ殺される映像が出てきてギョギョギョ。

彼女はアワを食って警察に届けたが、刑事は映像を見て「よくできてるもんだねー」つって本気にしない。その後も色々と事件が起きる。カレシが急にいなくなるとか、彼女のパソコンが遠隔操作されてしまうとか、いろんなことが起きて、チャット娘はリアルホラーを体験するってわけです。いったい誰がいたずらをやってるのか。カレシがやってるように見えるし、チャット友達の男がやってるような雰囲気もある。あるいは他のだれか？

この映画はファウンドフッテージ映画です。映画の前半はエリザベスさんのMacの画面がそのまま出てくる。後半になってお話が進むと、他の人のパソコンやらiPhoneやら他にもいろいろ出てきます。

トレイラー動画

The Den (2013) trailer

感想

まぁまぁオッケー。くらいかなあ。

「ビデオチャットでこんなのが出てきたらスゲー」的な大仰天を期待したが、そこまでのもんはなかった。おもしろいネタはあったがどれも想定内である。後半になると、いい加減なPOV映画特有の矛盾が噴出してくるが、そこはインディーズなので我慢するとしても、キャラクターがつまらないという点は痛い。エリザベスという女は色々とバカなので、感情移入する気にならないのである。彼女がもっと勇気ある女性で、敵と対決する姿勢を見せてくれたらよかったのにと思う。

よかった点もある。ウギャーな場面のいくつかは、ありきたりではあるがよくできていた。この監督さんはPOVにこだわらず、本式のスラッシャー映画をつくったらいいんじゃないかな。そういうのをやったらおもしろいものをこさえる気がする。

ところでこの映画にはビデオチャットの画面がたくさんあるが、その中にチラとこの男が出るんだが↓

このオヤジはどっかで見たなーと思ったら、この前レビューを書いた『Children of Sorrow (2014)』でインチキ教祖様を演じていたビル・オバースト・Jrではないか。これはインチキ教祖様がインチキチャットで信者集めをしているというジョークなんだろうか。だとしたらおもしろいが、このネタがわかるには、両方の映画を観ていなければならない。そんな酔狂な暇人はなかなかいないだろう。

あ、書き忘れたので追記。『デス・チャット (2013)』はiTunesUSでただいま公開中です。

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