映画|ブラッド ローズ|La Rose écorchée
美にとり憑かれた画家と美人妻の悲劇を描くフランス古典エロティックホラー。出演フィリップ・ルメール、アニー・デュプレー他。監督クロード・ミュロ。1970年。
フレデリク・ランサクは『フランス版 天知茂』ってかんじのダンディ男で、名の知れた画家である。若くて美しい妻アンヌを溺愛する愛の日々。ふたりが住んでる家は森の中の古城で、小人(こびと)の召使いがふたりいる。先代の男爵の時代から城に棲みついてるふたり組なんだそうだ。彼らは見ためブキミだが悪さはしない。忠実に召使いの仕事をしている。この舞台設定がなんともフランスデカダンス。
不幸な事故があって、美人妻は全身ヤケドを負った。その美貌は失われ、モンスターのような顔になった。絶望するヤケド妻。彼女はひきこもりとなり、口を開けば恨み言をいうようになった。その怒りはすべての美女に向けられる。絶望したゆえに性格も悪くなったみたいだ。一方、彼女の美しさを忘れられないフレデリクもまた悲しみのひととなり、彼は病人のような顔つきになって外出しなくなった。
フレデリクは、ある日、自分の近くに美容整形の天才男がいると知って希望を見いだした。この男っちゅうのがマッドサイエンティスト風で、毒のバラを栽培していて、警察から追われているという濃いキャラである。男は警察に突き出されると困るんで手術をすることに同意したが、そのためには新鮮な女性の顔の皮膚がいるという。顔を取り替えちゃうんだな。フレデリクは美女を拉致監禁に走る。が、なかなかこれがうまくいかない。やっと捕まえたと思ったら顔に傷ができちゃったりするもんだから、何度も殺人をするはめになる。
※感想
70年代のフランスB級ホラーっていうんでしょうか。いかにもソレふうのタイトル題字。パッケージに "The First Sex-Horror Film Ever Made!" って書いてある。美女がワンサカ出てきて、わーわー逃げ回って男が追い回すんだけど、逃げる方も追う方も妙に動作が優雅というか、貴族臭がぷんぷんする。女はハダカかイロっぽいネグリジェみたいなのを着てます。エローイ絶望感というか。画面に漂うなんともいえない押し殺した雰囲気は、いまのホラーではなかなか味わえないものですね。悲しいメロディがずっと鳴ってる。
Spoiler Alert !!!!
ネタバレ注意!!
ネタバレ
ラスト。
フレデリクはやっとこさ望みの美女を拉致できたんで、整形外科医を呼んだ。彼は手術道具を持ってやってきたけれど、命乞いをする犠牲者を見て絶望した。彼に手術をしろというフレデリクとその妻は狂ってるし、いやだと断れば警察に追われる。どっちもいや。てわけで彼は首吊り自殺をした。
せっかく美女を拉致したのに医者が死んじゃったのでフレデリクは絶望した。一方、ヤケド妻は絶望どころか怒りだした。彼女は召使いの小人に当たり散らした。「わたしがあんたらみたいなモンスターと同じだから、あんたらは内心うれしいんでしょ!」とわーわーいったら、小人たちはついに怒った。長年アゴで使われ、人間の尊厳はなく、ただ主人の慈悲にすがって生きてきた彼らの鬱屈した怒りが爆発したのか。ヤケド妻に襲いかかって惨殺。
フレデリクはどうでもよくなっちゃったようであり、拉致した女性のロープを切ってやった。そしたら怒りのおさまらない小人がフレデリクに襲いかかった。ヤリでおなかを刺された。そこに拉致された女性がきて、小人をメスでメッタ切りにした。拉致女性は恋人が助けにきたんでサッサと逃げた。ひとりになったフレデリクは警察に電話して自首した。ぜんぶ自分が殺したといったらせいせいしたみたいだ。小人の死体を見おろしたら、生き残った方の小人が悲しい目で彼を見た。パトカーを待つあいだ、アトリエに行って美しかった妻の肖像画に取り組む。おしまい〜。
※彼はその後、精神病院で暮したんだろうか。そういう続編があったらいいと思うんだけど。
ラストシーンで、拉致された女性が小人におなかを刺されたフレデリクを助けるというのが不思議でした。彼女にとってフレデリクは憎い相手のはずではないか。その点がわけがわからなかったんだけど、自分を拉致した相手であっても見ためがキモい小人よりはマシという選択なんでしょうか。私にはその理由しか思いつけなかったのですが。なんとも歪んでますねー。あるいは狂った彼に同情したから?でもフレデリクは彼女の妹を殺してるんだから、そんな同情をするなんてへんだなと思うのですが。
twitterのご案内
当ブログをお読みくださり、ありがとうございます。twitterやってます。ホラー映画好きな方はフォローしてくださいませ。サイトの更新や新作ホラーの情報を随時流しています↓
Facebookのご案内
ノスタルジックな古典ホラー/サスペンス
- The Road to Dracula (1999)
- 魔人ドラキュラ スペイン語版 (1931)
- 魔人ドラキュラ (1931)
- 血ぬられた墓標 (1960)
- The Perfume of the Lady in Black (1974)
- ドラキュラ'72 (1972)
- バンパイア・ラヴァーズ (1970)
- 血のエクソシズム/ドラキュラの復活 (1970)
- ドラキュラ血の味 (1970)
- 帰って来たドラキュラ (1968)
- 凶人ドラキュラ (1966)
- 吸血鬼ドラキュラの花嫁 (1960)
- 暴行列車 (1975)
- 恐怖 (1961)
- Short Night of Glass Dolls (1971)
- バイオスパン/暗黒の実験 (1976)
- La Rose écorchée (1970)
- 吸血鬼ドラキュラ (1958)
- 悪魔の花嫁 (1968)
- ノスフェラトゥ (1979)
フランスのホラー映画
- トールマン (2012)
- ザ・パック 餌になる女 (2010)
- CAGED -監禁- (2010)
- In Their Sleep (2010)
- 7 DAYS リベンジ (2010)
- DEAD CLIFF デッドクリフ (2009)
- マーターズ (2008)
- 屋敷女 (2007)
- フロンティア (2007)
- La Rose écorchée (1970)
- ハイテンション (2003)
『ホラー映画 :: 洋画』の最近のエントリ
- Bite School (2015)
- 短編映画|Japanese Legends: SLIT
- アトロズ|Atroz (2015)
- Faim De Mort Trilogy (2015)
- 話題の短編ホラー『Night of the Slasher(切り裂き魔の夜)』無料オンラインリリース!
- La Petite Mort 2: The Nasty Tapes (2014)
- ドリー・デッドリー|Dolly Deadly (2016)
- 短編ホラー映画|ピッグスキン|Pigskin (2015)
- Good Tidings
- ザ・リフト|The Rift (2016)
La rose écorchée | |
Devil's Maniac H comme horreur Horror Maske Ravaged The Blood Rose The Burnt Rose The Flayed Rose Tre gocce di sangue per una rosa | |
1970年 | |
フランス | |
1970年9月25日 (フランス) 1970年10月 (アメリカ) | |
imdb.com :: La rose écorchée |
- Claude Mulot :: クロード・ミュロ [imdb] ([scenario] [adaptation])
- Jean Larriaga :: ジャン・ラリアーガ [imdb] ([scenario] [adaptation])
- Edgar Oppenheimer :: エドガー・オッペンハイマー [imdb] ([scenario] [adaptation])
- Philippe Lemaire :: フィリップ・ルメール [imdb] (Frédéric)
- Anny Duperey :: アニー・デュプレー [imdb] (Anne)
- Olivia Robin :: オリヴィア・ロビン [imdb] (Barbara)
- Michèle Perello :: ミシェル・ペレロ [imdb] (Agnès)
- Jean-Pierre Honoré :: ジャン=ピエール・オノール [imdb] (Paul Bertin)
- Jacques Seiler :: ジャック・セーレル [imdb] (Le policier)
- Michel Charrel :: ミシェル・シャレル [imdb] (L'homme louche)
- Roberto :: ロベルト [imdb] (Igor)
- Howard Vernon :: ハワード・ヴァーノン [imdb] (Professeur Römer)
- Elizabeth Teissier [imdb] (Moira)
- Valérie Boisgel [imdb] (Catherine)
- Gérard-Antoine Huart [imdb] (Wilfried)
- Johnny Cacao [imdb] (Olaf)
- Véronique Verlhac [imdb] (La cliente de la galerie)
- Edgar Oppenheimer :: エドガー・オッペンハイマー [imdb] (producer)