映画|DNA|Dying Breed

プロローグ。

タスマニアの暗黒の歴史が冒頭でサマリされる。かつてオーストラリアはイギリスの植民地で、流刑地だった。中でもVan Diemen's Land（現在のタスマニア）は重犯罪者が跋扈する苛烈な場所だったが、この土地において、たったひとりだけ脱獄を果たしたものがいた。その名はAlexander Pearce。別名Pieman。彼は人肉を食ってジャングルを生き延びたのであろうか。

現在。

幻の絶滅種タスマニア・タイガーを求めて4名の男女がタスマニアの密林にいく。ミラー・フォークス演じるヒロインおねーちゃんが探検旅行の発案者で、リー・ワネルはその恋人、残りのふたりは友達カップルである。

彼らの目的はトラ探しだが、もうひとつ理由があって、それはミラー・フォークスの妹（or 姉かどうかわかんないが、とりあえず妹ということにしておく）が8年前にタスマニアで溺死したという前置き話があって、姉としては愛する家族が死んだ地をこの目で見ておきたいという希望があるのであった。

てわけで、ワイワイやってきた4人組はトラを追って密林深くに入るが、そこで出会ったカニバリズムを伝承する稀少家系のみなさんにガオーと襲われる。トラどころか人食い人種を見つけちゃったよというホラー。『SAW』でおなじみリー・ワネルのヒキツリ顔ワナワナ演技を楽しもう！

※感想

ネイサン・フィリップス演じる友達男は濃いキャラだった。この男は悪人ではないが、空気を読めない大バカで、起きているあいだじゅう他人の神経を逆撫でし続けるという希有な才能を持つ。こんなjerk男といっしょに旅行するなんて、自制心を鍛えるための修行の旅をするようなものであろう。こういうバカいるよなーと思わず同意しちゃうナイスなキャスティングであった。彼が死ぬところはよかった。

希少種のトラをカニバリストに例えているのがおもしろい。タスマニアといえば、きれいな大自然や野生動物の映像をよく見るけれど、観光用のビデオとはぜんぜんちがう風景だった。陰湿不潔なジャングルは部外者を痛めつける存在であり、そこに住む者たちはジロリと粘着視線を投げてくるのだ。こんなところぜったい行きたくない！

事故で溺死したといわれていた妹はじつはカニバリストのみなさんに○○されて、××されちゃってましたというホラー話はものすごく非道な内容で（タイトルでネタバレしちゃってるよね）、後半30分のクライマックスはとてもどきどきしておもしろかった。でもちょびっと出てくるいくつかのグロシーンはあるものの、総じてマイルドな残虐描写だった。もう少し刺激的な特殊効果をしてくれたらよかったのになとおもった。

• 
• 
• 
• 
• 
• 
• Tweet