2012/12/29 (Sat) at 6:00 am

映画|マザーズデイ|Mother's Day

マザーズデー (1980)』のリメイク。レベッカ・デモーネイジェイミー・キングショーン・アシュモア。監督ダーレン・リン・バウズマン。2010年。

マザーズデイ / Mother"s Day DVDDVD画像

兄弟トリオ(パトリック・フリューガーウォーレン・コールマット・オリアリー)の銀行強盗が逃走中。ひとりは撃たれて重傷。行き場を失った彼らは、ママの家に逃げ込んだ。

そしたら家の持ち主が変わっているではないか。息子たちが知らないあいだに、ママは家を手放したとあとからわかるのだが、そんなことを知らない強盗さんは「おまえら、なにしてやがる」と怒って、みんなを捕まえる。

家主は若い金持ち夫婦(ジェイミー・キングフランク・グリロ)。彼らはかつてそこに強盗ママが住んでいたなんて知らずに、差し押さえ物件の家を格安で手に入れた。友達連中(ブリアナ・エヴィガンショーン・アシュモアリサ・マルコスリリク・ベントキャンディス・マクルーア、他)を招いてパーティをやってたところに男たちがなだれ込んできたってわけで、とんだ災難である。

強盗団の目下の心配は重傷を負った末っ子である。運良く人質の中に医者(ショーン・アシュモア)がいたからそいつに治療をさせる。彼らは人質を脅したりしつつ、ママと連絡をとり、やがて間もなくママ(レベッカ・デモーネイ)と末娘(デボラ・アン・ウォール)がやってきた。いったいどんなママがくるのかなと思ったら、意外にもきれいなママだった。

「ママー!どうして家がこんなことになってるの?」「いろいろあったのよ。それでお金は?」と聞かれた長男は「うぐぅ」と口ごもる。どうやら息子たちは大金ゲットに失敗したらしい。ママはこわい顔になる。

このママは普通のママでなく、3人の息子 + 娘を支配し、強盗をやらせる狂ママである。「ママのいいつけをどうして守れないの?」と問いつめる姿は、ドジな選挙スタッフを叱責するヒラリー・クリントンみたい。みためはきれいなママだが、やっぱりこわいよね。

ところが人質に対しては意外に優しい雰囲気。「あらま、床に這いつくばるなんておやめになって。みなさん、こちらに座って。おらくになさってね」とかなんとかいうのである。

人質たちは彼女の出現に希望を見いだすが、お金の話になったらまたまた事態はヤバくなる。ママが引っ越したと知らない息子たちが、数ヶ月に渡り、現金を郵便で送っていたそうな。いったいそのカネはどこにいったのか。家主夫婦が持ってるはず。とママは睨んでいる。

ところが、夫婦は「お金なんか知らない。なにも受け取ってない」という。それでママはガガーと怒って拷問が始まる。恐怖の夜が始まるってわけです。

オリジナル版『マザーズデー (1980)』との関連

ママを喜ばせるのが大好きな子供たちと、キチガイママの物語。この基本設定はそのままに、リメイクはまったくちがうお話になった。中でもいちばんの違いは、結末近くで明かされるママと子供たちの関係である。

オリジナルでは息子ふたりだけだったがリメイクでは2名追加。長男Ike、次男Addleyという名前は、オリジナルからの引き継ぎ。

リメイクにも『Queenie』というワードが出てくるが、その意味は新しいものになった。これについては詳細後述。

台詞やら小物やらにオマージュネタがいろいろあった。

マザーズデー (1980)』のチャールズ・カウフマン監督とロイド・カウフマンのカメオがあった。テレビの中でチラと出てくる↓

ロイド・カウフマン 画像

ロイド・カウフマン、チャールズ・カウフマン 画像

トレイラー動画

Mother's Day (2010) trailer

感想

よかったところ↓

わるかったところ↓

  • 息子たちはおもしろくない
  • もっと変態マザコンでギタギタにやるべきではないか
  • 中盤はclicheばかりでつまらない
  • 誰が浮気してたとか
  • 誰が嘘ついたとか
  • 子供をなくした親がどうしたとか
  • そういうの、もういい
  • Queenie話がつまらない

総じて、ノリきれなかった。この映画を褒めているひとは多いから、私は少数派みたい。レベッカ・デモーネイは確かによかったですが、それだけでぜんぶオッケー!とは思えなかったなあ。『マザーズデー (1980)』というカルト映画のリメイクであることに加え、バウズマン監督だから期待値が高まる。だからハードルを高くしちゃったのかもしれない。

以下は文句。好きなひとにはすませんが。

ママの名台詞「You've made your mother very proud!」の部分はじつによくなかった。死にかけ息子を励ます場面で出てきたけど、あんな風に涙目でいうような台詞ではないよね。もっとギンギラギンに、狂オーラむんむんで、ドスーンと決めてほしかったところであります。

最後のQueenieについては、オリジナルを見てない方にはよくわからないと思うので説明します。Queenieてのは元々こんな話だったのでした↓

ママは息子ふたりをアゴで使い、いばりくさっているが、じつはひとつだけこわいものがある。それはQueenie。Queenieは元々ママの姉妹だったが、それは肉親と呼べるようなものではなく、真に邪悪な悪魔である。Queenieは森に隠れてママを殺そうと狙っている。

だからママはいつも「わたしをひとりにするな。ママがQueenieに殺されてもいいのか」って息子たちにいう。でも、そんな怪物を誰も見たことがない。つまり、ママはQueenieなるものを脳内創作し、こわがって見せ、息子たちにかまってもらいたいのです。バカみたいな話だが、これがキチガイママのキャラを立たせるギミックとして使われていた。

ダーレン・リン・バウズマン監督はリメイクするにあたり、Queenieの設定を少し書きかえた。リメイクにおけるママは「わるさをするとQueenieがくるよ。こわいよ」と子供を脅す口実に使っている。ナマハゲがくるよ。みたいな。似てるけどちがうよね。

バウズマンさんは『マザーズデー (1980)』のBlu-Rayのオマケに入っているチャールズ・カウフマンとの対談で「監督!ぼかあ、こんどのリメイクでは、新しいQueenieを考えついたんですよ!すごいんだから!」なんつって期待させるようなことをいっていたが、結局、つまらないナマハゲ話ではないか。デボラ・アン・ウォールが演じた末娘は、Queenie話のためだけにつくられた役だったのではないか。

私が持ってるのはDVD / Blu-Rayのコンボだが、オマケなんにもなしでした。字幕はついてた↓

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原題: Mother's Day
別題: Sangriento día de las madres
День матери
Anneler günü
Dominados Pelo Ódio
Mother's Day
Mother's Day - Mutter ist wieder da
Thanasimi mitera
Yom ha'em ha'arur
邦題(カタカナ): 『マザーズデイ』
制作年: 2010年
制作国: アメリカ
公開日: 2010年9月23日 (アメリカ) (Fantastic Fest premiere)
2010年10月16日 (スペイン) (Sitges International Fantastic Film Festival)
2011年2月26日 (イギリス) (Glasgow Film Festival)
2011年3月19日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2011年6月9日 (ドイツ) (DVD)
2011年6月10日 (イギリス)
2011年12月2日 (日本) (DVD)
2012年1月17日 (フランス) (DVD)
2012年1月27日 (フランス) (Gerardmer Fantasy Film Festival)
2012年5月4日 (アメリカ) (limited)
2012年5月8日 (カナダ) (DVD & Blu-ray発売)
2012年5月8日 (アメリカ) (DVD & Blu-ray発売)
imdb.com: imdb.com :: Mother's Day
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
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