映画|バンパイア・ラヴァーズ|The Vampire Lovers
19世紀のヨーロッパを舞台にしたお色気美女満載レズビアンヴァンパイア。レ・ファニュ著『吸血鬼カーミラ』原作の古典ホラー。イングリッド・ピット、ピッパ・スティール、マデリン・スミス、ピーター・カッシング他。監督ロイ・ウォード・ベイカー。1970年。
SPOILER!!!
ネタバレです!!!
【登場人物のみなさん】
ミルカーラ・カーンシュタイン/マルシーラ/カルミーラ ... ヴァンパイア血族カーンシュタイン家の生き残りの美女レズビアンヴァンパイア。美少女ギャルがだいすき。マルシーラ、カルミーラといった偽名を名乗って金持ちの屋敷に潜入する。客人になりすまして、その家の美少女に接近。心身ともに籠絡して淫らな世界に誘い、吸血を繰り返す。ターゲット美少女は毎夜悪夢にうなされ、やがてコテンと死ぬ。男を襲うときもあるが、それは相手を利用するため、あるいは殺すためといった戦略的な理由でやってるようであり、本命はやっぱり美少女。映画中で出てきた棺の碑銘によれば、1522年生まれで、1546年没。
ハートグ男爵 ... 妹イザベラ (1775 - 1794) を殺されてヴァンパイアハンターになった男。
スピールスドーフ将軍 ... 広大な敷地の邸宅を所有するお金持ち将軍。愛する姪を殺され、復讐を決意する。
ローラ ... スピールスドーフ将軍が実の娘のようにかわいがる姪は可憐な美少女。彼女の豪華な誕生日パーティから映画は始まります。キャーキャーキャーの三段絶叫演技がよかったです。
エマ・モートン ... ローラの親友。こちらも美少女ナンバーワン。お色気シーン多数あり。トップレスヌードもあってサービス満点。オーイエー。
ロジャー・モートン ... エマの父親。
カール・エバート ... エマを愛する純粋純朴青年。
マダム・パラドー ... エマの家庭教師は才知あふれる美女だったが、ミルカーラの策略に落ちちゃうのであり、淫らな夢の虜になり、用済み後は殺された。
レントン ... モートンの家にいるおじさん執事。モートン不在のあいだ、エマを守ろうと必死に工作するが、ミルカーラに誘惑され、利用され、ポイと殺された。
謎の男 ... 陰からこっそりミルカーラの行動を見守っているニタニタ笑い男。最後までその正体は明かされず。
グレチン ... エマの家のかわいいメイドさん。
グスタフ ... エマの家のネコ。
【物語】
冒頭プロローグ。カーンシュタイン城でヴァンパイアの行動を見守るハンター男。彼の名はハートグ男爵。妹イザベラを殺されて復讐のオニとなり、ひそかに反撃しているんである。ヴァンパイアは夜になると墓から出てきて人を襲う。彼らは棺の上に経帷子(きょうかたびら。死者を覆う布。英語でshroud)を置いていく。それを隠すとヴァンパイアは困っちゃうってことをハートグは知ってるんで、敵を導きだすことに成功した。追ってきたのは美女ヴァンパイア。ウガーと襲われそうになったが、胸の十字架のおかげでガツンと反撃。首チョンパで殺した。
その数年後。
お金持ち男のスピールスドーフ将軍の豪華なパーティ。彼が愛する姪ローラのお誕生日だっていうんで、お金持ちのみなさんが大集合。ダンスを踊ります。その中にマルシーラていう美女がいた。男たちの目はクギづけになるくらいの美人だったが、彼女はレズなのでその目的は男でなく、ローラである。
マルシーラの母と名乗る上品な公爵夫人に不意の連絡が入る。「友達が急死した」と聞いた婦人は「すぐに帰らなくちゃ」となり「しばらく娘を預かってもらえないか」と将軍にお願いした。将軍は快諾。マルシーラは将軍の客人として滞在することになった。
※「友人急死」を知らせた男は謎の存在である。映画のあいだじゅうヴァンパイア女のやることを陰から見守り、ニタニタ笑いをしていた。公爵夫人と共にわるもんのアシスト役をやってるんだと思われるが、その正体は謎。
マルシーラとローラはすぐに仲良くなった。ふたりがニコニコと遊んでいるシーンは美しいニンフが戯れているようである。ローラは狂おしいほどにマルシーラを好きになっちゃったが、同時に彼女は悪夢にうなされるようになった。ネコに襲われる夢だそうである。衰弱の果てに、やがてコテンと死亡。その胸にはヴァンパイアのカミキズがあった。将軍は嘆き悲しんだ。ローラ死亡と同時にマルシーラはどこかに消えてしまった。
ケムリのように姿を消したマルシーラは、こんどはカルミーラと名前を変え、ローラの親友エマの家の客人居候になることに成功した。エマもローラと同じくかわいい女の子であり、ローラと同じくカルミーラの淫らな策略に籠絡される。こんな会話してました。エマが悪夢の内容を話すところ↓
Emma: A cat comes and sits at the foot of my bed, staring. Then it reaches out towards me. And I try to scream. But my throat is strangled. And it lies across me, warm and heavy, and I feel its fur in my mouth. And I retch with fear! And then...
Carmilla: And then?
Emma: It turns into you.
Carmilla: Me!
Emma: And then you embrace me and kiss me. And suddenly everything's all right and I'm so happy. But even as you're holding me close, I feel a pain, sharp as needles, dragging at me. I feel the life running out of me, as though my blood were being drawn.
Carmilla: And?
Emma: I wake, and scream.
Carmilla: My poor darling. You know you'll always be safe as long as you're with me?
エマの父ロジャー・モートンはカルミーラと入れ替わりに出張に出た。主人不在とあって、カルミーラはやりたい邦題。すきなだけローラと遊べる。エマの家には、バラドーっていう家庭教師のマダム熟女と、レントンていうおじさん執事がいた。毎夜悪夢にうなされるエマの話を聞いたバラドーはこんなこといってました。なかなかおもしろい台詞↓
Trouble with this part of the world is they have too many fairy tales.
カルミーラにとってバラドーとレントンは邪魔である。バラドーをサッサと誘惑して味方につけたが、レントンのほうには手間取った。レントンは主人に忠実な家来であり、エマが病弱になっていると知るや、医者を連れてくるとか、ニンニクの花を部屋に置くなんていう鋭い手を打ってくるのでカルミーラは腹が立つ。レズビアンの美学には反するが、医者を殺し、レントンを誘惑して脅威を取り去るという対抗手段に出た。
いくつかの悪魔的誘惑シーンが続く中、近隣の村では若い女性がヴァンパイアに狙われるという事件が頻発しており、人々は怯えていた。そうこうやってるうちに父ロジャーが帰宅。衰弱する娘を見た彼は驚き、自ら医者を呼びにいった。
森を急いでいたらば、スピールスドーフ将軍、ハートグ男爵、カールの乗る馬車とハチ合わせした。「医者を呼びにいくんだ」といったら、その死体を見せられた。将軍たちはヴァンパイアの脅威を知り、作戦行動のまっさいちゅうだったのである。
ヴァンパイア突撃チームにロジャーも加わり、一行はハートグの発案によってカーンシュタイン城に向かう。ここでハートグの口から昔のことが明かされた。彼は妹を殺された復讐をやっていてカーンシュタイン一族のヴァンパイアをぜんぶ殺すつもりだったんだけど、ひたすらに墓を掘り起こしてクイを打つという重労働に疲れてしまい、すべてをやり遂げることができなかったと告白した。たったひとりだけ棺を発見できなかったそうである。
それがすなわち、ミルカーラ・カーンシュタインという女性であり、マルシーラやらカルミーラやらといった偽名を名乗ってわるさをしているんだとわかった。城の中にはミルカーラの肖像画があったので、それを見てぜんぶわかったのである。「エマが危険だ!」と気づいた一行はカールを至急に帰らせた。彼がいちばん若くて、森の近道を知っているからである。
城では、将軍たちがミルカーラの棺を探しており、カールは大急ぎでエマ救出に向かっている。カールがやっとこさエマの家に到着したらば、エマは瀕死のありさまで、カルミーラことミルカーラは邪魔者レントンとバラドーを殺したあとだった。
ミルカーラとカールの一騎打ち。ばんばん。ピンチ!となったところで、カールは十字架を使って形勢逆転。うりゃうりゃと攻めたら、ミルカーラはあきらめて去っていった。ケムリのように姿を消した。ふぅ。
あっちで消えたミルカーラは城に現れた。瞬間移動のワザを使えるようです。不意に現れた美女に気づいた将軍チームは彼女の後を尾ける。棺を発見。おそるおそる開けたらミルカーラが眠っていた。木クイを心臓にずがーん。首をチョッキーン。てわけで、わるもんは退治されました。
おしまい〜。
※映画のあいだじゅう、あちこちでミルカーラの行動を見守っていた謎の男の秘密は明かされませんでした。彼がニターリと笑っている口元にキバがあるように見えるんだけど、はっきりとはわからなかった。
※原作は1872年に発表された古典小説、ジョゼフ・ジョゼフ・シェルダン・レ・ファニュ著『吸血鬼カーミラ』。
ヴァン・ヘルシングでおなじみのピーター・カッシングだが、この映画では娘を殺された普通のおじさんという役柄でファンはチトがっかりだったかもしれないが、ラストでミルカーラの胸にクイを打ち込む役を彼がやったので少しは納得できたかも?
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『バンパイア・ラヴァーズ』 | |
1970年 | |
イギリス/アメリカ | |
1970年10月4日 (イギリス) 1970年10月22日 (アメリカ) | |
imdb.com :: The Vampire Lovers |
- Sheridan Le Fanu :: ジョゼフ・シェルダン・レ・ファニュ [imdb] (story "Carmilla")
- Harry Fine :: ハリー・ファイン [imdb] (adaptation)
- Tudor Gates :: チューダー・ゲイツ [imdb] (adaptation)
- Michael Style :: マイケル・スタイル [imdb] (adaptation)
- Tudor Gates :: チューダー・ゲイツ [imdb] (screenplay)
- Ingrid Pitt :: イングリッド・ピット [imdb] (Marcilla / Carmilla / Mircalla Karnstein)
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