2011/2/24 (Thu) at 6:12 pm

映画|The Color Out of Space (Die Farbe)

ラブクラフト原作『宇宙からの色(The Colour Out of Space)』を題材にした、文藝タッチのゴシックホラー映画。ドイツ。監督Huan Vu。2010年。

The Color Out of Space (Die Farbe) DVDDVD画像

1975年。マサチューセッツ州、アーカム。

ジョナサン・デイヴィス(インゴ・ヘイズ)の父親(パトリック・ピアース)は失踪した。ジョナサンは手を尽くして探し回り、父はドイツにいったらしいと知る。彼の父は第二次世界大戦において軍医として従軍し、ドイツにいったことがあるんだが、いまさらどうしてそこに行く必要があったのか。謎である。彼も父を追ってドイツに旅立った。

ジョナサンは小さな村にたどり着き、アーミン(ミカエル・カルシュ)という男に出会って父の手がかりを得る。農夫であるアーミンさんは、終戦直後、ジョナサンの父(若い方はラルフ・リヒテンベルク)と出会い、彼といっしょに世にも不思議な現象を目撃したそうな。それは父にとって生涯忘れられない衝撃体験だったらしい。

問題の目撃場所というのは、いまはさびれた過疎村で、ダム建設が進行中であり、もうすぐ貯水池の底に沈んでしまう。父はその場所が水没する前に、もういちどその目で見ておきたいと強く願ってここにやってきたってことらしいんだが、彼らはいったいナニを目撃したのであろうか。

アーミンさんは「あんな場所ははやく水没すればいいのだ」と述べ、この言葉を不思議がるジョナサンを見て「あぁ、きみはなにも知らないんだね」と悲しげにいい、重い口を開いて、昔話を語り始める。彼が父に出会った、そのまた以前に起きた、忌まわしい出来事の数々が明かされます。

ここから昔話。

若かりし頃のアーミンさん(若い方はMarco Leibnitz)が登場。当時の彼はげんきいっぱいの青年農夫という風情である。

ある日、彼の家の近所に隕石がどどーんと墜落した。墜落地点は、隣人農夫のガーテナーさんち(Erik Rastetter)の農場内であった。ガーテナーさんは当時50代の壮健な農夫で、妻と3人の息子といっしょに暮らしていた。彼は墜落地点にいってびっくり仰天。

ガーテナーさんはさっそく町に連絡をし、えらい科学者の先生たちがやってきて、アレコレと調査をして、標本サンプルを持ち帰ったんだが、その後、不思議なことが起きた。

隕石は勝手に小さくなっていくとか、いつまでも熱を持っているとか、石のくせに柔らかいとか、いろいろあるんだが、いちばんへんなのは、それは時間が経つと消えてしまったという点である。隕石の中には、『世にも不思議な色を持つ球体』があったんだが、科学者オヤジがそれを壊したら、球体も消えてしまった。

「こんな現象は世紀の大発見だ!」と科学者連中はそわそわし、ニュースネタにもなったんだが、証拠である隕石そのものが消えてしまったわけだから、結局、なにもわからなくて、騒ぎは終結した。

第一発見者であるガーテナーさんとその家族は、大騒ぎに巻き込まれてひーこらしたんだが、やっとおさまったので、彼らは昔通りに平和な生活を取り戻した。

ところが、その後、奇怪な現象が始まった。秋になって収穫の季節になったら、ガーテナーさんの農場にはびっくりするような巨大な実が実って彼は大喜びしたんだが、その果実を口にしたら大いに落胆させられた。ヘドが出るような不味い食後感があったからである。これじゃ売れない。

という現象を皮切りに、彼の農地一帯は呪われたようになり、様相が変わってしまい、家族のみなさんはふさぎの虫にとりつかれて近所づきあいをしなくなった。

村人たちはこわがってだれも近づかなくなったが、仲良しのアーミンさんだけは友達一家を心配して気を配っていたんだが、事態は悪化。奇怪な現象がタテ続けに起き、善良でほがらかだったガーテナーさん一家は、ひとりづつ狂いだす。

トレイラー動画

Die Farbe (2010) trailer

Die Farbe』のUS版/ドイツ版は日本語字幕がついています

本作品のUS版/ドイツ版のDVD/Blu-Rayには日本語の字幕がついています。不肖、私、字幕作成をやらせて頂きました。

以下はUS版↓

日本のアマゾンでも売ってるのですが↓

ドイツ版Blu-Rayが一番画質がいいです。詳しくはこちらをご覧下さい↓

感想

監督/プロデューサーのHuan Vuさんが私にメールをくれて、「おれの映画をミロミロミロミロ」つって、DVDとBlu-Rayを送ってくれました!ワーイ!ホラーのブログをやってるとタマーにこういうことが起きるからうれしいです。監督、ありがとう。

ドイツのインディーズ映画です。PAL版DVDとBlu-rayはリリース済みで、公式サイトの通販ページで買えるんだが↓

まだamazonなどでは売られていません。現在、北米向けのNTSCも準備中だそうなので、そのうちいろんなところで買えるようになるんじゃないかな。

さて、感想ですが、これはなかなかのもんでしたよ。いやほんとに。もらったからいうわけじゃなくて。

低予算インディーズですが、俳優さんの演技はdecentであり、ゴシック調のシネマトグラフィは秀麗耽美です。アマチュアくさいもんではありません。監督さんは「おれ、インディーズ」といってるんだが、なにかプロの経歴があるんじゃないかなあ。そのうち聞いてみよう。

後からちょと追記。

と思ったら、あとからメイキングを見てたら、監督さんとVFXのひとが出てきて「ぼくらは、元々、この映画を大学の卒業製作の課題のつもりでやり始めたんだが、えれー大きい話になってきたんで(大学でもらえる予算ではまかないきれないという意味かな)、その後、自分らで独立してやったんですヨ」なんてことをいっていました。

追記以上。

ラブクラフト原作のホラー映画はたくさんあるものの、その大半は、監督さんが勝手に解釈を加えて、タダの怪物映画になってるヤツが多いですが、この映画では、ラブクラフトの小説世界がかなり忠実に映像化されています。『LOVEラブクラフト』なんですよ。文藝タッチのマニア向け映画。ラブクラフトの小説のファンはきっと喜ぶよ。

映画の冒頭でアーカムの図書館が出てくるのです。アレを見ると小説のファンはにやっとするんじゃないかな。アーカムというのは、ラブクラフトの小説にしょっちゅう出てくる架空の地名です。

小説『宇宙からの色(The Colour Out of Space)』は次のような設定でした↓

「隕石落下地点はアーカム郊外で、そこは近々貯水池に水没する予定で、そこに調査員のアンちゃんがやってきて、こわい話を聞かされる」

映画ではこうなっています↓

「隕石落下地点はドイツ、そこに失踪父を捜すアメリカ人がやってきて、こわい話を聞かされる」

この部分だけが違うんだが、ソレ以外はほぼ原作通り。それなら本を読めばいいじゃん。と考えるのは早計です。このお話では『色』というものが大きな主題で、怪物なんかは出てこないんだが、その代わりに『この世にありえない色』を持つ不思議な物体が登場します。小説の読者がホエーと想像した『色』というものを、いかに映像化するのであるかという点が鑑賞に値するのですよ。この映画がモノクロであることの大きな意味があります。

原作から『色』に関する記述をいくつか引用してみましょう。

大滝啓裕氏の翻訳より引用↓

「その色は、ほとんど描写するのが不可能なもので、色と呼ぶこと自体、たとえにすぎなかった」
「言葉ではあらわせない不思議な色」
「だれもいままでみたことがないような色」
「果樹がすべて奇怪な色の花を咲かせ」
「正常な色はどこにも見あたらない」
「およそ色として知られているものには属さない、特異な色彩」

と、まァ、こんな調子で、『色』に関する記述がねちねちと出てくる小説なんですが、実際に、それは青いのか赤いのか、ぜんぜん教えてもらえないの。だから「どんな色なんだろうなー」つって、想像するのがおもしろい小説世界なんですね。

映画では、監督さんの解釈で、その『色』がバーンと出てくるんだが、その部分だけ色つきの映像なんだが、確かにアレは、当時の農夫にとっては途方もなくショッキングできもちわるい色だわなあと思われました。

色以外にもいくつかのおどろかせがあります。特に、狂っていく農夫のシーンはまるで悪魔憑依みたいでこわかった。ギョッとするよ。

てわけで、私的には、かなりよかったですが、残念なぶぶんもあります。本を読んでないひとにとっては、チトわかりづらいのではないかと思われる演出が多いんですね。

「隕石が小さくなっていく」という点が映像的にわかりづらい。「風がないのに木の枝が揺れる」という怪奇シーンは、単に枝が風で揺れているようにしか見えない。「呪われた地帯では不思議な燐光を発する」という怪奇現象があるんだが、映画の中でも蛍の光みたいなもんが出てくるんだが、それがチトわかりにくい。

上に書いたようなところは、原作で描写されている重要な怪奇ポイントなんですが、演出が地味地味ゆえに、それが怪奇なものであると気づかれなくて、スルーされてしまうかもしれないなあ。注意力が鋭いひとは気づくのかなあ。ハリウッド映画を見馴れている目には、気づかれにくいのではないかなあ。

という点はあるんだが、総じて、おもしろかったです。ぱちぱちぱち。

DVD / Blu-rayのオマケ

オマケいろいろあります。

BONUSMATERIALS:

  • Teaser [1 min]
  • Trailer [2 min]
  • Verlorene Szene

FEATURETTES:

  • Making of [23 min]
  • Effekte und Konzepte [7 min]
  • Science Horror [7 min]

メイキングは、撮影時のスティル写真のスライドショーに、監督さんの声でいろいろ教えてもらえるというもんです。当然ながら、カラー写真はモノクロの映画の映像と雰囲気がぜんぜん違う。彼らが使ったカメラは『The Drake』つって、これは監督さんの友達がつくった手製のカメラで、35mmのクラシックな映像の質感を再現できるHDカメラなんだそうな。すごく自慢げ。

『Effekte und Konzepte』てのはVFX関係のウラ話なんだが、これを見たら、ずいぶん手間ひまをかけてるんですなあとびっくりしました。見るひとが見れば一目瞭然なんでしょうけど、私は製作のことなんか知らないから、これを見て初めてわかりました。

あと、私が上に書いた『色』についても、いろいろ語ってます。このぶぶんはおもしろいから載せようかなと思ったんだが、それが何色かっていうのがわかっちゃうとつまんないからやめました。(通販で細々と売っているとはいえ)いまはまだ未リリース段階みたいなものだから、それはナイショってことで。

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原題: Die Farbe
別題: The Colour Out of Space
The Color Out of Space
制作年: 2010年
制作国: ドイツ
公開日: 2010年10月30日 (ドイツ) (Stuttgart)
2010年10月30日 (ドイツ)
2011年1月25日 (ドイツ) (Konstanz)
2012年8月5日 (ドイツ) (Cinestrange Filmfestival)
imdb.com: imdb.com :: Die Farbe
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
視覚効果(Visual Effects)

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