2008/11/14 (Fri) at 5:18 pm

映画|コール・オブ・クトゥルー|The Call of Cthulhu

H・P・ラヴクラフト著『クトゥルフの呼び声』を1920年代風モノクロ無声映画の手法で再現する。低予算ながら凝縮感のあるおもしろさ。マット・フォイヤーノア・ワグナー他。監督アンドリュー・レマン。2005年。

コール・オブ・クトゥルー / The Call of Cthulhu DVDDVD画像

精神病院にいる男が自身の経験を独白するというスタイルの映画。大昔のサイレント映画の体裁をとってますが、製作されたのは2005年です。知らずに見てたら、昔の映画なのかと思っちゃうかも。サイレント映画てのは、台詞の音声が一切なく、しゃべる映像と台詞の文章が交互に出てくるヤツです。音楽だけがずーと鳴ってる。紙芝居みたい。

さて、お話の内容ですが、語り手である主人公男が、精神病院の面会室でゴッホの『スターリーナイト』のパズルをやりながら、面会者に資料を渡すところから始まる。それは彼が大叔父から遺品として譲られたものなんだけど、彼はそれを「ぜったいに焼いてください!」と切ない顔でお願いする。気になるその中身は、クトゥルーの神話に関する詳細取材日記であった。

いろんなエピソードが出てくる。夢のお告げのような悪夢に苦しむ芸術家との面会記録。1908年のニューオーリンズの湿地帯で行われた狂信カルト集団の儀式。そこから発見された偶像。ニュージーランド沖で行方不明になった船員クルーが見た謎の島。そして復活する古代神。という数々の証拠書類を見た語り手男はその謎解きに夢中になり、ニュージーランド、ノルウェーといった各地を取材旅行する。そしてその果てには精神病院に落ち着いちゃったのであり、ガクガクと震えながら、自らの恐怖体験を語るのでありました。

【感想】

かなりおもしろかったです。モダンなホラー映画に比べれば刺激はありませんけれど、郷愁に満ちた暗闇というか。サイレント映画の手法ってのはおもしろいですが、これを延々ヤラレるとたまらんなと思ったのですが、普通の映画よりも短いのです。ぜんぶで50分弱。テレビドラマのエピソードと同じくらい。それがまたかえっていいんじゃないかと思いました。

DVDのextraは必見です。制作者のみなさんのインタビュー、メイキング、スチル写真などが見れます。モノクロの本編を見てから、カラーの映像を見るとなんだかおもしろい。監督その他のみなさんのインタビューを見ると、低予算映画ならではの和気あいあいとした雰囲気が見えて楽しいです。

映画よりこっちのほうがおもしろいかも。なんていっちゃいけないか!楽しい楽屋話が聞けるし、特殊撮影の手法もいろいろ見せてもらえます。謎の島の断崖絶壁迷路は木でつくったセットに段ボールをガムテでベタベタくっつけて、ペンキ塗っただけ。カルト教団の儀式はかなり怪しい雰囲気を出してましたが、あれはミニチュアセットでした。プラモデルのジオラマみたいなヤツ。たのしそうでいいなー。

サイレント映画だから台詞のぶぶんは口パクしか映らないわけで、俳優のみなさんはアドリブで好き勝手なことをしゃべっていたというのが明かされました。その音つき映像はかなりウケました。

監督のアンドリュー・レマンを含む製作クルーのみなさんもチョイ役であちこちに出てきます。プロデューサーも船員のひとりとして出てくる。『ウォーリーを探せ』遊びをやったらおもしろいかも。といういかにもアットホームなノリですが、俳優さんの演技は本格的です。

語り手男を演じたマット・フォイヤーていうひとは私はぜんぜん知りませんでしたけれども、苦悩する演技が若い頃のクラウス・キンスキーみたいな存在感があるなーと思って、さぞや有名な俳優なんだろと思ったら、imdb見たらば、ほとんどキャリアがないんですよね。コレを含めて出演作3本しかない。いったいどういうひとなんでしょうか。ハリウッドには逸材がゴロゴロしてるんですね。

SPOILER ALERT!!!
ネタバレです!

語り手男は大叔父の死後、譲り受け得た箱を開けてみる。中から新聞の切り抜きやらメモがたくさん出てきて、それらはラブクラフトのクトゥルー神話の真実性を裏づけるものだった。

1925年に遡る。大叔父はヘンリー・ウィルコックスという芸術家青年と出会った。青年はクトゥルーの迷路をさまようという悪夢に悩まされており、大叔父はその内容に興味を持った。「夢の内容を詳しく書き留めてください」とお願いし、何度も面会してたんだけど、3週間もするとヘンリーはこなくなった。昏睡状態に陥ったからである。彼はやがて目を覚ましたんだけど、昏睡する前にたくさんしゃべった夢のことをぜんぶ忘れていた。

という逸話を知った語り手男は、大叔父の資料をさらに詳しく見たらば、新聞の切り抜きがたくさんあって、それらはいずれも世界中で起きた不思議現象の数々だったんだけど、そのすべては1925年の3月後半に起きたとあった。資料の中にはカレンダーがあり、いろんな事件がメモ書きされていた。ヘンリーの夢も不思議イベントのひとつである。

さらに17年前に遡る。1908年。セントルイス大学で行われた考古学者の学会に、考古学とはまったく無縁な男が現れた。John Raymond Legrasseはニューオーリンズの刑事で、あるブツを専門家に鑑定をしてもらいたくてやってきたのだ。

彼がだいじそうに出したソレはクトゥルーの偶像である。これを見た学者たちはホエーと興味を示し「こんなもん初めてみた」と口を揃えていったが、ひとりだけ「見たことがある」という学者がいた。その学者はグリーンランドのエスキモーを取材したときに、それに似たもんを発見したそうである。そのときエスキモーのシャーマンはこういったそうである↓

"Ph'nglui mglw' nafh Cthulhu R'lyeh wgah'nagl fhtagn."

英語に直すとこうなるらしい↓

In his house at R'lyeh dead Cthulhu waits dreaming.

刑事のLegrasseはどうやって偶像をゲットしたかを学者たちに教えた。昨年の11月に湿地帯で事件が起きた。人々が失踪し、その奥から怪しい声が聞こえるというんでいってみたらば、気狂いカルト集団が復活の儀式を行っていた。生け贄の死体を捧げ、ハダカ踊りをやってた連中をまとめて逮捕した。その儀式の中心に据えられていたのがこの偶像だったのである。

その後、カルトの一員、カストロと名乗る男が「人間が現れるはるか昔の時代に他の星からきた『グレート・オールド・ワンズ』様が蘇るのだ〜うひゃうひゃ〜」とキチガイらしい口調でしゃべった。

the Great Old Ones - beings that came from the stars aeons before mankind. They sleep now, but will awake and reclaim their world. The Old Great Ones were, the Old Ones are, the Old Ones shall be. Great Cthulhu waits dreraming in the sunken city of R'lyeh. The stars will again be right, and He shall return! That is not dead which can eternal lie, and with strange aeons even death may die. We killed no one. We did what was asked of us. We performed the ritual. THEY came from the darkness to take what was offered.

そして次の事件簿。1925年の3月18日の新聞ってことで、時期が一致する。ニュージーランド沖で迷子になったヨットのクルーが無人の漁船を発見した。船名をAlertという。漁師たちはだれもいない。船の中に木箱を発見。開けてみたらば、例の偶像が出てきた。航海日誌を見たらば、3日前の記録に「島を発見」と書かれてあったが、そこらへんには島なんてないのである。

ヨットのクルーたちは無人船に乗り込んで海をウロウロしてたら、彼らもまた謎の島を見つけた。断崖絶壁岩だらけの島なんだけど、あがってみたら遺跡みたいなつくりになってて島の中は迷路になっていた。物珍しげにウロチョロしてたら『グレート・オールド・ワンズ』が復活〜。アワワとパニクる船員たちはダダダと死亡したが、たったひとりだけがサバイブした。

大叔父が残した記録はここで終わってたんだけど、語り手男は興味津々となり、ニュージーランドにいって博物館に収蔵されていた偶像を見せてもらい、さらにたったひとりの生き残りはヨハンセンていうノルウェー人で、オスロに帰ったと教わった。んで、オスロにGO。

会って話を聞きたかったのに、そのヨハンセンなる人物はすでに死亡しており、悲しみの未亡人が出てきた。未亡人はヨハンセンの日記を見せてくれた。それはすべて英語で書かれていた。彼は自分が経験したことを妻や近親者に知られたくなかったのである。

語り手男は恐怖と好奇心のはざまで葛藤するのであり、この日記を読んでいいものかどうか迷うんだけど、やっぱりそれを読んじゃう。そこにはこう書かれてあった。

What has risen may sink, and what has sunk may rise. We hear its call and wait our inevitable doom.

The most merciful thing in the world, I think, is the inability of the human mind to correlate its contents.

Someday the piecing together of associated knowledge will open such terrifying vistas of reality, and our frightful position therein, that we shall either so mad from the revelation or free from the deadly light to the peace and safety of a new dark age.

おしまい〜。

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原題: The Call of Cthulhu
別題: La llamada de Cthulhu
Cthulhu hívása
Зов Ктулху
制作年: 2005年
制作国: アメリカ
公開日: 2005年10月7日 (アメリカ) (H.P. Lovecraft Film Festival premiere)
2006年1月 (アメリカ) (Slamdance Film Festival)
2006年8月12日 (アメリカ) (Rhode Island International Film Festival)
imdb.com: imdb.com :: The Call of Cthulhu
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