映画|人喰殺人鬼|The Man-Eater (Zee-Oui)
不幸男が子供を殺して食っちゃう!タイのホラー映画。ドゥアン・ロン、チャッチャイ・プレンパニット、プレムシニー・ラタソファ。監督ブラニー・ラッチャイヤブ、ニダースタット=ナ・アユタヤー。2004年。
1946年。中国からバンコクにきた孤独男。彼はチャイナタウンの伯父を頼ってきたんだが、言葉はしゃべれず、奴隷のようにコキ使われ、子供にもヤーイといぢめられ、「うるせええ!」と怒ったらババアが出てきて「なにすんだよ!」とサンダルで殴られるという始末で、もうこんな生活イヤ!と逃げだす。日雇いの肉体労働で食いつなぐが、そこでもいぢめられる日々。おまけに持病のぜんそくが悪化してゲホゲホ。やっと薬を手に入れたと思ったら、いぢめっこに殴られて、だいじな薬はドブに捨てられる。だれも助けてくれない。やがて彼はキラーになる。子供の内臓を食っちゃうのです。それが喘息の治療になると考えているみたい。映画の合間にフラッシュバックがある。中国にいた頃、従軍した彼が鬼畜の日本兵(レイプしまくり)にいたぶられるシーンやら、貧乏村の貧乏ママの悲しいシーンがあったりする。実話ベースのホラー映画。
感想
いまいちでした。「キラーにも事情がある」的演出が濃すぎるのですね。この前見た『Meat Grinder (2009)』も同じかんじがあったなと思い出しました。こちらは「かわいそうな不幸女が人肉麺を売り出してウハウハ」という内容のタイホラーで、その設定はかなりよかったんだけど、やたらとかわいそうな回想シーンが出てくるのです。思うんですが、不幸なひとがキラーになるというよりも、逆に、不幸な人がどんどんヒデー目に遭った挙げ句に虫ケラのように殺される、というパターンの方がホラーっぽくていいと思うんですけど。でしょでしょ?
※ちょとあとから追記。といっても『Meat Grinder (2009)』のほうがゴアゴアは各段にすごいので、私的には『Meat Grinder (2009)』の方が勝ちです。追記以上。
キラーを追う突撃ジャーナリストのカワイコちゃんとその上司男ってのが出てくるんだけど、彼らは陳腐すぎて見ているのが苦痛でした。ありがちキャラがありがち台詞をしゃべるの。それでもゴアゴアがイケてればいいんだけど、そっちも中途半端だし。と文句を並べてますが、タイホラーらしい陰惨な雰囲気はよかったし、ところどころよいシーンもありました。
ところで、題名のZee-Ouiてのは、映画の主人公であるLi Huiのタイ語の名前です。タイにきた彼が税関で名前を聞かれて「ぼくの名前はリ・ホイ (Li Hui) です」と通訳を通じていうんだけど、相手は「はいはい、シーウィ(Zee-Oui)さんね」と決めつけられ、彼は頭にくる。中国語のLi Huiにあたる発音がタイ人には発声しにくいもんだから、シーウィさんになっちゃったのですねたぶん。私はタイ語も中国語もわかんないのですが、そういうことですよね?(ちがってたらツッコミよろしく)彼の抗議は聞いてもらえず、入国の書類にもZee-Ouiと書かれてしまうという始末で、初めて外国にきて怯える彼がさっそく浴びた洗礼がこれだったということで、それを映画の題名にしたというのはよいセンスでしたね。
余談ですが、これに似た話は日本人にもよくあります。昔、アメリカのアナウンサーが野茂英雄を『ハイデオ』と呼んでいたのを聞いたことがあるし、テニスの伊達公子が『ミス・デイト』と呼ばれていたのは有名です。彼らのランクが上がると審判もジャーナリストも敬意を込めて正しい発音で呼んでくれるようになるんだけど、最初のうちは無名ガイジンとして扱われる。人々には悪気はないんだが、呼ばれた方は屈辱感を味わう。これが外国かーみたいな。
この割礼儀式を回避したいという理由で、あらかじめ英語名で名乗るひとも多いですよね。『まこと』だったら『Mike』とか。こういう英語名が名刺に書かれてあるのをよく見ます。発音しづらい名前なんて不便でしょうがないから、こういうのはわかりやすくていいんじゃないかと思いますが、これをことさら大きくとりあげて「英語圏におべっかを使っているくそったれ」なんて陰口を叩く人も多いです。べつにいいじゃんねと思う反面、ずっと『デイト』と呼ばれ続けていたのが、ある日を境に『ダテ』と呼ばれるようになるのは達成感があると思うんで、快感を優先したいひとはあえて不便な道を選択するというのもアリかなと思います(我慢して快感を得るなんて変態フロイト的ですが)。
この名前問題はそもそもが『ローマ字表記』なんていうへんなものがあるせいだと私は思うのです。ローマ字 sucksですよ。あんなものなければいいのに。Dateと書いたら『デイト』と呼ばれるに決まってるわけで、それがいやなら "Datte" とか書いておけば、少しちがうけど似たような発音で最初から呼んでくれます。それで解決すると思うんですけどね。どうでしょうか。映画と関係ない話ですません。
SPOILER ALERT!!!!
ネタバレ!
彼が子供を殺した理由がラストの回想シーンで明かされる。彼が育った村では、公開処刑された犯罪者の内臓を病気がちな子供に食わせるというのをやっていたのですね。それが薬になると信じていたみたい。彼のママもそれをやっていた。彼が殺人に使っていたナイフはママからもらったヤツです。
ラストは追いつめられて逮捕される。一件落着かと思われたが、まだ疑問がある。彼が子供を殺して食ってたのは事実だが、他にもキラーがいるんじゃないかという疑いがあって(すべてを彼の犯行とするのは物理的にムリなので)、警察は困る。牢屋に警察(or 検事?)のえらいさんがきて「ぜんぶ自分が殺したと自供すれば中国に返してやる」と取引を迫られる。彼はその通りにするんだが、結局、死刑になる。警察は「一件落着!」てことにしたいから強引にそうしたのであり、じつはキラーはまだどこかにいるかもよという余韻を残して終了。

| 原題: | Zee-Oui |
| 邦題(カタカナ): | 『人喰殺人鬼』 |
| 制作年: | 2004年 |
| 制作国: | タイ |
| 制作スタジオ: | Matching Motion Pictures |
| imdb.com: | imdb.com :: Zee-Oui |
- Long Duan :: ドゥアン・ロン [imdb] (Zee-Oui)
- Premsinee Ratanasopha :: プリムシニ・ラタナソパァー [imdb] (Dara)
- Chatchai Plengpanich :: チャッチャイ・プレンパニット [imdb] (Santi)
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