映画|ファタリティ|The Fatality|Tok Tra Phee
中国で自殺した絶望男が目を覚ましたら、そこはタイの病院だった。肉体入れ替わり系のオカルトホラー。監督Tiwa Moeithaisong, Kuang Sheng, Lin Tsu Liang, Liang Hung Chih。台湾/タイ合作。2009年。
中国のどっかの都市。孤独な30男が人生に絶望して自殺する。次に目を覚ましたらそこはタイの病院で、彼は別人になっていた。目の前にきれいな女性がいて「Asanee!」と知らない名前で呼ばれて驚いた。のちにこの女性は彼の奥さんなんだと教わったが、見るもの聞くもの初めてである。ここはタイだから。
この場合、肉体が別人になったというだけで、頭の中は以前のままである。だからタイ語がわからないし、いろいろとたいへんなんだけど、男はとまどいつつこの状況を受け入れることにする。自殺する前の彼は絶望の孤独人生をやってたけれど、それに比べるとこっちはすばらしいのだ。仕事があり、家もあり、そしてなんと美人の奥さんつきである。こうなったらタイ語を勉強してこっちの生活になじんでしまおうと考えるのは必然である。
奥さんとか医者とか回りのひとたちは「不思議なこともあるもんだ」てな調子。やや落ち着いてから教わったところによると、タイ人Asaneeはある日とつぜん意識を失い、2ヶ月間も昏睡していたそうである。そして目が覚めたら、中国で自殺した男と入れ替わっていたということですね。
ところがこんどはこわいオバケをたくさん見るようになった。オバケたちはグロな外観で彼の前に次々と現れ、紙切れを渡そうとする。その紙っていうのは死亡証明書である。彼はこわくてパニクるが、のちのちわかったところによると、死者たちは彼にハンコを押してもらいたがっているのである。そうすると成仏できるらしい。男の肩には紋章みたいな図案のアザがある。どうやらこれが関係してるらしい。その後調べていったら、自分にはひとを殺せる能力があるってことを発見する。死亡証明書をつくってハンコを押すだけでそいつが死ぬのだ。『デスノート』みたいだが、この程度の類似でパクリだと騒いでもしょうがない。ホラーにはよくあることだから。
ところで、男の奥さんだが、彼女は美人なんだけどいろいろワケアリらしいとわかってくる。男が退院していっしょに家に帰ってきたらば、いきなり怒りだして男を殺そうとするのだ。「なにをふざけてるんだ!」とヒステリー気味にわめくのをなだめて「ほんとにわかんないんですヨ」といったら、こんどは泣き顔になり「わたしを殺さないの?」という。Asaneeってひとは殺人者だったんだろうか。と思ったら、この奥さんには愛人がいた。「わたしを殺さないの?」ってそういう意味か。きっとAsaneeは昏睡する前に妻の浮気を知り、それで痴話ケンカをしたんだなと推察される(じっさいは別の意味でAsaneeは殺人者だったとあとから明かされるんだけど、詳しくは映画でどうぞ)。男はじつに善人体質である。「ぼくは別人なんですヨ。あなたを殺したりしませんから、あなたもぼくを殺そうなんてしないでね」と優しくいい、彼女に信頼してもらおうとケナゲに努力する。
家つき女つきの新人生に期待したものの、オバケが出るわ、奥さんはめんどくさいわでいろいろ憂鬱である。でも男は男なりにこの新しい人生を歩んでいこうとがんばるのである。でもやっぱりこわいめにあう。ホラーだから。
※感想
スタンプを押すとひとが死ぬっていう設定は閻魔大王みたいで、いくつかおもしろいシーンはあったのだけれど、映画としてはちと盛り上がりに欠ける。淡白すぎ。
俳優さんたちの雰囲気が私の好みじゃないかも。元々のAsaneeが途中で出てくるんだけど、こっちは怨念の虜みたいなわるもんキャラなんだけど、これを演じるのがおぼっちゃま顔のアンちゃんで、邪悪な迫力がぜんぜんない。制作側は「優しそうな顔してじつはワルなのよ」という意外性を狙ったのかもしれないが。また、美人妻は悪女なんだけど、これまた悪女オーラがぜんぜんない。美人なんですけどね。俳優がぜんぜんホラーっぽくないんですよね。だからいまいちだなとおもいました。
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