2014/7/12 (Sat) at 4:25 pm

劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望

友松直之監督『レイプゾンビ』シリーズ完結の最新作。めぐり/亜紗美/あいかわ優衣/ももは/中沢健。2014年8月9日(土)- 15日(金)。池袋シネマ・ロサにて、1週間限定レイトショー。連日21時。舞台挨拶あり。映画館でしか見れない貴重バージョン。

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ここは東京。

世界中の男たちがキチガイレイプ魔と化し、そこらじゅうの女を襲いだす。足首高の極ズリパン。チンコをおっ立てて、ズンコズンコ!

レイプ魔男たちは『毒男』と呼ばれるゾンビである。毒男は手当たり次第に女をレイプして中出しをする。ヤラレた女は体に毒の精子が回って即死。

毒男は首チョンパされても死なない。キンタマを撃抜くか、チンコを切り落とすしかない。

しかし、中にはゾンビ化しない男もいる。生身の女に欲情をしない男たち(いわゆるキモオタ連中)だけがレイプゾンビ化しないが、そんな連中もいったん欲情をするとガオーとなる。

こんな設定のお笑いゾンビスプラッター映画『レイプゾンビ』は過去に3作品が出ている。来月2014年8月9日に最新作の最終章『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』が1週間限定で劇場公開される予定だが、これに先立ち、友松直之監督のご厚意により、スクリーナーDVDを観る機会を得たので感想を書きます。

のぞみ、かなえ、たまえー!

後日発売されるDVDと劇場版は中身が違う

まずは最初に大事なことを書きます。レイプゾンビの4と5は 2014年9月にDVDが出るんだが↓

8月に劇場公開されるヤツは、単に上の2枚のDVDを続けて見るのとは内容が違う。チトややこしいが、こういうことです↓

4の正式題は『レイプゾンビ LUST OF THE DEAD クローン巫女大戦』。5の正式題は『レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』。このふたつはDVDのシリーズである。んで、これらの4と5を合わせ、劇場用に再編集し、つくり直したのが『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』であるというわけで、つまり劇場版は劇場でしか見れない。しかも、監督さんによれば、劇場版の方がずっといいらしいよ↓

この「劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望」は、観なくては損なのである。基本は最終二作4&5のリミックス再編集版と言いつつも、高画質、新音源、30カットの新規合成カット、新撮影まで敢行した、DVD製品版とはまったく別作品とも言うべき、これぞレイプゾンビシリーズ真の完結編であり、納品期日の都合でぶっちゃけ製品版よりこっちのほうが完成度が高い(内緒)のである。一週間限定レイトショー、すなわちたった七回の上映の為だけに用意された費用対効果無視の暴挙。この七回の上映の後はすっきりとお蔵入りという「劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望」を観ないで何を観るのかという話だ。

劇場版は、2014年8月9日(土)- 15日(金)の一週間限定で公開される。池袋シネマ・ロサにて、連日21時より上映。上映後舞台挨拶もある。上のリンク先にどこで前売りチケットが買えるかとか、いつ行けば誰に会えるかとか書かれてあるから、詳しくはそっちを見てください。10枚まとめて買うと友松監督自らやってきてオマケをしてくれるそうですよ。

前売りチケットの購入はこちら↓

過去作品の簡単おさらい

過去3作品を見てから『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』をご覧になることを強くおすすめします。新作について書く前に、過去作品をざっとおさらい。

レイプゾンビ

毒男が蔓延する終末世界。

モモコさん(小林さや)はリストカット癖のあるダメOL。彼女は毒男上司にガオーと襲われたが、間一髪、お色気レズナースのノゾミさん(小沢アリス)に救われ、ふたりはいっしょに逃げた。

コンビは神社にたてこもり、他の女たちと出会う。カナエさん(亜紗美)は闘うコワモテ主婦。タマエさん(あいかわ優衣)はミニスカ女子高生。4名のカワイコちゃんは神社に篭城。

神社の神主ノボル(中沢健)が登場。彼は童貞キモオタで、毒男化してないから女たちといっしょに行動し、女たちにコスプレ衣装を提供したりするが、キモイキモイといぢめられ、仲間というより女に飼われるオモチャ男という雰囲気である。

血塗れウギャーな描写の合間に、片目隻眼の進化学者(貴山侑哉)がテレビのワイドショーに出てきて、独自理論を展開。このオッサンは一匹狼の進化オタクであり、この先もしぶとく生き残り、『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』においても、重要なサブキャラである。内田春菊が女総理大臣で出てきたり、次から次に色んなことが起きるが、ぜんぶ安っぽい。最後はドドーとアクション突入。

北朝鮮から核ミサイルがドッカーン!東京は灰燼と化す。

と同時にモモコ出産。赤ん坊を産み落とす。神々しい光に包まれて産まれた赤ちゃんは、突然変異の進化の賜物なのか。この世の救世主たりえるのであるか。メイドコスに身を包んだモモコさんが赤ちゃんを抱っこして、ガレキの町に足を踏み入れると、ゾンビたちはイエス様に出会った癩病患者のようであり、静々と頭を垂れる。なんなの!これ?!

レイプ・ゾンビ 2-3

前作の続き。灰燼と化した東京。

男でありながら女に欲情しない(つまり毒男化しない)オタ連中はアキバ帝国を組織し、独立国家を宣言。出産したモモコは彼らといっしょにいるが、なんだかボケちまったようで、ポワーンと焦点が定まらず、魂のヌケガラ状態。オタ連中の偶像崇拝の対象である。

一方、生き残った女たちは避難所キャンプにたてこもり、元自衛隊の女軍団が厳重警備中。女軍曹(青山真希)がレズ部下(衣緒菜、文月)を従えてわっせわっせと闘う。アキバ帝国は毒男ゾンビをうりゃうりゃとけしかけ、女たちを襲わせる。

全身グジュグジュ特大チンコのゾンビは、この映画のマスコットでトロマ映画のToxieみたいです。和服女(若林美保)がくるくる回ってキャー。カマトトムチムチミニスカ女子高生(鬼塚あみ)も出るよ。熟女好きは給食オバちゃん(佐倉萌)の切なげレズ演技をお楽しみください。

そんなある日、謎の金髪美少女アンドロイド(あいかわ優衣)が空から落ちてくる。これはアメリカ軍が秘密裏に送った偵察マシンであった。

そこに謎の夫婦(黒木歩 + 山段智昭)が出てきて、女たちをギョッとさせる。この夫婦の夫は見るからにイケメンで、キモオタ風情ではないにも関わらず、レイプゾンビ化していない、という点が注目を集め、さっそく女軍団のラボに呼ばれて研究対象となる(女科学者を演じるのが冨田じゅん。助手は里見瑶子)。この男の肉体を研究すれば、レイプゾンビ現象の謎が解けるかもしれないではないか。

ラボには『男を襲わないレイプゾンビ』も飼われている(池島ゆたか)。これも謎を解くための研究対象なんだが、SUBUという名前からなんとなくわかりますよね。

友松監督自ら出てくる場面は圧巻大迫力。彼の役どころはアキバ帝国のリーダー男で、キモオタ軍団を相手に大演説をする。『ピラニア (2010)』のイーライ・ロスに負けてないですね。監督自ら出てきて、映画の基本セオリを大声で説明するという、なんかすごい。

最後は女軍団とアキバ帝国が大激突アクション!

前作で華々しく爆死したカナエとノボルもクローン再生して再登場。5人セットのクローンカナエ軍団は、おそ松くんみたいである。手に手に武器を持ってUSアンドロイドに立ち向かう。と思ったら、テレビドラマみたいなクリフハンガーで終ってしまいましたよ。あー。妄想LOVE!!

後からインタビュー動画を見たら、ムチムチカマトトミニスカ女子高生を演じた鬼塚あみさんという人は、エキストラから急きょ抜擢されたそうだが(つまり素人さんだった)、ぜんぜんそんな風に見えない。いきなりあんなことやれといわれてできるなんてすごいよね。

私は最後のアクションの中で、セックスレス夫婦の奥さんが毒男化した夫にかぶりついてsexする場面がすごく好きです。阿部定みたいで。

そして最新作『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』

ポスター!ジャジャーン!劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (1) 画像

劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (2) 画像

あれから5年後。

モモコの子供、アキラは5歳なんだが(ももは)、みため高校生くらい。突然変異ベイビーは成長が早いらしい。成長が早いばかりでなく、彼女はオッパイがあり女性らしい体つきながら股の間にはチンコを備えるという、両性具有人間なのだった。

進化ベイビーのアキラさん劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (15) 画像

そんな調子で始まる最新作であるが、まずいっておかねばならないのは、重要なキャストであるお色気ナースのノゾミさんが小沢アリスからめぐりに変更されているという点である。回想シーンにおいては、わざわざ撮影し直し、置き換えられた映像が出てくる。また、モモコもいちおう出てくるが、小林さやは出ておらず、登場するときには後ろ姿だったり、過去映像を切り貼りしていたり、じつに、苦肉の策であることが忍ばれる。

新ノゾミのめぐりさん劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (11) 画像

これはとても残念だった。このコンビは好きだったのになー。新キャストのめぐりさんが悪いということはないが、やはり別人が演じているから違和感を覚えてしまう。

前作ラストの戦闘でモモコは死亡。他にもたくさんの人々が死んだが、ノゾミ/女科学者/他数名のメンツ(希咲あや + あん、衣緒菜 + 文月)はしぶとく生き残った。科学者女は再起復興を夢見て研究中。そして、こんどのお題はタイムトラベルである。要は、過去に戻って悪の根源を絶つのだ人類を救うのだ、という話だが、いったいどうやってそんなことが可能なんですかね。エッチなバイブを使うんですよ。以下は科学者先生(若林美保)の説明↓

「この極太のタイムマシン本体をあなたの膣内つまりマンコに挿入します。この蠕動する弁の部分が、陰核、クリトリスを刺激、このパール連鎖部分が肛門アナル直腸内の前立腺に届きます。本体が現在、弁が過去、パールが未来、本体にトルネードを加えて、マンコのGスポットをえぐり... (長いので中略)... イク先はあなたが過去にイッた瞬間。これは絶頂と絶頂をつなぐアクメリープ。肉体はそのままに精神だけをイカせるサイコリープなの」

ナ、ナ、ナンスカ。こんな長台詞をズラズラーと聞かされるとポカーンとするよね。これが劇場で公開されるときには、この場面になったら、観客たちは池のフナみたいな顔で口を開けていることだろう。とにかくですね、特大バイブで、マンコとクリトリスと肛門をグニューと刺激して、ブルブルガクガクアヘアヘすると、アッハーンと盛り上がり、「あー、イクー!」となった拍子に、ホイと過去に戻るのである。BTTFモドキの魔法バイブなのだ。

タイムトラベルの絵劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (5) 画像

んで、このタイムトラベルをやらされるのがノゾミさん。彼女はモモコを助けたい一心でこれをやる。愛する女を救うために命を賭けて時空を行き来する。んで、これに手を貸すのが童貞オタクで、いまは脱オタして、チンコナシの不完全クローン人間となったノボル。ふたりは漫才をやりながら過去旅行をする。ノボルは最後の最後までキモイキモイといわれっ放し。

その中で、あれだ、前作の最後でお預けをくらったあの場面、USアンドロイドと巫女軍団おそまつ君チームの死闘もある。この戦闘場面はさすがに気合いが入っており、アンドロイドがガメラみたいな動きをする。なかなかおもしろい。

死闘の後、アンドロイドは首だけになっちまって(『ミクロコップ (1991)』のSprug風)、隻眼進化学者の便利アイテムになってしまう。今回の進化学者は全身スタボロで、ホーキング博士みたいな電気声帯でしゃべる。どっかで拾ってきたみたいな安いラジカセなんだが、ちゃんと用は足しているようだ。

ノゾミさんは愛するモモコさんを助けて、世界を救えるんでしょうか。最後は人を食ったようなまさかの大林宣彦twistに落ちる。えー。あいかわらず安っぽくて無茶苦茶だが、じつはおおまじめなんだと思いますよ。

飛ぶアンドロイド!あいかわ優衣!
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亜紗美さんのお色気チャンバラ
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亜紗美さんのクローンチャンバラ
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乳揉ませろゾンビ痴漢電車
いいですなあ!希咲あや!
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おなじみの女自衛隊!
文月 + 衣緒菜!
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唯我独尊の進化学者、貴山侑哉に
コバカ視線を放つ両性具有人間のももはさん
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安っぽいゾンビメイク!
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安っぽい死闘!劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望 (17) 画像

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トレイラー動画

感想

レイプゾンビ』連作の中で繰り返し語られる映画の基本理論は、次のようなものである↓

テストステロン(男性ホルモンの一種)は、男女を接合させ、と同時に断絶させる永遠のワナである。『勝つオス』に群がる女たちは、男たちを籠絡する。性欲に駆られる男たちは、女を喜ばせるために人生をがんばる。スポーツとかお金儲けとか。彼らは勝ち組だのリア充だのといわれていい気になって、童貞オタをいぢめる。女もキャーキャーいって、いっしょにいぢめる。オタ連中は「こんなキモイヤツラはきっといつかひどい犯罪をやらかすにちがいない!」とゴミムシ扱いされるが、しかしながら、真なる犯罪予備軍はオタでなく、リア充の方である。彼らはその本性を露にして、毒男になった。性欲イコール愛。一方、オタ連中は性欲を『萌え』に昇華させることに成功し、ゾンビ化しない。つっても、この映画でオタ連中がヒーローになることはない。彼らは性欲を昇華したが、憎しみを昇華することはできなかった。世の女を恨んで恨んで恨み倒して、女たちに毒男をけしかけて、ウケケーと喜んでいる。結局、男はどちらに転んでも哀れなのですね。

レイプゾンビ』連作の至るところに、友松監督の『悲しみの俺』が噴出している。いちばんわかりやすいのは本人が出てきてアジる場面だが、あればかりでなく、ときには隻眼の進化学者だったり、ノボルだったり、しゃべるゾンビだったり、映画のあちらこちらで『悲しみの俺』が顔を出す。本作『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』においても、彼自身の投影が随所にあって、私たちはあっけにとられる。友松印の『青年の主張』映画だ。

『悲しみの俺』と書いたが、これにぴんとこない人もいるかもしれない。友松さんはそんなに可愛げのある男かね。と不思議に思うひとには『怒れる太古の俺』と書けばわかってもらえるだろうか。どっちにしても同じ意味である。

こんな粘着感を苦手に感じる向きには不愉快なのだろうが、そんなお客さんはわざわざこれを見ないだろうから、本新作はあらかじめ観客が選定されているという前提であり、ゆえに、ますます『悲しみの俺』は龍の如くに天高く駆け上り、「もっとやったれ」「おれが、おれが」と募るきもちが増していったらこうなった、という調子である。

断絶を前に絶望する男たちの愛の遠吠え。ヤらせてください。でなく、ヤりましょうか。でもなく、「ヤラせろォオおォ」としかいえない男の性根を女は永遠にわからない。なぜあなたはそんな口の聞き方しかできないの?わたしをイカせてよ!能無し!やくたたず!キモいんだよ!といわれる度に男の心は萎え、目の前に降りたシャッターに無数の血痕がこびりついているのを見たとき、名状しがたい怒りがドドーと押し寄せ、萎えたチンコに血流が蘇り、怒髪天であり、雲を超えて天を突くチンコはこわいものなしになる。おまえになんか死んでも頭を下げてやるか。おれの毒精子を受けてみろおおおぉおおおおォ!原始の叫びを聞けええええええ!

みたいな心境なんですかね。

なんて見てきたようなことをしゃべっているが、実際にどうなのかは監督さんに訊いてみないとわからないし、だいたい私は友松直之という人の映画をそんなにたくさん見ていないから、あまり確かなことはいえない。

つい先頃、『エイリアン・クロール (2014)』のコンビと@darknesschackさんのお陰で、監督さんとお近づきになれた。その顛末は友松さんがブログに書いてくださった通りである。こんな風に書いてもらえて光栄です↓

それまでは『STACY (2001)』以外、彼のことをぜんぜん知らなかった。監督に勧められて『本当はエロいグリム童話 レッド・スウォード』を見た。そのときの感想↓

この程度のにわかファンにも関わらず、「スクリーナーを送ります」といわれたときには、光栄に思うと同時に、彼の熱狂的なファンを差し置いて私が見せてもらうのは申し訳なく思った。できる限り予習をしようと『レイプゾンビ』の1-2-3を見てから、スクリーナーを見た。監督のブログを読み、Youtubeにあったキャストのみなさんのインタビュー動画をぜんぶ見た。聞き手は切通理作さん(@risaku)。おもしろいからみんなも見るといいですよ。スゲーたくさんある↓

上記のリサーチを経てわかったのは、友松直之というひとは映画でこれだけ主張をしても、まだぜんぜん言い足りないようであり、twitterやブログやYoutubeでびっくりすることを発言し続けているという点であった。あっちこっちで「レイプ肯定論」だのなんだの、おそろしいことをいいまくっているのを見、「映画を売るため、身を粉にしてなりきりモードに入っているのであるか」と思っていた。

ところが、である。

お近づきになれたお陰で、彼が『STACY (2001)』をつくった頃に自費出版したという貴重な刊行物『月刊トモマツ』ていうのを読ませてもらった。大槻ケンヂ/内田春菊/その他/いろんな人との対談やら、『STACY (2001)』の自筆絵コンテやら、非常に読み応えのある本なのだが、その最後におそろしく濃い内容の人生日記が載っている。

そして、10年以上前に刊行されたこの本の中に、既に、レイプゾンビの構想があるのである。いや、「こんな映画をつくりたい」と彼が書いているのではなくてですね、その人生そのものが「『レイプゾンビ』はかくして産まれたのか」と納得できる内容なのだ(つっても彼が昔レイパーだったという意味ではないですよ)。その中には、『劇場版レイプゾンビ LUST OF THE DEAD 新たなる絶望』のエンディング間近にそっくりの場面が、彼の実際の記憶として記されている(映画ではラグビー部なんだけど本の中ではハンドボール部)。

これを読んで私は本当にびっくりした。この人はじつにまったく本気なのだなあ。何年もかけて鬱々と毒色の精液を貯めながらこの企画を熟れさせていったのだなあ。そしていまも彼は弥生町に住んでいるのだなあ(この意味は『月刊トモマツ』を読めばわかるよ)。と深く感じ入った。

こんな風に映画を観るのは邪道ではないか。つくった人間の半生などはまったく関わりなく、好き勝手に楽しめばいいじゃん。文句いいたかったらいえばいいじゃん。と、思いつつ、なんていうのかね、許せてしまうというか、彼の『悲しみの俺』がこっちに流入してくるのを止めることができないのである。これがこのひとの芸なの?

一番最後に、あのテーマ曲が流れて、キャストのみなさんがうわーと出てきて歌をうたう。あれを見てたら、細かい文句なんかは雲散霧消してしまった。前述したように、私は「小沢アリスちゃんがいいのに!どうしてモモコは不自然な後ろ姿なんだ!」とべちべちと文句をいいながら見ていたのだが、最後にめぐりさんがうれしそうに歌っているのを見たら、「こんなにかわいいネーチャンだったの?」とかいって、いっしょに口ずさんでいる私がいるのである。知らないあいだにケツを掘られていたきぶんがする。

※ハンドボール部とラグビー部の話はここにも載っています↓

時代はチンコなのか

ところで、余談だが、近年、なんの因果か知らないが、世界のあちこちでチンコ映画がたくさんつくられている。『レイプゾンビ』が出たのは2011年。その後2-3と続いて、2014年に完結篇である。同じ頃、『The Taint (2010)』が出てみんなをびっくりさせた。こちらは男たちがある日とつぜん狂いだして、ミソジニー狂になっちまって、そこらじゅうの女たちをデカチンコで破壊していくという映画である。そして、ロイド・カウフマンの話題作『Return to Nuke 'Em High Vol.1 + Vol.2』では、レズのカワイコちゃんの股間に巨大チンコが生えて、バッタバッタと阿呆な男たちをブッ飛ばす。さらに、知名度はチト落ちるが、アルゼンチンでは、Gorevisionさんが気を吐いて『Goretech: Welcome to the Planet Motherfucker (2012)』てのをつくった。これはじつにまったく汚らしくてくだらなくて安っぽいことなら誰にも負けない無予算インディーズのチンコ映画だが、彼らの次回作では、さらに強力に「ミュータント・チンコが出るらしいよ」という情報もある(ココ)。どれもこれもなかなかのもんである。世界各地で勃発する低予算ホラーのチンコ映画群は、リーマンショックのように地球を覆いつつある。時代はチンコなのだろうか。目が離せませんね。こんな中で日本の『レイプゾンビ』シリーズは、日本だけの特殊な制約「チンコを出すとお縄になる」というハンディに負けず、工夫を凝らして、他国のチンコ映画に負けないつくりとなっているから誇らしい。

友松直之監督からみんなにプレゼント!

こんなクソ長い記事を最後まで読んだあなたはえらい!よってここにご褒美がある。友松監督から数々の貴重なグッズをご提供頂きました。どどーんと読者プレゼント企画を実施します。劇場招待券/チラシセット/貴重なVHSテープ3本サインつき。さらに、上に書いた『月刊トモマツ』もある。これもサインつき。すごいぞ。詳しくはこちら↓

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