映画|怪猫 呪いの沼
タマちゃん化け猫ニャオー。日本の古い怪談ホラー映画。内田良平、里見浩太朗、御影京子、名和宏、三島ゆり子、八代万智子。監督石川義寛。1968年。モノクロ。
元和元年。肥前の国、佐賀城。
家臣、鍋島直茂(内田良平)が謀反を企てる。黒岩主膳(名和宏)以下数名の子分を従え、城に突入。城主、竜造寺高房(島田景一郎)を捕まえ、生きたまま壁に塗り込めるという手法でブッ殺した。
残った美人妻には「おまえは今日からおれのヨメだ。亭主が死ぬところをよーく見ておけ。わっはっは」つったら、かわいそうな奥さんは愛猫のタマちゃんといっしょに入水自殺。不思議なことに、沼から死体が発見されなかった。以来、その沼は『呪いの沼』と呼ばれ、人々から恐れられた。
年月経過。
鍋島は城主となり、おきらくな殿様人生を満喫中。なにしろここは江戸から遠く離れた九州の地であるから、徳川がどーの大阪城がどーの、といった中央の政変などは関係ないのである。田舎のお殿様をやってるほうが気楽でいいよね。
本日は花火大会。
これはただの花火大会でなく、沼の怨霊を鎮めるためという目的があるんだが、鍋島にとって自分が殺した相手がオバケになろうが知ったこっちゃないので、気楽なものである。オバケなんかこわくないのだ。オバケなんかご飯にふりかけて食っちまえばいいのである。
愛息の千代丸(香川秀人)を連れて花火を見物し、いいパパぶりで遊んでいたまではよかったが、さっそくカワイコちゃんを見てムラムラする。
第一の子分、黒岩主膳を呼び「あの娘はよいのう。わしはあれが欲しいぞ」つって、子分は、ほいきた了解、つって、さっそく娘の親、津山又右衛門(松村達雄)に面会し「おまえんちの娘をお殿様に差しだせ」つったが、本人が了承しない。
この娘、雪路ちゃん(御影京子)には、すでに言い交わした男前のカレシがいるのだ。こちらは結城丈之介(里見浩太朗)という。
お殿様の誘いをケトばしたからには、相当の罰を受ける覚悟である。丈之介と父親は彼女を救うことに専心するが、結局、まとめてブッ殺される。若いカップルが無念に死んだ場所は、奇しくも、その昔、気の毒奥さんがタマちゃんといっしょに自殺をした呪いの沼である。不幸娘が死ぬ度に沼の怨霊パワーはずずーんとMAX、ついに化け猫タマちゃんがどどーんと出てきて、わるいひとたちを懲らしめるのである。
黒岩主膳の妹に三島ゆり子。彼女は兄の都合で殿様のメカケにされちゃって、こちらも化け猫になる。お殿様との濡れ場では、腕にモジャモジャと毛が生えているという、狼男のような変身をします。大奥を仕切る日向の局に八代万智子。彼女も化け猫になり、死体を掘り起こして腕をバクバク食べる。
侍役で菅原文太が出てきて、化け猫相手にチャンバラをするというへんなシーンが見れます。ニタニタ笑いの小狡いネズミ男、沼田曜一もいいかんじ。ナレーションはご存知、芥川隆行。
トレイラー動画
感想
当時の怪談ものにしては、残酷描写が多彩でおもしろい。首チョンパだの、腕切断だの、生首ズラーだの、骸骨ウギャーだの、いろいろあるよ。
この映画の化け猫は憑依系というのかな、直接、ニャオーンと出てくるんでなく、死んだ娘さんたちに姿を変えて変幻自在なので、相手はオタオタする。内田良平を筆頭にわるもんのみなさんは発狂に追い込まれ、関係ないひとをブッ殺す。不幸なだれかが死ぬ度に怨霊パワーがどんどん上がって、手がつけられなくなってくるのです。
でも元は猫ちゃんなので、ときどきかわいいです。雪路さんの姿に変えて雪路さんの母に助けを求めるところ。相手は娘が生きて帰ってきた!とびっくりして、はやくはやくつって、大きな箱の中に隠すのです。そこに侍たちがやってきて、どこに隠しやがった、つって、箱の外から刀をブスブス刺す。わー、痛そう。と思ったら、ちゃっかり箱の中で猫に変身してたんですね。こうやって外をうかがいます↓
侍たちが去った後、再び人間の姿に戻り、助けてくれたママに「わたしは雪路さんじゃないのです」つって、切なくお別れをしていきます。とってもかわいいですね。映画のエンディングでは、このママが『タマの墓』をこしらえてお祈りをします。きっと成仏できたことでしょう。
雪路さんが死んだあと、殿様のきげんが悪くなり、子分の名和宏は自分の妹を差し出します。それが癒し系タヌキ顔の三島ゆり子なんだが、私は彼女を好きなんだが(必殺シリーズで「もぅ!許せないわン!」の質屋のネーチャン)、石井輝男の『温泉あんま芸者』じゃ、キャッハーと野球拳をやってたくせに、こっちじゃ可憐なお姫様なんてちょっと都合がよすぎるのではないか。
アマゾンで売ってますが↓
レンタルでもあると思います。
ところで、こういう昔の娯楽時代劇によく出てくる『夜伽(よとぎ)』という言葉は、そこはかとなくエッチな雰囲気がしますなあ。「今宵の夜伽はだれじゃ」とかいうの、いやらしー。
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Kaibyô noroi numa | |
The Cursed Pond The Ghost-Cat Cursed Pond The Ghost-Cat of the Cursed Lake | |
『怪猫呪いの沼』 | |
1968年 | |
日本 | |
1968年7月12日 (日本) | |
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