映画|カミング・スーン|Coming Soon

かわいい子供をさらってめんたまをくりぬくのが趣味という気狂いオババがジャジャーンと登場。こえーよ！ひゃーーーーと逃げる子供の演技も迫真！すごい！そこに怒りの村人たちがダダーと突入してくる！村人たちは子供の変わり果てた姿を見て絶句。オババは凄惨リンチを受け、首吊り処刑される。

というのは映画の中の映画の話である。近々封切りされる新作ホラー映画のスクリーニング上映が行われているところ。ゆえに『Coming Soon』なのですね。んで、この映画の主人公は、映画館で映写技師として働くアンちゃんである。彼はわるい同僚に頼まれて、流出モノ海賊版をやってるアングラ組織に手を貸す。封切り直前のだいじなフィルムをこっそり持ち出してビデオ撮りさせてやるというのはバレたらオオゴトなんだが、彼はいろいろとカネに困ってるのですまぬすまぬと思いつつ悪事に加担する。

ササッとビデオを撮ったらすぐにフィルムを返してもらえるはずだったのが、相手の男は消えてしまう。さらにギャングに待ち伏せされて「はやくコピーを持ってこい！殺すぞコラ」と脅されるし、フィルムが消えたことにだれかが気づいて調査が始まり、彼は悶々とする。ヤバいヤバい。どうしよう。そうこうやってるうちに映画の中の気狂いオババが彼の周りをうろつくようになる。ひぃ。もしかして同僚男は映画のなかの気狂いオババに殺されたのかも？！おれも殺されちゃうのかも！

※感想

映画の中の住人がこっちの世界にきちゃってわーわーというプロットはいろんな監督さんがやってますが、独創的なところもありました。普通に最後まで見れたんでつまんないということはないけれど、イチオシっちゅうほどでもないという湯加減でした。ところどころで出てくるこわがらせの手法はショック時間差で責めてくるので、あ、くるなと思ってもウヘーと驚いてしまいます。じょうずにつくってあるなあ。こういう映画はみんなでワイワイ見たら楽しいでしょうね。

ソポン・スクダピシット監督は『心霊写真 / Shutter (2004)』『フェート / Alone (2007)』の脚本を書いてて、今回の『Coming Soon』が監督デビュー。てことなんですが、私は『アイ / The Eye (2002)』に少し似てるなと思いました。主人公男がカワイコちゃん恋人といっしょにオババの過去を調べていくあたりは『アイ / The Eye (2002)』で角膜ドナーの過去が明かされるムードに似ていたし、めんたまにこだわるところも似ているし。もしかして『アイ / The Eye (2002)』の製作もやってるのかなと思ったら、そういうことはありませんでした。似ているというのはパクリ的に見えるという意味ではありません。それほどあからさまではないんだけど、少しは影響を受けているのかなと感じられたということです。

あ、あとオババに追い回される子役俳優の演技が迫真に迫っていてじつによかったです。あんなちびっこは先生をだますのもうまいだろうなあ。「宿題忘れちゃいました。ご、ごめんなさいい」と涙目でいわれたら先生もホロリとしちゃうだろうなあ。

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