2015/8/6 (Thu) at 8:31 am

映画|コールド・バレット 凍てついた七月|Cold in July

肉 (2013)』『ステイク・ランド 戦いの旅路 (2010)』『ネズミゾンビ (2006)』のジム・ミックル監督の最新作は、男の血潮が燃える犯罪ドラマ。マイケル・C・ホールサム・シェパードドン・ジョンソンのトリオが大暴れ。ニック・ダミチも出てくるよ。2014年。

コールド・バレット 凍てついた七月 / Cold in July DVDDVD画像

1989年。ここはテキサス。

町の額縁屋を営むリチャードさん(マイケル・C・ホール)は、平凡な家庭人であり、よきパパである。かわいい奥さん(ヴィネッサ・ショウ)と小さな坊や(ブローガン・ホール)の3人家族。

ある夜。

家の中に侵入者がいると知った彼は、慣れない銃を手に持ち、ヘッピリ腰で対決したらば、間違って射った弾丸が見事に命中。相手は死亡。

すぐにポリスがやってきて(ニック・ダミチ)、侵入者は手配中の犯罪者であると判明した。正当防衛が認められ、事情聴取を受けただけで済んだ。周囲の人たちは口を揃えて「よく家族を守った!えらい!」と彼を賞賛した。ところが、本人はきぶんが悪い。理由はどうあれ、見ず知らずの人間をブッ殺したというのは後味が悪いものだから。

ポリスに聞いたところによれば、死んだ男の父親は刑務所に入っていたが、仮釈放になったという。父は息子の葬式にくるのだろうか。リチャードさんは迷った末に墓地にいった。そこで死んだ男の父親(サム・シェパード)と出会ってしまう。ふたりは間の悪い挨拶を交わした。

息子を殺された男はニタニタ笑いで、薄気味悪い挨拶を述べた。それは脅し文句とも受け取れるような言葉だったので、リチャードは動転した。彼は逆恨みをして復讐しようとするのではないか。自分の息子が狙われるのではないか。

予想通り、リチャードとその家族は、逆恨みパパの陰湿な攻撃を受ける。最初は嫌がらせ程度だったが、次第にエスカレート。ついに相手は厳重な警備の裏をかいて、堂々と家の中に入り、警官を殺してしまった。

このあたりの進展は大変に緊迫感がある。イイネー。サム・シェパードニック・ダミチマイケル・C・ホールのトリオが、くんずほぐれつの大捕り物をやるんだな。やれやれ。

と思ったら、意外にも、あっさり事件は解決する。行方をくらました復讐パパはメキシコ入国しようとしたところを見つかってお縄になったそうな。彼は近々テキサスに護送されてくるという。

リチャードはポリスから「復讐パパ、逮捕!」の報告を受け、深く安堵をした。心配は去った。家族は安泰。よかったよかった。

さて、ココから先がこの映画の真骨頂である。

いったん解決したと思えた事件は、小さな疑問をきっかけに、意外な進展を見せる。平凡パパのリチャードさんは、暗闇でよからぬことをやらかす警察官を目撃したことをきっかけに、あろうことか、自分の敵と信じていた復讐パパとコンビになるのだ。

そこに、待ってました!とばかりに、ドン・ジョンソン演じるテキサス私立探偵がカウボーイハットをかぶってジャジャーンと登場。ものすごいカリスマキャラの出現に、物語はますます熱を帯びる。

警察上層部の恥部ともいうべきスキャンダル話が暴かれ(ジェームズ・エルロイ風)、ギャングだの、アングラスナッフポルノ業者なんかが出てきて、物語は二転三転。なかなかおもしろい。

平凡パパ、アングラ私立探偵、前科持ち犯罪男のトリオが銃を持ち、悪いヤツを成敗します。男のドラマ!イエー!

トレイラー動画

Cold in July (2014) trailer

邦題『コールド・バレット 凍てついた七月』

この記事をポストしたらすぐに「もうすぐWOWWOWでやるんですよ」と教えて頂きました。ありがとうございます。9月24日オンエア予定 on WOWWOW!

感想

熱い男のドラマをつくらせたら天下一品、ジム・ミックル監督の最新作『コールド・バレット 凍てついた七月 (2014)』には、ゾンビもヴァンパイアもカニバル家族も出てこないが、まさしく彼流の『男は黙ってサッポロビール』映画だった。ホラーという枠を超え、犯罪ドラマのジャンルを切り拓いたことにより、彼のファンがさらに増えたのではないだろうか。同監督の過去作品はぜんぶおもしろいですよ↓

ミックルさんのファンは間違いなくこの映画を気に入るだろう。マイケル・C・ホールサム・シェパードドン・ジョンソンのトリオは文句なしにかっこいい。こんな大物俳優をそろえた映画をつくるなんてすごいと思った。

彼の映画にいつも出てくるニック・ダミチもいいかんじ。余談だが、彼が盲目の退役軍人のおじいさんを演じてワーウルフと闘う『Late Phases (2014)』もおすすめです(監督アドリアン・ガルシア・ボグリアーノ)。

と、賞賛レビューで終わりにしたいが、少しだけ文句がある。

ニック・ダミチ演じる警官が、途中からフェードアウトするというのが気に食わない。ダミチさん演じる警察官もまた、婉曲的な意味で、あの犯罪に加担しているではないか。この警官は正義感があって市民を守ろうとしている反面、人にはいえない恥部を隠している。あの警官はどうやって自分の中で折り合いをつけているのだ。

あの警官にも悲喜交々のドラマがあるにちがいない。彼の心情を描く場面や、彼が参戦する場面があったらよかったのに。最後の最後に飛び込んでくるとかさ。この映画の主題は『父息子の関係性』なのだから、そこはいうな。触れるな。てことなんだろうけど。

コールド・バレット 凍てついた七月 (2014)』はジョー・R・ランズデールの同名の小説が原作だそうだが、小説の方ではそこらへんが深く描かれているのかもしれないが、私は未読だから知らない。

ところでJim Mickleのカタカナ表記は『ミックル』『ミクル』が原音に近いと思う。私は『カタカナ表記を正確にやれ』原理主義者ではないけど、ちょっと気になったもんで。以下のビデオの最初で彼が自分の名前を発音している↓

私は『コールド・バレット 凍てついた七月 (2014)』をiTunesUSで見ました。US版Blu-Rayは2015年9月に発売予定です↓

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原題: Cold in July
別題: Julho Sangrento
Frío en julio
Cold in July: Juillet de sang
Η τελευταία σφαίρα
Ψυχρός Ιούλιος
Rideg világ
Chlód w lipcu
Frio Em Julho
Hladni jul
Холод в июле
Mraz v juliju
Temmuz Sogugu
邦題(カタカナ): 『コールド・バレット 凍てついた七月』
制作年: 2014年
制作国: アメリカ/フランス
公開日: 2014年1月18日 (アメリカ) (Sundance Film Festival)
2014年1月30日 (アメリカ) (Houston, Texas)
2014年5月17日 (フランス) (Cannes Film Festival)
2014年5月23日 (アメリカ) (limited)
2014年6月9日 (オーストラリア) (Sydney Film Festival)
2014年6月20日 (イギリス) (Edinburgh International Film Festival)
2014年6月27日 (イギリス)
2014年7月31日 (アメリカ) (Traverse City Film Festival)
2014年8月27日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2014年9月7日 (フランス) (Deauville Film Festival)
2014年9月18日 (ロシア)
2014年10月6日 (スペイン) (Sitges International Fantastic Film Festival)
2014年11月23日 (スペイン) (Gijón International Film Festival)
2014年11月24日 (イタリア) (Torino Film Festival)
2014年12月11日 (香港) (limited)
2014年12月31日 (フランス)
2015年1月1日 (スペイン) (limited)
2015年3月5日 (ドイツ) (Blu-ray and DVD premiere)
2015年3月19日 (スペイン) (internet)
2015年4月22日 (スペイン) (Blu-ray & DVD premiere)
2015年5月20日 (イタリア) (Blu-ray and DVD premiere)
2015年9月24日 (日本) (TV初オンエア)
imdb.com: imdb.com :: Cold in July
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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