2012/10/3 (Wed) at 1:34 am

映画|チェインド|Chained

かわいい坊やが猟奇的殺人者に監禁飼育されるホラー映画。ジェニファー・リンチ版『完全なる飼育』。ヴィンセント・ドノフリオエイモン・ファーレンエヴァン・バード。監督ジェニファー・チェンバース・リンチ。2012年。

チェインド / Chained DVDDVD画像

9歳の坊や(エヴァン・バード)がママといっしょに映画館に行ったら、帰りのタクシーでキラー(ヴィンセント・ドノフリオ)に拉致される。キラーは母息子を自宅に連れ帰り、ママを殺害するが、息子を殺さない。

この日を境に、かわいそうな坊やは『ラビット』と名づけられ、召使い兼ペットとして飼われることになる。家の掃除、食事の世話、家事一切をやらされ、めしは残飯。余った時間はスクラッブづくりをしろと命じられる。

このキラーはタクシーの運転手をやりながら、しょっちゅう犠牲者を持ち帰ってブッ殺すんだが、そのあとに新聞を読み、事件に関する記事を見つけると、ぜんぶ切り抜いてとっとくように命じるのである。トロフィーみたいなもんかなと思われ。

坊やは逃げられない。足にチェーンをつけられ、動ける範囲は家の中だけ。ケモノ扱い、人権無視の非道な仕打ちであるが、彼はこれを受け入れるしかないのである。

やがて年月が経過。

坊やは大人の年頃になる(大人以降を演じているのはエイモン・ファーレン)。既に自我は崩壊し、飼われる運命を淡々と受け入れているような調子。主人のいう通りに動くロボット男になってしまったのであるか。と思ったら、意外にも、弱々しく自己主張をする場面もあるが、キラーは圧倒的な圧力で、肉体的にも、精神的にも、彼を支配している。

ある日、キラーはカワイコちゃん(コナー・レスリー)を捕まえて帰ってくる。いつもならキラーが自分で殺して死体を始末するんだが、こんどはなにか違う。彼は『ラビット』に次なるステップを要求する。

最後にびっくりのtwistがあるよ。

トレイラー動画

Chained (2012) trailer

邦題『チェインド』

この映画は邦題『 チェインド』にて、2014年1月18日、ヒューマントラストシネマ渋谷にて劇場公開予定だそうです。他にもおもしろそうなのがたくさんありますよ↓

感想

  • 最後のオチはびっくり。おもしろい。
  • でも中盤の描写がいやだ。
  • でも最後はおもしろい。
  • だから許す。

映画の最初のあたり。坊やは逃げようとするんだが、キラーはその行動を先読みし、外に出てきたところで待ってて「ばかめウケケ」と嘲笑します。そのときの台詞がコレ↓

You're so fucking predictable! And a fucking embarrassment!

おまえのやることはお見通しだ!そういうことやってて恥ずかしくないのか!

てなことをいうんだが、これって私らにはなじみ深い言葉だと思いませんか。普段、ホラーファンがホラー映画を見てるときにしょっちゅういいたくなる台詞ではないですか。「あー、やっぱり、こうなったかー」なんて思いながら、映画を観るでしょう?

わざわざこんな台詞をいわせるということは、監督さんは「自分の映画はpredictableじゃないよ」といいたいんだろうか、なんて思いつつ、見続けていったんだが、どうもこれは困ったなあ。いや、撮り方はうまいし、キャラの描き方もさりげなくうまい。ところが、なにかしら足りない感がある。

キラーは坊やが大人になってきたらば、急に態度を変えてこんなことをいいだすのです。「おまえはそろそろいい大人なんだから、勉強しなくちゃいけない」つって、本を持ってくる。その口調は優しい上司か人生を教える父親のよう。ながらく非道な扱いを受けてきたラビットくんは目をぱちくりさせて、キラーの話を聞く。

彼がもらったのは医学の本なのです。解剖学みたいなの。どうやらその意図は、人間の肉体の構造を学んで、自分みたく有能な殺人者になりなさいという意味らしいです。

このあたりが理屈っぽいていうんですか、いかにもインテリ監督が猟奇的犯罪者の心理を洞察してつくりました、みたいなかんじがする。そこがいや。

リンチ先生の映画は、麻薬が脳内になだれ込んでくるような映像で、もうね、あれを観てると理屈なんかハナクソ以下ですなあと思わせる力があったけど、娘はどうも理屈っぽいな、これはいかんな。なんて思っちゃったんだが、映画を観終わってからみなさんの感想を読ませて頂いたところ、こんな感想を書いているのは私以外にはいないようなので、私がヒネクレてるせいかなあ、という気もしますので、未見の方は私の感想などは気にせず、どうぞご覧になってみて下さい。

最後のtwistはおもしろかったです。あれは確かにpredictableじゃなかった。そこはよかった。

ところで、数年前に観た『Freeway Killer (2009)』てのがあって、なかなかおもしろかったんですよ。こちらもシリアルキラーが少年を殺さず引っぱり込んで洗脳するみたいな話で、この映画と似た雰囲気があります。

DVDのオマケ

  • Commentary By Writer/Director Jennifer Lynch And Actor Vincent D'onofrio
  • Alternate, More Graphic Version Of "Mary's Murder" Scene
  • Original Theatrical Trailer

この映画のDVDは英語字幕つき。

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原題: Chained
別題: Chained
U okovima
На цепи
邦題(カタカナ): 『チェインド』
制作年: 2012年
制作国: カナダ
公開日: 2012年8月5日 (カナダ) (Fantasia Festival)
2012年8月25日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2012年8月27日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2012年9月14日 (カナダ) (Atlantic Film Festival)
2012年10月2日 (アメリカ) (Blu-ray and DVD premiere)
2012年10月9日 (スペイン) (Sitges Film Festival)
2012年10月10日 (韓国) (Busan International Film Festival)
2012年10月12日 (アメリカ) (Spooky Movie International Horror Film Festival)
2012年11月23日 (イタリア) (Turin Film Festival)
2013年2月1日 (イギリス) (limited)
2013年5月24日 (ドイツ) (DVD)
2013年7月18日 (韓国)
2014年2月1日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Chained
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup
謝辞

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