2010/5/22 (Sat) at 3:01 am

映画|デイブレイカー|Daybreakers

ヴァンパイアがこの世を支配する近未来を描いたホラー映画。イーサン・ホークウィレム・デフォーイザベル・ルーカスサム・ニール。監督マイケル・スピエリッグピーター・スピエリッグ。2009年。

デイブレイカー / Daybreakers DVDDVD画像

2019年。

この世はヴァンパイアの天下である。ヴァンパイアが堂々とそこらを歩き、社会のルールを決めている。彼らはわずか10年間で地球の支配種となり、ヴァンパイア社会を築いたのであるが、現在、ピンチに陥っている。それは食糧難。すなわち血液不足。

ヴァンパイアの唯一の食料である人間の血液を一手に供給するのが、大企業『Bromley Marks Pharmaceuticals』であるが、彼らは人工血液の研究をずっとやってるんだが、いまだに完成させられないでいる。いま彼らがやってるのは、絶滅種(残り5%)である人間をどうにか探してとっつかまえ、それを人間ポッドに入れて血液を搾りとるという原始手法に頼っているのであるが、これが長く続けられるわけがない。ヴァンパイアは不死だし、人間はいつか滅びるからだ。

人間なら食い物がなくなれば餓死するだけだが、ヴァンパイアの場合は始末が悪い。彼らは飢餓状態になると、ゾンビじみたモンスターに変わってしまう。自我が失われて、ガオーとそこらへんのものを襲うようになる。これを『subsider』と呼ぶ。subsiderは相手が人間だろうがヴァンパイアだろうがおかまいなしに襲う危険な野獣である。

血液供給が滞る日々が続いたもんで、そこらへんにsubsiderがウジャウジャ出てきて治安が悪くなり、貧乏人どもはギャーギャー騒いで、腹ペコヴァンパイアがあふれてきて、社会体制の維持が困難になってくる。『Bromley Marks Pharmaceuticals』のヤリ手社長(サム・ニール)は毎日科学者たちにハッパをかけ、一刻も早く人工血液を完成させたいと思っている。それができなければ、世のヴァンパイアはぜんぶsubsiderになってしまうのだ。

というのがこの映画の設定です。前置き以上。

エド(イーサン・ホーク)は『Bromley Marks Pharmaceuticals』で働く血液学者である。彼もまたヴァンパイアなんだが、この男はヴァンパイアであることを恥じているようであり、人間の血液を飲むことを拒否している。なりたくてなったわけではないみたい。

エドは、ある日、人間のおねーちゃん(クローディア・カーヴァン)と偶然出会う。彼らを助けてやったら、こんどはむこうから接触される。人間がとつぜんやってきたのでエドは絶句してしまうのであるが、彼女はこういって彼をなだめる↓

Audrey: I ain't gonna bite.

Audrey: かみつきゃしませんよ。

なかなかおもしろい。おねーちゃんはエドを自分の隠れ家に案内する。この時代の人間たちというのは、ヴァンパイア政府当局の人間狩りから逃げ回り、地下組織をつくってどうにか生きているという気の毒なみなさんである。彼らは絶滅するしかないのであるか。

と思ったら、エドは意外な打ち明け話を聞かされて、ホエーと驚く。人間レジスタンスの一員、エルヴィス(ウィレム・デフォー)はエドに「きてくれてありがとう」といい「人工血液なんかよりもっといい方法があるんです。ヴァンパイアを人間に戻す方法があるんです。それをやるために力を貸してくれませんか」というのである。

エドは驚き、感動する。たしかにそれが実現できれば画期的である。社会の根幹をゆるがす大発明となるだろう。エドは彼らに協力したいと思うのだが、ヴァンパイアの方では人間になんか戻りたくねーよという連中もいたりするので、簡単には進みません。エドは目的を達して人間を、いや、世界を救うことができるのでしょうか。

善玉ヴァンパイア代表にイーサン・ホーク、善玉人間代表にウィレム・デフォー、わるもんヴァンパイア社長にサム・ニール、社長の娘にイザベル・ルーカス、エドの弟のヴァンパイア兵士にマイケル・ドーマン(『トライアングル / Triangle (2009)』に出てました)といったみなさんが登場します。

トレイラー動画

Daybreakers trailer
Daybreakers trailer #2

感想

どうしてヴァンパイア天下の世界になってしまったかという理由を簡単にいうと、最初は両者は対立していたんだが、ヴァンパイア側が「あんたらもこっちにきなさいよ」と誘いをかけたからなのですね。人間たちは生きるためには彼らの仲間になるしかなかった。また、重い病気の人にとってはそれは福音のように思えた(病気は治っちゃうから)。だから争いは早期に終結した。それでも抵抗している人間たちというのは、どうしても納得できなくて戦っているのです。

駅にドリンクバーがあってみんなは血液をコップに入れてもらって飲むんだけど、なにしろ食料難なので、純度がどんどん落ちていくのです。ヴァンパイア市民は「あーあー」とため息をつきながら、だいじそうに飲んでいる。その後ろにポスターがある。それはJames Montgomery Flaggの有名なアレ(これです。見ればわかるよ)のパロディで、"Capture Humans(人間をとっつかまえろ)" と書かれてある。この世界観はなかなかおもしろいです。

この状況をヴァン・ヘルシング教授が聞いたらなんていうでしょうか。なげかわしいのう。世も終わりよのう。と泣くでしょうねえ。ドラキュラが聞いたらなんていうでしょうか。案外、怒るんじゃないですかね。彼を人間をいぢめるのが好きだから、いぢめる相手がいなくなったらつまらないんじゃ。それに紙コップで血を飲むなんてドラキュラは耐えられないだろうし。。。

世界観がおもしろいことに加え、アクション/特殊効果/俳優さん。ぜんぶ満点ブラボーだったです。

が、ただ一点「ハァ?」なところがあってですね、これは困りました。それについては、ネタバレを含むので、下のほうに書きます。

この映画のヴァンパイア定義について。キバがある。おひさまきらい。というあたりは通常通りですが、空を飛ぶシーンはなし。十字架は出てこない。というかんじで、だいたい伝統的な定義に倣っています。が、ただひとつ、この映画独自の設定があるんだけど、それがつまらないとおもいました。

この映画のヴァンパイア設定は納得できない!

DVDのSpecial Features

こんだけ入ってます。メイキングが製作段階ごとにわかれていて、えれー細かいです。私は、まだぜんぶ観てませんが。

  • Audio Commentary With The Spierig Bros. And Steve Boyle
  • The Making Of Daybreakers
    • Early Development
      1. The Beginning
      2. Story Development
      3. The Vampires - Part I
      4. Script Editing
      5. Casting
      6. The Vampires - Part II
    • Pre Production
      1. Part I - Creating The Look
      2. Part II - Rehearsals And Ed Dalton
      3. Part III - Teeth, Lenses And Car Crashes
      4. Part IV - On Set Rehearsals
    • Production
      1. Part I - Subsiders From The Start
      2. Part II - The Human Resistance
      3. Part III - Two Directors And Elvis
      4. Part IV - Carnage And Car Crashes
      5. Part V - Schedule And Shigella
      6. Part VI - Bites And Bromley
      7. Part VII - Sacrifice And Subsiders
      8. Part VIII - The Beginning
      9. The End
    • Post Production
      1. Part I - Editing And Visual Effects
      2. Part II - Music, Color And Sound
      3. Part III - Test Screening And New Ending
      4. Part IV - The Toronto Film Festival
    • Credits
  • Poster Art Gallery
  • THeatrical Trailer

Memorable Quotes

Charles Bromley: Immortality is the miracle, we are blessed.

Audrey: I ain't gonna bite.

Edward: Is this place safe?
Elvis: Being human in a world full of vampires is about safe as barebacking a five-dollar whore.

Senator Turner: Hey, being a vampire and a politician, it can be hard to make friends.

Elvis: Well, I remember when the sunlight hit me, it was like a bolt of lightning kick-starting my heart. It was like someone let the air back in the room.

Elvis: Fuck it! I do love a good barbecue.

From the ashes springs new life.

Charles Bromley: Her blood has a scent that no substitute could ever replace.. Fear.

Elvis: Elvis Presley once said, Truth is like the sun. You can shut it out for a time, but it ain't going away.

ネタバレです

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

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原題: Daybreakers
別題: La hermandad
2019 - Nea fyli
2019 - O Ano da Extinção
Boj za kri
Daybreakers
Daybreakers - A vámpírok kora
Daybreakers - O Último Vampiro
Daybreakers- L'ultimo vampiro
Daybreakers: Vanatoarea a inceput
Vampiirimaailm
Vampir imparatorlugu
Vampiros del día
Voini na svetlinata
邦題(カタカナ): 『デイブレイカー』
制作年: 2009年
制作国: オーストラリア/アメリカ
公開日: 2009年9月11日 (カナダ) (Toronto International Film Festival)
2009年9月18日 (カナダ) (Atlantic Film Festival)
2009年10月1日 (アメリカ) (Austin Fantastic Fest)
2010年1月6日 (イギリス)
2010年1月8日 (カナダ)
2010年1月8日 (ロシア)
2010年1月8日 (アメリカ)
2010年2月4日 (オーストラリア)
2010年2月26日 (スペイン)
2010年3月3日 (フランス)
2010年3月18日 (韓国)
2010年3月19日 (イタリア)
2010年5月27日 (香港)
2010年7月16日 (ドイツ) (DVD)
2010年10月29日 (日本) (Tokyo International Film Festival)
2010年11月27日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Daybreakers
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞
  • 「デイブレイカー」永遠の命と引き換えに何を失うのか - soramove

    「デイブレイカー」★★★☆イーサン・ホーク、ウィレム・デフォー、イザベル・ルーカス、サム・ニール出演ピーター・スピエリッグ、マイケル・スピエリッグ監督、98分、2010年11月27日公開、2009,オーストラリア、アメリカ,ブロードメディア・スタジオ(原作:原題:DAYBREAKERS)                    ...

    2010/12/7, 7:44 AM

ホラーSHOX [呪](『ほらーしょっくすのろい』と読む)は新作ホラー映画のレビュー中心のブログです。たまに古いのやコメディ等もとりあげます。HORROR SHOX is a Japan-based web site, which is all about horror flicks.

 

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