2010/5/21 (Fri) at 5:03 am

小説|あたしのこと憶えてる? - コウスケ|内田春菊 著

内田春菊の短編集『あたしのこと憶えてる?』から『コウスケ』の感想文です。ホラーな小説です。

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『あたしのこと憶えてる?』は厚さ1センチ以下の文庫本の短編集で、9作品が入っています。そのいずれもが内田春菊らしい文体の、エロエロ小説なんだけれども、ぜんぶおもしろいと思うんですけど、そのなかでひとつ毛色の違う作品が『コウスケ』です。これはホラーといっていいんじゃないかな。

『コウスケ』のネタバレ少なめのあらすじ

『里美ちゃん』という名前の女の子の視点でお話は始まります。話題の中心は近所に住んでいる親戚の『貞子伯母さん』という独身女性です。貞子伯母さんは結婚してないんだけど、赤ちゃんがいます。その赤ちゃんの名前が『コウスケ』です。伯母さんは『コウスケ』をものすごくかわいがっていて大ハッピーなんですが、やはり、その、なんというか、女ひとりで赤ん坊を育てているというのはいろいろと大変だろうなあということで、里美ちゃんとその両親はなにかと気遣って伯母さんのようすを見にいったりします。仲のいい親戚というのはほほえましいですね。

貞子伯母さんはやはり寂しいのか、里美ちゃんや親戚のひとが遊びにくるとすごくうれしそうにおしゃべりをします。話題は常に『コウスケ』です。「ほーら、かわいいでしょう?」と赤ん坊を見せびらかして、もうそれだけの会話です。聞かされる方は疲れてしまうけれど、まぁ、ママってのはこんなものなのかなと思ったりもしつつ、じつはこの伯母さんの軽い狂気が徐々に顕われてきます。

貞子伯母さんは『コウスケ』をかわいがるあまり、自分以外のすべての人々が『コウスケ』を欲しがっているという妄想を抱いているのです。外を歩くときには常に警戒をするし、さらにその妄想は里美ちゃんを含め、親戚のひとたちにも向けられているのです。

だれかが家に遊びにくると喜んでおしゃべりをするんだけれども、そのひとが帰ったあと、別のだれかに「○○はコウスケをかわいいかわいいといって、あのまま抱っこして連れて帰ってしまうんじゃないかと心配になったわ」なんていうことをいいだす始末で、これはちょっと度が過ぎているというか、精神的にヤバいのではないかとみんなは心配をしているのですね。

『貞子伯母さん』は狂っているんでしょうか。

感想

これはおもしろいですよ。びっくりするような展開になり、最後はダダダーとスプラッターショーに突入するのです。映画化してほしい!と思うくらい。

私はここ10年くらいは内田春菊の新刊を読んでいないのですが、昔はたくさん読みました。なんで読まなくなったかというと。。んー、なんでですかね、劣化を見るのがいやだったからかな。なので、私の中の内田春菊はいまの内田春菊ではないのだろうなあと思うけれども、でも、まぁそういう創り手との付き合い方があってもいいでしょう?

この『コウスケ』を初めて読んだとき「ちょっと息抜きに、倉橋由美子をやってみましたよテヘ」みたいなノリでやってるみたいに見えるからすごいなあと思いました。モノをつくるというのはとても労力を要することだと思うのですが、彼女の場合は、ぜんぜん辛苦がかんじられない。「ちょっと小説を書いてみましたよテヘ」「ちょっと映画にも出てみましたよテヘ」みたいな。そこがスゴい!

最近の彼女の作品はどうなんでしょうか。あ、もし、劣化してるんなら、知りたくないから、メールとか要らないです。もしますますおもしろくなっているんなら、ぜひぜひおすすめなどを教えてください。勝手ですません。

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