2010/1/26 (Tue) at 6:13 pm

映画|トライアングル|Triangle

ヨットで海に出た男女グループが無人客船に囚われ、覆面キラーに追いかけ回される!メリッサ・ジョージ、マイケル・ドーマン。監督クリストファー・スミス。2009年。

映画|トライアングル|TriangleDVD画像

メリッサ・ジョージ演じるおねーちゃんは、自閉症の子供を育てるシングルマザー。彼女は深く子供を愛しているが、仕事 + 育児でお疲れモードである。ある日、親切ボーイのマイケル・ドーマンに誘われ、ヨット遊びの1日バカンスに参加する。子供を預けて遊びにいくという点に罪悪感を感じるのだが、たまにはこういうのもいいではないか。気分転換もしなくちゃ。空は快晴で、マイケル・ドーマンはじつに爽やかハンサムボーイである。いったら楽しいかも。わくわく。集まったメンツは、メリッサ嬢を含めて男女6人のグループです。

みなさんはワーイと大西洋の海に出る。ノンビリきぶんできれいな海を見てたまではよかったが、不意に嵐がきてヨットはダダーンと転覆する。遭難事件発生。1名が行方不明。たいへんだ!メリッサ嬢は子供のことを考えて深く後悔する。

生存者5名が転覆したボートの上で途方に暮れていたらば、目の前に豪華客船がどどーんと現れる。「おー、助かった!」と喜んで乗船する。が、なぜかそれは無人船だった。船のなかは荒らされたようすもないんだが、こんな大きな客船なのにだれもいないのだ。メアリーセレステ号みたいな。

「へんだなー、みんなはどこにいるのかなー」とそこらへんを歩き回っていたら、覆面キラーが出てきて襲われる。きゃー。映画の序盤早々で、メリッサ・ジョージ以外のみなさんはあっけなく全死亡。なにこれ!彼女は生き残れるんでしょうか。キラーの正体は?

Triangle trailer
Triangle trailer promo

感想

昔の『トワイライトゾーン』にありそうな不思議ミステリーサスペンスというかんじでした。おもしろいときの『トワイライトゾーン』です。ゴアゴアを期待するとハズすでしょうが、とてもおもしろい映画でしたよ。会話の断片や小さな演出が重要なヒントになるんだけど、いくつかややこしい部分があるんだけど、ちゃんとシーンを見て会話を聞いていれば滑らかに物語がわかるので、上手につくってあるんだなあとおもいました。オチもよかったです。

思えば、子供の頃はこういう映画をほんとうにどきどきして見たものです。ひとばん寝ても映画のシーンがまだ頭に残っていて、そのことばかり考えていました。もし自分が同じ目に遭ったらどうするかを考えて箇条書きリストをつくったりとかしてましたね。大人になってしまうと感受性が薄れてしまうのか「はいはい、それでどういうオチですか?夢オチだけはかんべんして!」なんていう調子で見てしまう自分が悲しい。子供の頃みたいにどきどきしたいのに!

この映画では、無人客船の中で不思議な出来事が起きるのですが、その結末は夢オチではないし、じつは死亡していましたのオチでもないです。なかなかおもしろい。

SPOILER ALERT!!!!
ネタバレ!

謎のキラーってのは、じつはメリッサ嬢自身なのであった。メリッサ嬢は自分にそっくりの女が現れて、そいつが殺人をするのを目撃したもんで、おののく。「あの女はナニモノであるか!?」とパニクるのだが、やがてこれは無限ループであると知る。映画の中で、レコードの針が飛んで何度も同じメロディが流れるシーンがありました。

どうしてそうなっちゃったのかは謎だが、この船のせいにちがいない。とにかくループ地獄であるという点はわかったので、この流れを変えてみようと彼女はジタバタする。詳しく観察した結果によれば、メリッサ嬢が他のメンツを殺すと、海の上に遭難した5人組が出現する。彼らは何も知らずに乗船してきて同じ事が繰り返される。てことは、彼らがこの船に乗らなければこのループは断ち切れるのではないかと考え、それを実行に移す。

が、失敗する。過去の自分との格闘に負けたからである。過去の自分に向かって「全員を殺すんだ!」とお願いしてみたけれど、相手は意味がわからない。殺されるメリッサ嬢は殺すメリッサ嬢をすでに体験済みなんだが、そのときも相手の言葉が理解できなかったのだ。

自分との闘いに負けてざぶーんと海に落とされる。死亡。また同じ事の繰り返しか。と思ったら、こんどはちがっていた。彼女はビーチで目が覚めた。あれれ。自分の家に帰ってみた。窓から覗いたら愛する子供がお絵描きしていた。ぜんぶ普通に戻ってるかも。ふぅ。よかったー。ぜんぶ夢だったのかなあ。

家に入ろうとしたらば、まだ無限ループが続いていることに気づいて落胆する。家の中に自分とはべつのメリッサ嬢がいるのである。それを見てたら、これは今朝の出来事であると彼女は気づく。彼女はヨット遊びにでかける前、自閉症息子に腹を立てて、ヒステリーを起こしたのだ。

ギャーギャーわめいて子供にヤツあたりをする自分を見た彼女は深く反省し、『今朝の自分』をブッ殺す。そして驚く息子を抱きしめて次の台詞をいう。

Mommy's fine. You see? Mommy's fine. You're just having a bad dream. That's all, baby. It's all it was. Bad dreams make you think you've seen thing that you haven't.

ママはだいじょうぶよ。あなたは悪い夢をみたの。それだけ。悪い夢を見ると、ありえない風景が見えてしまうものなの。でもだいじょうぶ。

というシーンは映画の冒頭でも出てきたんだが、そのときはヒステリーママのところはカットされていたので、悪い夢を見た子供をあやしているように見えたんだけど、本当は殺人ママを見ちゃった子供をあやしていたのですね(てか、だましていた)。

その後、彼女は死体を片づけて、港に行く。ヨット遊びに誘われたから。この時点では子供もいっしょである。車の中で「ママはもうぜったい怒ったりしないからね!」と子供に約束する。が、途中で事故に遭う。デカトラックと正面衝突して母息子は即死。

と、そこに次のメリッサ嬢が出現する。彼女はあきらめ顔で呆然と自分の死体を見ている。そのあとタクシーで港に行く。マイケル・ドーマンの友達がいて「よー!きょうはよろしくね。彼から噂を聞いてるヨ!子供はどうしたの?」と聞かれた彼女は沈鬱顔で「学校にいってる」と答える。友達男は彼女のノリが悪いので不審に思う。ヨットにいったらマイケル・ドーマンがいる。友達男が「あのオンナ、おかしくね?」というシーンは映画の冒頭と同じである。彼らは海に出る。

おしまい。

アイオロス(Aeolus)という船名

5人のメンツが無人船に乗船したとき、船名『アイオロス(Aeolus)』の由来を知るシーンがありました。そこの会話が重要なヒントになっていました。

Aeolus was the Greek god of the winds and the father of Sisyphus, the man condemned by the gods to the task of pushing a rock up a mountain only to have it roll back down again.

That's a shitty punishment. What did he do?

He cheated Death. No, he made a promise to Death that he didn't keep.

アイオロス(Aeolus)は風を操るギリシャの神で、シシフォス(Sisyphus)の父。シシフォスは巨大な石を山の頂上に運ぶ、石は落ちてまた運ぶという無限労働の罰を与えられたんだよ。

そりゃまた気の毒な!なんでそんな罰を与えられたの?

自分の死を偽装したから。

てことですが、以下のページにわかりやすい説明がありました。以下引用。

シシフォス / Sisyphus
アイオロスとエナレナの子

ある時ゼウスがアスポス河神の娘アイギナを誘拐し交わった。

シシフォスがこの事を父親に告げたので、怒ったゼウスは死の神タナトスにシシフォスを冥界に連れていくように命じる。だが、シシフォスはプロメテウスの血筋だけあり悪知恵を働かし、妻のメロペに一切の葬礼をせず、死体も埋葬してはならないといい残し冥界へと旅立った。冥界の王ハデスは地上で夫が死んだのに妻が葬礼をしない事に怒る。そこでシシフォスは、では妻の所に行き死体を埋葬するように言ってきます。と言い地上に戻った。ハデスはシシフォスが冥界に戻らないので、不審に思い地上を見ると、シシフォスが何事も無いように地上で暮らしているのに驚いたが、元々ゼウスの命令で迎えただけなので無視をする事にした。

だが、天上から様子を見ていたゼウスは怒り、シシフォスの寿命が終わるとタルタロスに連れていき、巨大な石を山頂に運び上げ、しかも山頂に運ばれた石はまた転がり落ちるという永遠に終わることの無い罰を与えた。

ギリシャ神話 - シシフォスより

彼女はシシフォスと同じ罰を与えられたってことですか。子供相手にヒステリーを起こすのはよくないですが、こんなひどい目に遭うなんてかわいそう。無実なひとが理不尽に殺されたり、正義の味方が現れないのがホラーの基本スタンスですから、そう考えればとてもこわい映画かも。

ちょっと疑問点

ラスト近くの事故の直前のシーンで、子供はなにかに怯えてわめいていました。彼は事故になることを予測しているように見えたのですが、どうなんでしょうか。自閉症だからうまくしゃべれないけれど、独特の勘で危険を察知していたのかも。

ラストの事故の直前で、鳥がフロントガラスにぶつかるシーンがありました。彼女は車を止めて鳥の死骸を拾って捨てる。するとそこにはたくさんの鳥の死骸がある。てことは、これもまた無限ループのひとつであるわけで、事故の直後に出現した彼女は「もう逃げられないんだ!」というあきらめ顔、ループしていることを自覚しているように見えたんだけれども、鳥の死骸のシーンから察するに、彼女はわかっているんだなと思われました。でも、もしわかっているんなら、ヨットに乗らなければいいのに!とも思うんですが、もうあきらめましたよという感情だったのかな。

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原題: Triangle
別題: Navagio stin paranoia
Triangle - Die Angst kommt in Wellen
邦題(カタカナ): 『トライアングル(原題)』
制作年: 2009年
公式サイト: Official soundtrack site "Triangle"
"Triangle" Official Site
制作国: イギリス/オーストラリア
制作スタジオ: Icon Entertainment International
公開日: 2009年8月27日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2009年10月 (フランス) (Dinard Festival of British Cinema)
2009年10月16日 (イギリス)
2009年10月24日 (アメリカ) (Screamfest Film Festival)
2009年11月9日 (アメリカ) (American Film Market)
2010年2月2日 (アメリカ) (DVD発売)
imdb.com: imdb.com :: Triangle
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
特殊効果(Special Effects)
視覚効果(Visual Effects)
謝辞

ホラーSHOX [呪](『ほらーしょっくすのろい』と読む)は新作ホラーやSFのレビュー中心のブログです。たまに古いのやコメディ等もとりあげます。

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