映画|マザーハウス 恐怖の使者|The House at the End of Time
予想外のtwistがおもしろい!後半30分は目が離せない!ベネズエラのオカルトホラー映画。超おすすめ。ファンタジー映画でもある。原題『La casa del fin de los tiempos』。ルディー・ロドリゲス、Rosmel Bustamante、Gonzalo Cubero、Guillermo Garcia。監督アレハンドロ・イダルゴ。2013年。
1981年。ベネズエラ。
どっかの家。深夜。
女(ルディー・ロドリゲス)が暗闇で目を覚ます。顔に怪我をしている。周囲に割れた鏡が散乱している。なにがあったのだろう。
彼女は立ちあがり、ランプを手に息子を探し求める。坊やはどこだろう。必死で息子(Rosmel Bustamante)の名前を呼んで歩き回ったら、夫の死体を発見しておののいた。
すると、すぐ傍らに、坊やはいた。あー。よかったわー。母はすがるように息子を招き寄せる。こっちにおいで。いったいどうしたの。
坊やは目の前に立ちすくんでいる。次の瞬間、彼はビューンと闇に引っぱり込まれた。さらわれた。いったいだれに。いったいどうやって。消えた向こうは階段があるばかり。その先はからっぽの地下室。立ち尽くす母。
翌朝。
警察は夫の死体を発見。妻を即逮捕。問答無用で殺人罪。終身刑で刑務所入り。誠に不思議なことに、息子の死体は発見されなかった。女が殺したんだろう。ということで事件はおしまいになった。
30年後。2011年。
服役していた女は自宅に返された。つっても、釈放じゃなくて、自宅軟禁である。家の前にはおまわりさんがいて、彼女は外に出ていけない。終身刑の女囚が老齢になると、このような措置が取られることがあると映画の台詞にあった。ベネズエラではこういう決まりになっているらしいです。
30年間を刑務所で過ごした女は、白髪の老女になった。彼女は「大してうれしくもない」という顔で家に戻った。あたりを見回すと、昔のことが思い出されて、万感悲喜交々、胸が詰まりそう。いったい30年前に何があったのでしょう。
彼女はここで孤独に余生を送るわけだが、定期的に若い神父様(Guillermo Garcia)が面会に来る。彼は「あなたが自分の家族を殺したとは信じられない」といって、あのとき何が起きたのかを尋ねる。彼女は重い口を開いて告白し始める。
この映画はフラッシュバックと現在が交錯しつつ進行します。
30年前の事件が起きた、そのまた以前のお話。
夫婦には坊やがもうひとりいた。兄弟ふたりは仲良しで、いつも泥んこになって遊んでいた。げんきいっぱい。ちびっこコンビはいつもドタバタやらかしていたが、ある日、不幸な事故が起きて、弟が死亡。家族は深く悲しんだ。
その後、プロローグの怪奇事件が起きたのだが、じつは、その前にも説明不能の怪現象があった。詳しくは映画を見てください。あれは予兆だったんだな。
貧乏家族が平凡に生きていたところに、怪奇な事件が起きたのですね。侵入者は確かにいたのだ。パパは殺され、息子は消えた。誰も彼女のいうことを信じなかった。あれはオバケだったのだろうか。そうとしか考えられない。
という話だが、ひとつ不思議なのは「貧乏人のくせに大きな家に住んでいるではないか」という点だ。内装はボロいが、ずいぶん広くて立派なお屋敷である。どうしてこんなところに住んでいられるのかね。という疑問の答えは後々に明かされる。
ここであなたはいうだろう。なーんだ。平凡なオバケ屋敷ホラーではないか。ちっ。ツマンネ。
待て待て。この映画はそんなヤツじゃないよ。前半は確かにそんな風だ。私もそう思った。でも、そこから先は違うよ。この映画は本当におもしろいよ。すばらしいよ。近年稀に見るオカルトホラー映画。といっていいくらいの出来だ。てかファンタジーかな。どっちでもいいですよ。
母はふたりの息子を失った。殺人罪で投獄され、世間から侮蔑され続けた。30年も経ったら、もう何も残ってない。血も涙も枯れました。ひとりぼっちで死ぬのを待つだけ。こんな老女の目の前に、ナイフを持ったおじいさんオバケが出てくる。彼女は再びキリキリ舞いをさせられる。
いくら私がホラー好きだからといって、こんな気の毒な人を見ているのは耐えられません。なんとかしてあげてくださいよ。辛い人生を耐え忍んできた女は、この期に及んで、さらなる辛酸を舐めなければならないのだろうか。
2011年11月11日11時11分11秒。
すべての謎が明かされる。感動のエンディングがあなたを待っているよ。
We are just puppets of this house where time has come to an end.
「我々はこの家の操り人形に過ぎない。この家は時間の果てに建っている」
トレイラー動画
The House at the End of Time (2013) trailer
邦題『マザーハウス 恐怖の使者』
この映画は邦題『マザーハウス 恐怖の使者』にて、2015年12月2日に国内版がリリース予定だそうです↓
‘The House at the End of Time’ / “http://t.co/7iwLIiGw6R: マザーハウス 恐怖の使者 [DVD]: ルディー・ロドリゲス, ギレルモ・ガルシア, ロズメル・ブスタマンテ, へ…” http://t.co/J1TaOFZzSJ
— Cinemathejury(憤怒道) (@Cinemathejury) September 5, 2015
発売日: 2015-12-02
発売元: アメイジングD.C.
時間: 101 minutes
言語: スペイン語
字幕: 日本語
リージョン: Region 2
ディスク枚数: 1
売り上げランキング: 28,235
感想
THE HOUSE AT THE END OF TIME beats MAMA. Surprisingly.
— Hiro Fujii (@horrorshox) February 27, 2015
THE HOUSE AT THE END OF TIMEはすばらしいオカルトホラー。近年稀に見るオカルトホラー。デルトロがMAMAで到達し得なかったところを攻めている。そして成功している。感想を書かなくては!
— Hiro Fujii (@horrorshox) February 27, 2015
本作『The House at the End of Time (2013)』は、2014年のFantasiaでけっこうな話題であった。どんなもんかね。と期待していたが、確かにすごい。
上のあらすじを書くのに苦労した。どう書いても凡庸なオバケ屋敷映画のようになってしまうから。多少ネタバレをすれば、もっと刺激的に書けるが、私はコレに関しては、ネタバレを極力避けたいのである(下にはいつものように書くけど)。
冒頭の怪事件が起きる場面からズゴーンと引き込まれた。ゴシックホラー全開の映像が美しい。すぐにギレルモ・デル・トロ制作の『MAMA (2013)』を思い出した。あれと似てるよね。いや、物語はちがうんだが、雰囲気がね。でもこっちのほうがすごいかも。と思った。
後半30分の超展開は目をみはった。めまぐるしい。過去と現在を転換しつつ、ズラズラーと謎が明かされていく。ああ、そうなのか。へー!?うわー!ってなるよ。
構成が緻密。うまくまとめたものだ。謎解き要素を散りばめつつ、観客を迷わせないよう、かといって説明過多にならないよう、ギリギリの線を攻めている。曲がりくねっているけれど、決して迷わない、一本の細い道を観客は歩いていける。
母が息子にお守りのムーンストーンを手渡す場面がある。息子は母の目を見て、ぎゅっと握る。それがいつか別の誰かの手に渡り、また別の誰かの手に渡り...。まさにこの映画は、丹精込めてつくられた、美しい宝石のようだ。
未見の方にはよくわからないだろうが、後半30分では、3つの時間軸が『同時に』家の中で起きる。これからご覧になる方は、その場面になったら、「このひとは〇〇のときの人なんだな」ってところを注視するといいと思う。坊やが着てるものでわかりますよ。あー。お葬式の夜なんだな。とかさ。
この監督さんはすごいと思う。『時間の玄妙さ』を映像化することに身を賭している。私は落語の『芝浜』が大好きなんだが、あれなんかは、落語でしか成立し得ないお話だと思っていたが、もしかして、この監督さんの手にかかったら、『芝浜』も映画化できちゃうかもしれない。
あとね、後半で手紙を読み上げるシーンもよく覚えておくといいですよ。あの手紙は最初の方でもチラと出る。見終わってみると、その意味がすごくよくわかる。さりげなくうまいよねー。あー。もうこれくらいにしておこう。
『MAMA (2013)』を観て「なんかちがうよなー」と不満を抱いた方にはドンピシャリだろう。この下にネタバレを書きますが、頭カラッポでご賞味することを強く推奨します。みんなも見よう!
『The House at the End of Time (2013)』はiTunesUSで公開中。US版DVDも発売中です↓
Release Date: 2014-11-11
Studio: MPI HOME VIDEO
Run Time: 101 minutes
Language: Spanish
Region: Region 1
Rated: Unrated
Number of discs: 1
Best Sellers Rank: 36,549
日本の業者さんへ
過去の例からいって、これが日本で公開される頃には、ネタバレ全開の邦題とパケと宣伝文がくっつくのではないかな。ああいうのひどいよね。日本の業者さんは、そういうのやらかさないでほしいです。ま、あれだ、業者さんの良心を信じていうならば、これをどんな風に宣伝するのかが見物です。身をよじって、よい邦題と宣伝文を考えてください。期待しているよ。
ネタバレです
!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
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La casa del fin de los tiempos | |
A Casa do Fim dos Tempos Дом в конце времён Araftaki Ev The House at the End of Time The House of the End Times | |
『マザーハウス 恐怖の使者』 | |
2013年 | |
ベネズエラ | |
2013年6月17日 (ベネズエラ) (Venezuelan Film Festival) 2013年6月21日 (ベネズエラ) 2014年1月22日 (スペイン) (DVD) 2014年7月26日 (カナダ) (Fantasia International Film Festival) 2014年8月24日 (イギリス) (Film4 FrightFest) 2014年8月27日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest) 2014年9月5日 (フランス) (L'Étrange Festival) 2014年10月2日 (イギリス) (Grimmfest) 2014年10月18日 (アメリカ) (Screamfest Horror Film Festival) 2014年11月9日 (イギリス) (Leeds International Film Festival) 2015年2月20日 (ドイツ) (Blu-ray & DVD premiere) 2015年4月27日 (イギリス) (DVD) 2015年4月30日 (ロシア) (limited) 2015年12月2日 (日本) (DVD) | |
imdb.com :: La casa del fin de los tiempos |
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