PV9,257

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

ネタバレ注意!SPOILER ALERT!

本ページは『映画|マザーハウス 恐怖の使者|The House at the End of Time』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓

ネタバレ結末

映画の中では時系列が頻繁に入れ替わるが、話を整理するとこうである。

パパ + ママ + ちびっこ兄弟の4人家族が登場。兄はレオ。弟はロドリゴという。ふたりは仲良し。

1981年某日。

ちびっこコンビは帰宅が遅いので、母に怒られた。特に兄レオは長男だからというので、きつくお灸を据えられたが、母は最後に彼を許し、お守りのムーンストーンをあげた。こわい目に遭ったら、これをギュッと握れば、いつでもわたしが助けにいくよ。といって。このムーンストーンは映画の根幹を成すだいじな装置である。母の台詞をよく覚えておくといいですよ。

その夜。母は夫と口論をした。彼に稼ぎがないからである。「もう少しだけ辛抱しろ」「あんたの約束は聞き飽きた」てなことをいう。夫はふてくされて、バーにいった。この場面では、母が秘密の引き出しから手紙を取り出して読むシーンがチラと写る。この意味は後でわかる。

夫が出ていった後、母はひとりで寝室にいたが、誰かが扉をノックした。その調子が尋常でないので、彼女はおそろしくなり、アワを食って走り回ったりしたが、結局、侵入者は煙のように消えてしまった。

翌日。

夫婦は警察を呼んで調べてもらったが、なにもわからず。兄レオだけがなにかを見たらしい。彼は「女の人に出会った」と母に打ち明けた。その女はレオに「弟と遊んではいけない」といい、さらに、折ったメモを渡し「これをママに渡しなさい。中身を絶対に見ちゃいけない」といったそうな。レオは母にメモを渡した。母がおそるおそる開いたら、「あなたの夫はあなたの子供を殺す」と書かれてあった。

これの意味は後半に明かされるが、この時点では、誰がなんの目的でやったのか、さっぱりわからない。レオの父は失業中だから妻になじられているものの、悪人風ではない。彼は家族を愛しているようだし、酔っぱらって家族をぶん殴ったりしない。だからぜんぜん意味がわからない。

後日。

「弟と遊ぶな」といわれたレオであるが、そんなのはすぐに忘れて、今日もげんきに弟を連れ歩いて、遊びまくっている。

が、父母の仲はよろしくない。例のメモのせいで、夫婦仲は極端に悪くなる。妻にしてみれば、どっかの浮気相手の女が嫌がらせをしているように思われるし、夫にしてみれば、妻がつくり話をして離婚調停を有利に持ち込もうとしているのかと邪推する。夫婦は子供たちが知らないところで、別れる別れないと揉めている。

妻は占い師を家に呼んだ。この家ではなにか不吉なことが起きているのか。と疑ったからだが、なにも確信があるわけではない。ここで登場する盲目の占いババアはインチキ臭いが、しかし、占い師の言葉は真実だったと後でわかるので、あれはインチキじゃなかったみたいだ。とはいえ、映画を見終わってみれば、このババアはまったく役立たずだったとわかる。断片的な情報を得られたからといって、物事が解決するわけでなく、余計に混乱を引き起こすの好例ですね。

一方、こちらはちびっこコンビ。

兄レオは、偶然、弟のデートを目撃した。相手は遊び仲間の少女である。サライちゃんという。デートといっても、子供だから、小さな恋のメロディ風。

この場面で、弟ロドリゴはサライちゃんにムーンストーンを贈る。そして、「こわい目に遭ったら、これをギュッと握れば、ぼくが助けにいく」という。これは母がレオに述べた台詞と同じなので、この場面を見る限り、母は子供たちにひとつづつあれをあげたんだな、と思えるが、じつはちがうのである。その意味は後半に明かされる。

弟が女の子とイチャイチャしているのを見たレオはきげんがわるくなる。彼はあの少女を好きだったのか。あるいは弟を取られると思ったのだろうか。このへんは子供らしい感情である。

ムカムカレオはムカムカがおさまらず、野球の試合で思いっきりバットをブン回したら、ライナー直撃。ロドリゴ死亡。これは事故である。まさかそんなことになるとは思わないよね。レオは愕然。深く悲しんだ。家族は深く悲しんだ。

ロドリゴのお葬式。1981年11月11日。

家族と友達が集まって、ロドリゴにお別れをする。葬儀が終わるとひとりづつ去っていくが、最後に、マリオという名の少年が残る。レオは「ぼくの兄弟はきみだけになった。ずっといっしょにいてくれ」てなことをいう。相手は「あたりまえだ」といって、ふたりだけの握手をする。これは重要な伏線だ。最後に意味が明かされる。

そして、この日の夜。惨劇は起きた。

家の歴史を神父様が調べます

さて、現在。2011年。

悲しみの老母がひとりで家にいたら、ナイフを持ったおじいさんオバケがしょっちゅう出てくるので気持ち悪く思う。あれはなんだろう。そのオバケは『11 11 11 11 11 11』というメッセージを残していった。

彼女は神父様にその話をした。彼は家の歴史を調べた。こんなの↓

およそ100年前。Irahim Exkhartというイギリス人がこの家を建てた。この人物は最初からこの土地が持つ不思議な作用を知っており、そこに住むことを目的に家を建て、家族で移り住んだらしい。その後、家の人たちは次々といなくなり、最後に空き家になった。その後も何人かが移り住んだが、何度も行方不明事件があった。

レオの家族がこの家に引っ越したのはあれから5年前。当時空き家だった家を政府が安い値段で競売に出し、なにも知らない夫婦が買ったということで、ここまでは、よくあるオバケ屋敷話なんだなと思えるが、最後の30分は超展開になります。

後半30分は目が離せない!

2011年11月11日11時11分11秒。

その現象は起きた。

ここから先は最大の見せ場である。一気に謎が解かれていく。老母の前に再びおじいさんオバケが現れて、すべての疑問に答える。3つの時間軸が『同時に』家の中に出現するんですよ↓

私はこの複雑極まるお話をどうやって書けばいいのだろう。これは本当に難関だ。まぁ、やってみよう。

老母の目前で、30年前の夜、ロドリゴのお葬式の夜が再現される。

悲しみの家族はしんみり中。

夫はひとりで部屋にいて、死んだロドリゴの写真を見て悲しんでいた。そこで彼は妻が隠していた昔の恋人からのラブレターを発見。こんなの↓

I have just a few days before I leave this world, but my heart doesn't stop breathing without the happiness you gave me. Give our son my name but give him your husband's surname. Juan Jose is a good man. Do not leave him. He'll be the good father that I could never be. Every time you read this, remember I'll be dreaming of you from a near and distant place in the universe. The Paradise of your heart.

Leopoldo Rodriquez

ぼくはもうすぐ死ぬ。でも君といられて幸せだ。ぼくたちの息子にはぼくの名前をつけてほしい。でも彼の名字には君のご主人の名前をつけたらいい。ファンホセ(夫の名前)はよい男だ。彼と幸せになってほしい。彼はよい父親になるだろう。この手紙を読む度、ぼくを思い出してくれ。ぼくは別の場所から、いつも君たちを見守っている。君の心の楽園から。

レオポルド・ロドリゲス

レオの実父は病気で死んだのですね。長男レオは、父の実子ではなかったのですね。妻は事実を隠して、今の夫と結婚したのだった。これを読んだ夫は大逆上!ドッカーン!

その頃、同じ家の中で、レオ少年は不思議な体験をしていた。彼は死んだ弟と再会した。でも、それはオバケじゃなくて、数日前のあの夜、母に叱られてムーンストーンをもらったあの夜に戻っていたということなんだが、本人にしてみれば、弟の姿はオバケに見えたことだろう。

レオは母からもらったムーンストーンを弟に手渡す。てわけで、弟ロドリゴが少女にあげたあれは、このときにもらったヤツだったんですね。ちなみにお葬式の場面では、少女とレオが同じムーンストーンを手に握っていた。あれは時空を超えて同一のストーンだった。

レオは弟に会った後、元の時間に戻った。再びお葬式の夜。家の中で父と出会った。彼は「ロドリゴに会った」と見たままのことをいうが、父の方は妻が隠していた手紙を読んだ直後で逆上中。ここで、この男はトチ狂って、「おまえはおれの息子じゃない!」つって、ナイフで子供を刺そうとする。レオ、おののく。これを見つけた妻が夫をなだめようとしたが、ますます興奮。子供の見ている前で、夫婦はデスマッチ突入。

というドタバタの合間に、またまた別の不思議なことが同時に起きている。こちらは、お葬式の数日前のレオ。あのとき彼は謎の女に会ったと母に告白し、「その女の人はぼくに『弟と遊ぶな』っていった。そして、このメモをママに渡せといった」と告白したのは前述の通りだが、このとき彼は、2011年の老母と出会っていたのである。そして、このとき、老母は『弟と遊ぶな』のところで、「3日だけ我慢しろ」とつけくわえたんだが、レオは子供だからそこを忘れちゃったんですね。

ランダム時間移動をするびっくりハウスだった!

つまりですね、この家では、時間を超えて、人々が空間を共有するのである。という言い方でわかるだろうか。そして、誠にめんどくさいことに、この現象がランダムに起きる。人間たちは右往左往する。ドラえもんのタイムマシンはあらかじめ移動先が決まっているけれど、こちらはルーレット方式。人間の心を弄ぶ残酷なタイムマシンルーレットだ。

上では割愛したが、レオは弟と出会う前、家から出ていく父を見た。その後に逆上父と出会った。「なぜ父がふたりいるんだ?」と混乱するかもしれないが、最初に見たのは数日前の父、すなわち妻と口論し、ふてくされてバーにいったときの父である。着ているものでわかるよ。

こんな不思議なルーレットハウスなんだが、この作用はランダムなようでいて、まったくランダムではないように思える。信心深い人なら、これを神のみワザと思うかもしれない。11月11日11時11分というタイムスタンプに関連しているらしい。また、なにか重大な出来事が起きている最中に怪現象が起きるのかなって気もする。

しかしながら、なにか隠されたルールがあるのかもしれないが、それがわかったからといって、この家の住人の助けにはならないだろう。こんな現象が起きたら、たいていの人は動転してしまうだろう。

唐突に30年前の現場に放り込まれた老母も動転し、それでも彼女は彼女なりに考えを巡らせ、「ロドリゴが死なないように。レオが父に殺されないように」と考えて、あのメッセージをレオに託したのだなと後になればわかるが、でもいわれた方にしてみればわけがわからないよね。

そして、ナイフを持ったおじいさんオバケは何者であるかというと、彼は2071年からきたレオだったと明かされる。彼は彼の事情で、母にメッセージを伝えにきた。

彼がナイフを持っていたのは、老母に危害を加えるためでなく、「これを使ってあんたの息子(つまり自分)を助けてください」という意味であった。そんな話をしている最中、階上では、お葬式の夜が再現されていて、レオが逆上父に追われている。

老母はおったまげたけれども、ここでもムーンストーンが出てきて、「あんたは息子だ」とわかって、彼のいう通りにする。つまり、レオを助けるため、夫をナイフで殺した。

そこに遅れて飛び込んできたのが、葬式の夜の母である。これがプロローグの真相。母は夫の死体を見て驚き、そして、その傍らにレオがいるのを見て、必死で手招きした。

そこでレオがさらわれたのは、おじいさんレオが老母に述べた台詞ゆえである。彼がいうに、「レオには(つまり自分には)先天性の心臓病がある。レオはレオの実父が死んだのと同じ病気で早死にする運命だ。でもいまのあなたならぼくを救える。80年代には不治の病だったが、2011年なら治療できる。だから、彼をあなたの時代に連れていってくれ」てなことをいったのである。

老母はどうすべきか迷った。本来の時代(お葬式の夜)に返すべきなのか。あるいは、彼のいう通りにすべきなのか。迷い抜いた末に、レオをビューンとさらってしまった。これが真相だった。

てわけで、ぜんぶの謎が解けたのである。

1981年のあの夜。夫を殺したのは2011年からきた老母だった。息子レオをさらっていったのも老母だった。

すごい話だ。

感動のエンディング

最後。

2011年。

老母は神父様にすべてを話して、子供レオを彼に託す。家の中にいつまでも閉じ込めておくわけにいかないから。神父様はすべての話を信じて、レオを教会の孤児院に連れていくんだが、ここでまた感動のtwistがある。

この神父様ってのは、レオの子供時代の遊び仲間のひとりだった。ロドリゴのお葬式で、「あたりまえだ」と答えて握手をした、あのマリオっていう名前の少年だったのです。ふたりだけの握手でそれがわかった。うわー。そうだったのかー。

レオ少年の身になって考えてみよう。目の前でこんなに理解不能な出来事が起きているのに、彼は老母を自分の母と信じた。神父様が子供時代の親友だと信じた。じつに柔軟性があるというか、真実を見極める勘を持っているというか、澄んだ瞳の持ち主なんですね。この子供は。

神父様は彼を教会に連れ帰るつもりだが、ここで難関がある。家の前にはふたりのおまわりさんがいる。どうやって連れ出すつもりですかね。夜中にこっそりやるのかな。

と思ったら、彼は堂々と玄関からレオを連れ出すのである。驚くおまわりさんコンビに「この子は囚人の息子です。彼は過去からきました。私は彼を孤児院で育てます。いってもよろしいか」という。おまわりさんのひとりはバカにしてケラケラ笑うが、もうひとりはそれを聞いたら神妙な顔になり、「いいですよ」と答えて、何も聞かずに通してあげるのである。

映画の中ではなにも語られなかったが、きっとあのおまわりさんも子供時代の遊び仲間のひとりだったのだろう。

最後の最後。

レオは神父様といっしょに道を歩いていく。彼が「弟に会いたい」というと、神父様は「きっと会える」と答える。すると向こうからネーチャンが歩いてくる。その女はレオを見てびっくりする。彼女はあのムーンストーンを持っていた。もうわかりますね。この娘は弟ロドリゴが恋したあの少女だったんですね。

おしまい。

ちょと補足

私はこの映画を3度観たけれど、こんなにややこしい話であるにも関わらず、驚くほどにplot holeが見当たらない。緻密に構成されている。たったひとつ、頭に浮かんだ疑問はこれだ↓

なぜ父親はレオを殺そうとしたのか。妻の秘密の手紙を読み、レオは自分の子供ではなかったと知ったからといって、それが子供のお葬式の夜だったからといって、あれは極端すぎるのではないか。

そんな疑問を持つのは私だけではないように思う。しかし、これはお国柄の違いではないだろうか。南米の方々はことのほか血縁を大事にする。だから、そんな風になるほどに、彼は血迷ってしまったのだろう。という解釈でいいんじゃないかな。

先にネタバレを読んでしまったせっかちさんもぜひ映画を見てください。後半30分の流れは本当にすごいよ。

Memorable Quotes

I have just a few days before I leave this world, but my heart doesn't stop breathing without the happiness you gave me. Give our son my name but give him your husband's surname. Juan Jose is a good man. Do not leave him. He'll be the good father that I could never be. Every time you read this, remember I'll be dreaming of you from a near and distant place in the universe. The Paradise of your heart.

Priest: Because a mother is God in the eyes of her children.

Dulce: You cannot play with Rodrigo! No matter what, you cannot play with your brother, just for three days.

Leopoldo: I came from the year 2071. I spent my whole life waiting for the house to bring me back to you.
Dulce: How? How is it possible?
Leopoldo: Neither science nor religion has been able to find the truth.
Dulce: What truth?
Leopoldo: We are just puppets of this house where time has come to an end.

Dulce: What happened that day? What happened to you?
Leopoldo: That day you saved me, that day Juan Jose was about to kill me. But you came just in time.
Dulce: I don't understand. I didn't get there in time.
Leopoldo: Today is November 11th. Today the house will take you to the year 81.
Dulce: No! Why are you giving that to me? Are you aking me to kill Juan Jose?
Leopoldo: You did it once and that was the only way to save me.
Dulce: No!
Leopoldo: There is no time left!
Dulce: Just tell me how I can get back. I could save Rodrigo, too.
Leopoldo: It is impossible to control the power of this house. The house will take us to the time which is its will.

Dulce: I miss you so much. I'm so afraid.
Leopoldo: Listen to me, mother. The families and masons who lived in this house appeared in the future. They now live in a time that they don't belong.
Dulce: It's enough, Leopoldo.
Leopoldo: You must listen to me! Hold on to this knife and it will become a part of you and your time. When I was twelve years old, the first signs of the desease that killed my real father appeared. In the eighties there was no treatment that could save me. Today you can save me. Today you must hold on to me. Today you should take me to the year...

Dulce: I caused all this. Do you think I did the right thing? Do you think God can forgive me?

Priest: He is the son of the prisoner. He has traveled through time and we found him in the house. He is one of the children from the orphanage. Is there a problem? Can I go now?
policeman: You can go.

Dulce: The symptoms have not yet appeared, but Leopold is sick. He has inherited a heart disease. Thirty years ago I wouldn't be able to take care of him but now I can. please take him to a place where he can be adopted, a place where they can help him.
Priest: I know the perfect place.

Leopoldo: I miss Rodorigo. Do you think we'll see him again?
Priest: Sure, Leo. Maybe in life, surely in death, just when the day of Judgement comes, the day of the end of time.

Dulce: Make sure he knows a beautiful world exists outside this house. Make him laugh again. Tell my son to wait for me, I have little time left.

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