映画|Asmodexia

ここはスペイン。

妊婦さんがベッドで出産する。ベッド脇には、オッサンと若い女がいる。どういう事情か知らないが、オッサンは若い女をえらい剣幕で怒鳴りつけ、「おまえのせいだぞ！見とけ！」てなことをいう。若い女は、産まれた『なにか』を見て、ギャァアアアアアと悲鳴をあげる。

いったいナニゴトでありましょうか。観客にはさっぱりわからない。

15年後。

オッサンが孫娘を連れて旅をしている。このコンビは、プロローグで登場した怒りのオッサンと、あのときに産まれた赤ちゃんだ。この娘にいかなる秘密があるのか、それは後々に明かされるが、けっこうなカワイコちゃんである。

オッサンと孫娘のコンビは田舎の道をほっつき歩き、旅をしつつ、行く先々で悪魔払い（のような）儀式をする。金持ち夫婦の家だったり、ホームレスみたいな人たちだったり、いろんなところに行く。孫娘はかわいい顔しているが、何か不思議な霊力を持っているようだ。

無償でエクソシスズムサービスをやってる人助けコンビなんですかね。と思えるが、じつは、これには裏がある。彼らには秘密がある。真相はおいおい明かされる。コンビの背後にはいつも黒いバンがいる。フード姿の謎人物が、彼らの動きを見張っている。いったいなんだろう。

ところ変わって、ここはどっかの精神病院。

謎の狂女が入院中。ひとりぼっちでぶつぶつ文句をいっている。「あのばかやろう」とかいっている。彼女は電話を握りしめて、誰かからの連絡を待っているようだ。病院のテレビでは、異常気象と宗教カルトの動きを伝えるニュースをやっているが、誰も見ていない。

この病院では、最近になって、しょっちゅうへんなことが起きる。患者が狂って暴れだす。ナースは怯えている。

映画の合間に、1997年時点のホームビデオが出てくる。こんなの↓

悪魔払いコンビのオッサンと、その家族が出てきて、幸せそうに歌をうたっている。彼らの背後には十字架がある。メンツの中には、悪魔払いの場面で登場した人もいる。彼らはもうすぐ産まれる赤ちゃんを祝福しているようだ。でも、もしかして、こいつらがニュースで話題になっている宗教カルトなんですかね。そうらしいよ。

スペインの新作オカルトホラー『Asmodexia (2014)』はじつに謎めいている。最後にびっくりすることが起きます。

トレイラー動画

Asmodexia (2014) trailer

感想

ずいぶん意外だった。トレイラーを見て「エクソシストにゴアゴアトッピングしたようなもんすか」と思っていたが、見てみたらば、従来のソレ系とは大きく違う。オカルト映画であることは確かなんですが。

じゃ、いったいなんだ？という話はネタバレの方に書くが、ネタバレなしで感想をいうと、こうです↓

なにが善でなにが悪なのか判然としない。そんな曖昧さにスペイン風味が絡んで、えもいわぬ気持ち悪さ。ゴアゴアは適度にある。撮影がうまく、陰影の雰囲気がよい。普段私が見ているアメリカのオカルトものにはない映画。

そこはいいが、物語がわかりづらい。よくいえば「じわじわくるかんじ」だが、私には、編集に難があるように感じられる。謎解き要素を引っぱりすぎて、わからなくなってしまうのだ。この曖昧さというものが、この映画の味なのかもしれないけれど。

スペイン版DVDのオマケ

私が持ってるのはスペイン版DVDです。英語字幕つき。ヨーロッパに住んでいる友達が送ってくれた。ありがとう。

Look what I got today! Thanks to Natasha who kindly sent it to me! :D #ASMODEXIA pic.twitter.com/zGuRk9VYlK

— Hiro Fujii (@horrorshox) February 20, 2015

『Asmodexia (2014)』は、現時点でUS/UK共に未発売だが、IFC Midnightが権利を取得したそうなので、近々US版が出るでしょう。

スペイン版DVDには、映画本編に加え、以下のオマケが入っていた↓

• TRAILER
• ENTREVISTA CON LOS PROTAGONISTAS LUIS MARC Y CLAUDIA PONS
• CORTOMETRAJES DE MARC CARRETE:
  • "MAL CUERPO"
  • "CASTIDERMIA"

ENTREVISTA CON LOS PROTAGONISTAS LUIS MARC Y CLAUDIA PONSはインタビューだが、字幕ないのでぜんぜんわからない。

下のふたつはMarc Carrete監督の15分程度の短編映画で、これは英語字幕がついていた。

MAL CUERPOは森でへんなキノコをいぢくった男がグジュグジュになっちゃう話。CASTIDERMIAは剥製マニアのキモ男がカワイコちゃんを拉致してヒデーことをやる話。

両方おもしろかった。ゴアメイクがよくできているばかりでなく、物語に捻りがある。はっきりいって、本編『Asmodexia (2014)』よりもこっちの方がおもしろい。この監督さんは宗教ネタのオカルトホラーよりも、この手のキチガイ映画をつくってた方がいいのではないか。これらの短編映画を画像で紹介しよう。

ゴアメイクがよくできていますね
MAL CUERPOより

ブツブツ、きもちわるーい
MAL CUERPOより

同じ俳優さんがこちらでは剥製マニアのキチガイ男
CASTIDERMIAより

いい絵だ
CASTIDERMIAより

ホステル風ですね
CASTIDERMIAより

翼をつけてもらいましたよ
CASTIDERMIAより

To the Director

Dear Marc Carrete,

One of my friends from Europe kindly sent me the copy of ASMODEXIA's DVD which I've been waiting for since I checked its trailer on Youtube. It was not bad. It had some flaws but I enjoyed. And I need to tell you this. The two shorts which come with the Spanish DVD intrigued me a lot. Actually those shorts are more enjoyable than ASMODEXIA for me. They had great gore effects and nice twisted narrative. Both are my favorites. So please consider to create those kind of insane/crazy/gory stuff than occult movie in next. Thank you!

ネタバレです

!!!! SPOILER ALERT !!!!
！ネタバレ注意！

• 
• 
• 
• 
• 
• 
• Tweet