2015/2/18 (Wed) at 8:55 am

映画|フィアー・クリニック|Fear Clinic

恐怖症を克服する専門病院を描いたホラー映画。ロバート・イングランドトーマス・デッカーフィオナ・ドゥーリフコリー・テイラー。監督ロバート・ホール。2014年。

フィアー・クリニック / Fear Clinic DVDDVD画像

ここは恐怖症克服専門のクリニック。

院長先生(ロバート・イングランド)はその道の権威であり、独自に考案したマシンを用いて、恐怖症に悩む人々を救ってきた。

世の中には様々な種類の恐怖症がありますよね。高所恐怖症/広場恐怖症/暗闇恐怖症/他にもたくさん。フェチ性癖の種類と比べたら、どっちが多いんだろうか。

この医者はチェンバー(chamber)なるマシンを治療に使う。それはひとり用サウナみたいな外観で、どういう仕掛けになってるのか知らないが、そこに入って、先生のガイドに従うと、患者本人が抱える恐怖を体感できる(したくネーヨ!)。

自分の恐怖と対峙し、克服していこう。っていうんだが、恐怖体感マシンをこしらえてどうするんだ。そんなもので治療になるのか。といいたくなるが、これが効くんですね。単にこわがらせるだけじゃなくて、なにか秘訣があるのだろう。でもイングランドさんですからね。ちょっと心配。

カワイコちゃん大学生のサラさん(フィオナ・ドゥーリフ)も、かつてこのクリニックでお世話になり、暗闇恐怖症を治してもらったんだが、最近また具合が悪くなってしまったもので、久しぶりにクリニックにやってきた。彼女は先生を信頼しているのである。

ところが、きてみたら、病院は開店休業状態。閑古鳥が鳴いています。いったいどうしたんですか。病院のスタッフ(フェリーシャ・テレル)に事情を聞いたら、サラさんが退院した後、女患者が治療中に事故で死亡したそうな。以来、先生は自信喪失。ヒキコモリになってしまった。頭ボサボサで、大スランプに陥った小説家みたい。

でも、彼はまだやる気を失ったわけではないらしい。その証拠に、病院は寂れてしまったとはいえ、ちゃんとスタッフもいて営業している。という事情を聞いたサラさんは「こまったもんだ」という顔になった。そこに別の患者さんたちがぞろぞろやってくる。

こんな方々↓

サラさんを含め、患者たちには共通点がある。その昔、マスク男がカフェで無差別殺人をするという事件があったのだが、彼らはその生き残りなのである。死ななかったのは幸いだが、事件をきっかけに心的トラウマを持ってしまった。というわけで、この人たちは『同じ釜のめしを食った』トラウマ同窓会の集まりなんですね。だから、他人同士なのに連帯感がある。

彼らは病院の治療をアテにしてやってきたのに、肝心の先生はスランプでうんうんうなっていて、先生本人が病人みたいな顔をしているから困ってしまう。みんなは口を揃えてこういう。

「おねがいしますよ。先生だけが頼りなんですよ。もういちどチェンバーを使ってください」

のっぴきならないイングランドさんは、渋々ながら、という顔で立ち上がるのである。

この映画にはコリー・テイラーが脇役で登場します。彼が演じるのは病院で働くスタッフ。なかなかハマってました。

Fear never dies.

トレイラー動画

Fear Clinic (2014) trailer

映画の元はFEARnetのウェブシリーズ

本作『Fear Clinic (2014)』は、同名のFEARnetのウェブシリーズ(ネットで見れるテレビドラマみたいなの)が先にあって、それを映画にしたものです。一時期、ずいぶん宣伝をしていましたよね。私はそっちは見てないので、どう変わっているのか知らない。ウェブの方には、ケイン・ホッダーダニエル・ハリスが出ている。私は下の感想で述べたように、この映画にはいまいちノリ切れなかったんだが、そっちはもっといいのかもしれない。いいに違いない。ダニエル・ハリスが出ているんだから!

感想

私が普段見ているお安いホラー映画よりも、相当に予算が潤沢であるように見える。映像がきれいで、かっこよくて、さらに、特殊メイクで実績多数のロバート・ホールが監督しているだけのことはあり、凝ったゴア場面や怪物なんかがホイホイ出てくる。お金をジャブジャブ使って、やりまくったというかんじだ。ゴア画面もどこかオシャレ。extremeなライティングを使いまくって、どの場面で静止しても、ポスターに使えるような絵が連続する。

Fear Clinic (2014)』は以前indiegogoで資金募集をしていたが、私は迷った末にやめといた。私がチャリーンとお布施をしなくても、こんなにお金があるんだから、払わなくて正解だったと思った。セコくてすません。iTunesで買ったから許してくれ(USの方)。

俳優のみなさんもいい。ロバート・イングランド以下、フィオナ・ドゥーリフトーマス・デッカー、他、みんな演技うまい。フィオナさんは『チャイルド・プレイ/誕生の秘密 (2013)』に出ていたカワイコちゃんです。ブラッド・ドゥーリフの娘さん。彼女はすごくいいよね。

と、期待させる感モリモリなんだが、残念ながら、私はノリ切れなかった。凝った恐怖映像をたくさん見ても、これすべて患者たちが見ている幻視だとわかっているから、ぜんぜんこわくないのである。そして、最後に明かされるtwist「〇〇さんは××だった!」もありきたりだった。

そんな中、私がいちばんおそろしく感じた場面はコレだ↓

イケメン男が「この役立たず!」といわれてショボーンの場面

「役立たず!」という女の言葉に傷つかない男は少ないと思うが、特に、男前の場合はショックが大きいらしい。普段モテモテの野郎がそういわれると、相当にがっくりするらしい。この男も最後にはズダーンと殺されてしまった。彼はきっと役立たず呼ばわりされたせいで運気をなくしたのだろう。不憫なやつだ。私は男前じゃないので、なんとか生き延びています。

最後のクライマックスには、インドグランドさんはぐわーんと怪物に変身する。彼がどうしてああなったのか。entityというワードで説明されていたが、ずいぶん曖昧な演出だったように思う。もう一度見ればなにか発見があるのかもしれない。イングランドさんは結局これがやりたかったんじゃないかね。

好きな方にはすませんが、どうもよろしくないレビューになってしまいましたよ。でも、あれだ、こんなオシャレな映像のホラー映画なのだから利点はある。普段ゲスな映画ばかり見て、奥さんや子供たちに狂人扱いされているパパが居間でこれを流して見ていたら「お父さん、趣味がよくなったね!」とかいわれて、家族円満。役立たず呼ばわりされずにすむ。と考えれば、この映画にも需要があるのだろう。

Memorable Quotes

Andover: Now close your eyes, and just listen to the sound of my voice. I need you to relax and listen to the sound of my voice.

Sarah: Beisides, what reason would a malevolent force have for making Blake smarter?
Andover: So that he can be made to feel fear again.

Andover: Her body temperature and vitals say she... she should have expired, but she's beyond my reach. It's as if something else is holding on to her, not letting her die, keeping her in a state worse than death, a kind of fear loop. I stupidly tried to eradicate a fundamental and necessary human function, the oldest human emotion. And now fear itself, now it wants to live and breathe on its own. I think... I think an entity is coming through into our world, and now fear itself, perhaps planning to use all of us as a host, a vessel.

Andover: Worse than death, a kind of fear loop. My hundreds of sessions curing the phobic are starving this thing somehow. It's relentless and, worst of all, patient. It needs to feed, and it won't be denied its meals.

Andover: Fear, it is relentless. It needs to feed, and it won't be denied its meals. After seeing what it did to get to me, my concern is that fear itself will use me, my clinic, and the chamber to feed, to... to consume... all of us.

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原題: Fear Clinic
制作年: 2014年
制作国: アメリカ
公開日: 2014年10月22日 (アメリカ) (Screamfest Film Festival)
2015年1月30日 (アメリカ) (internet)
2015年2月10日 (アメリカ) (Blu-ray & DVD premiere)
imdb.com: imdb.com :: Fear Clinic
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脚本/原案
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プロデュース
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
アートディレクション
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