2014/1/19 (Sun) at 11:53 am

映画|ザ・マッドネス 狂乱の森|Kalevet (Rabies)

イスラエルのちょっと変わったスラッシャーなホラー映画。ヘンリー・デヴィッドリアット・ハルレヴヤエル・グロブグラスアニア・バクスタイン。監督アハロン・ケシャレスナヴォット・パプシャド。2010年。

ザ・マッドネス 狂乱の森 / Kalevet (Rabies) DVDDVD画像

どっかの山。

森の中にキラー(ヤーロン・モトイラ)がいるよ。ワナを仕掛けて、みんなを殺すらしいよ。

そこにテニス好きな4名がうれしげにドライブしてくる。彼らは道に迷ったらしい。若い男×2(ラン・ダンケルオフェル・シェヒター)と、カワイコちゃん×2(ヤエル・グロブグラスアニア・バクスタイン)。

したら、へんなアンちゃん(ヘンリー・デヴィッド)が急に飛び出してくるんもんで、轢いてしまった。わー。たいへんだ。

死んだのかな。

と思ったら、アンちゃんは生きていた。傷だらけでヨタヨタと起き上がり、「おれの妹が穴に落ちた!助けなくちゃ!」とかいうもんで、4名は協議の末、男コンビはアンちゃんといっしょに森に入って救出を手伝うのだ、娘コンビは車で待機しつつポリスを呼ぶのだ、と話が決まった。

その頃、アンちゃんの妹(リアット・ハルレヴ)はこわいキラーに捕まってこわい目に遭っていたが、そこに、森林パトロールのオッサン(メナシュ・ノイ)が通りがかった。オッサンは「怪しいヤツめ」と追跡し、麻酔銃をばんばん撃って、女を助けることに成功した。

このオッサンは、導入パートにおいては、恋人(Efrat Boimold)といっしょに出てきて、へんなジョークを連発する暑苦しいオヤジだったが、いざとなるとやるもんである。ネーチャンは助けてもらえてよかったですね。でも、オッサンの愛犬シェパードはブッ殺されてかわいそうでした。

さて、そんなことを夢にも知らない救出トリオは森を歩き回り、うだうだと女を探すんだが、見つからなくて困る。そうこうするうち、ひとりが熊のワナにハマったり、女を巡って喧嘩が始まり、殴り合いをやったりするからたいへんである。

この森は見たかんじ普通の森なんだが、じつは、危険なワナが仕掛けられていたり、地雷が埋めてあったり、おそろしい森であるという点が徐々にわかってくる。

さて、その頃、車で待機するカワイコちゃんのコンビはどうしたかというと、彼女たちはあれからすぐにポリスを呼んだのだが、ところが、やってきたのはトンデモポリスであった。

時代劇の悪役を絵に描いたようなセクハラ暴力サディスト警官(ダニー・ゲヴァ)と、気が優しいだけの取り柄の気弱警官(リオル・アシュケナージ)のコンビは、やることなすこと正反対。

カワイコちゃんたちはセクハラ警官にいぢめられ、イヤーな目に遭わされるが、ついに反撃。銃を奪ってセクハラ警官を撃ってしまう。相手は死ななかったが、手を大怪我した。ひー。ポリスを撃ってしまったよ。女たちはアワを食って森に逃走。どいつもこいつもやることが滅茶苦茶です。

セクハラ警官はキーッと悔しがる。はらわた煮えくりもんどり返しの怒り頂点爆発したら、2本の指が吹っ飛ぶ大怪我をしたというのに、痛みを感じるどころか、「病院にいこうよ」という相方を手錠で縛りつけ、単独で森に入って娘コンビを追う。

彼の怒りっぽさにはびっくりするが、増しておもしろいのは、相方である気弱警官の無能さである。こんな事件が眼前で起きているというのに、彼の目下の関心は、喧嘩した奥さん(Efrat Rayten)と仲直りしたい!という一点のみ。朝から何度も奥さんに電話をし、留守電に伝言を入れていたんだが、性懲りもなく、電話をいぢくっている始末である。

そうこうすうるち、森の中では、地雷が爆発するわ、デカハンマーでぶん殴られて顔面粉砕するわ、あちらこちらで大騒ぎ。森のクマさんもびっくり。あ、いや、クマさんは出てきませんが、なんとなく書いてしまいましたよ。

たくもう。どいつもこいつも極端だよね。もうちょっと普通の人間は出てこないんですかね。映画の中の人たちは、悲喜交々、各人各様の想いを胸に秘め、一生懸命に生きて、一生懸命に死んでいく。なんという阿呆さであり、ひたむきさであろう。映画を観る私たちは彼らの流血人生を楽しく見物し、そして、映画の終盤に近づくと、ある事実に気づいて唖然とするのである。あれれ。ちょっと待て。

そもそもの発端である森の殺人者さんは、麻酔銃で撃たれてずっと寝ていましたよ。彼は誰も殺してない!

ははははははははは。おもしろーい。

トレイラー動画

Kalevet (Rabies) (2010) trailer

感想

ザ・マッドネス 狂乱の森 (2010)』はだいぶ前に日本版が出ているからご覧になった方が多いと思いますが、私は初めて見ました。この映画の監督さんの新作『オオカミは嘘をつく (2013)』を観る前に、こっちも見てみたのですが、たいへんおもしろかったです。

普通のスラッシャーを期待するとハズすかもしれないが、その代わりに、なんともいえないドラマの妙がある。ゴア描写は多くないが、よくできている。顔面粉砕の場面はすごかった。また、複数のドラマが錯綜的に進行するパターンだが、編集がうまい。「イスラエル初のホラー映画!」ということだが、手馴れたつくりからして、映像製作の経験が豊富なのだろうと思った。未見の方はぜひ。

みなさん、褒めてます↓

アハロン・ケシャレスナヴォット・パプシャドの監督コンビはこちらの話題作にも選ばれている↓

オオカミは嘘をつく (2013)』の感想も近々アプします。できたらまた読んでください。

日本版出てます

UK版DVDのオマケ

私が持ってるのはUK版ですが以下のオマケがついていた↓

  • Directors Commentary
  • Frightfest Interview
  • Behind The Scenes
  • International Trailer
  • UK Trailer
  • Soda Horror Trailer Gallery

以下は監督コンビのお言葉。メイキングより↓

アハロン・ケシャレス監督
アハロン・ケシャレス / Aharon Keshales 画像

Aharon Keshales “We chose to make a horror film because horror films have not been made in Israel. There's enough grief, loss, pain and wars. Why do we need more horror?”

「ぼくたちはイスラエルで初めてのホラー映画をつくった。どうしていままでこの国にホラーがなかったかというと、実生活において、戦争による悲しみと喪失が既にあったからです」

ナヴォット・パプシャド監督
ナヴォット・パプシャド / Navot Papushado

Navot Papushado “If today the horror genre is considered inferior, in the past, great directors took a stab at it. We knew we wanted a horror film.”

「今日、ホラーというジャンルは格下に扱われているのかもしれないが、ぼくたちは過去の偉大な監督さんたちがやったようにやろうと思った。ホラー映画が好きだというのは自明のことだから」

オマケの中の2011年のFrightfetにおけるインタビューの中では、イスラエルの国内事情について、もっと詳しくしゃべっています。UK版は英語字幕つき↓

こちらはUS版DVD

Memorable Quotes

Mikey: I hope you got a tetanus shot.
Pini: When did you develop a sense of humour?

Yuval: I'm left-handed.

Yuval: Leave my mother out of it.

Yuval: You don't have to worry about that anymore.

Shani: I missed you. And Pinocchio too. How's he doing these days?
Danny: He's okay. A little hungry, you know.
Shani: Yeah, so is Bella.

A Killer Guy (actually not a killer): Country full of shits...

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原題: Kalevet
別題: Kalevet
Raiva
Rabies - A Big Slasher Massacre
Rabies
Lyssa
Veszettség
邦題(カタカナ): 『ザ・マッドネス 狂乱の森』
制作年: 2010年
制作国: イスラエル
公開日: 2010年12月12日 (イスラエル)
2011年4月21日 (アメリカ) (Tribeca Film Festival)
2011年5月 (アメリカ) (Israel Film Festival, New York)
2011年6月20日 (イギリス) (Edinburgh International Film Festival)
2011年7月 (韓国) (Puchon International Fantastic Film Festival)
2011年7月21日 (アメリカ) (San Francisco Jewish Film Festival)
2011年8月18日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2011年8月23日 (オーストラリア) (AICE Israeli Film Festival)
2011年8月26日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2011年9月13日 (フランス) (Strasbourg European Fantastic Film Festival)
2011年10月 (イタリア) (Ravenna Nightmare Film Festival)
2011年10月7日 (アメリカ) (Mile High Horror Film Festival)
2011年10月8日 (スペイン) (Sitges Film Festival)
2011年10月22日 (アメリカ) (Screamfest Horror Film Festival)
2011年11月12日 (オーストラリア) (Brisbane Film Festival)
2011年11月12日 (イギリス) (UK Jewish Film Festival)
2012年1月26日 (フランス) (Gerardmer Fantasy Film Festival)
2012年2月25日 (アメリカ) (Denver Jewish Film Festival)
2012年3月10日 (アメリカ) (East Bay International Jewish Film Festival)
2012年3月27日 (アメリカ) (J Film Festival)
2012年11月3日 (イギリス) (Mayhem Horror Film Festival)
2013年3月23日 (日本) (DVD)
2013年12月28日 (イギリス) (TV初オンエア)
imdb.com: imdb.com :: Kalevet
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup

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