2013/8/24 (Sat) at 6:32 pm

映画|キル・リスト|Kill List

かんしゃく持ち男が殺し屋仕事をやったら、冷や汗ダラダラの悪夢的体験をする変わったホラー映画。ニール・マスケルマイアンナ・バーリングマイケル・スマイリースチュアート・ロジャー。監督ベン・ウィートリー。2011年。

キル・リスト / Kill List DVDDVD画像

ここはイギリス。

ジェイ(ニール・マスケル)は元軍人で、いまは失業中。軍隊時代のトラウマゆえに働けないってことらしいが、奥さん(マイアンナ・バーリング)はそんな夫に「いいかげんに働け!」つって文句をいう。

ふたりには幼い息子(ハリー・シンプソン)がいるのに、8ヶ月間ものらくらしているそうなので、そりゃ奥さんも怒りますわ。

そこに、ジェイの友達、キエフで共に闘った戦友のガル(マイケル・スマイリー)が、新恋人のフィオナ(エマ・フライヤー)を連れて遊びにくる。ジェイが病んでいるのに比べ、ガルはおきらくな独身生活を楽しんでいるみたい。

2組のカップルは楽しげにディナーを始めるが、ジェイは妻の皮肉にかんしゃくを起こし、ちゃぶ台ひっくり返しで、ヒデー雰囲気になってしまう。

気まずいムードで解散かと思われたが、ガルがジェイをなだめて、仲直りする。このコンビは子供同士のような愛情で結ばれており、また、ジェイの奥さんは口は悪いけれども、ほんとは夫を愛しているんだなという点がわかって、映画を観ている私らは「よかったじゃん」と思う(でしょ?)。

さて、ガルがやってきたのは、新恋人のおひろめだけでなく、重要な用件があったからだった。ガルは仕事をいっしょにやろうと誘いにきたのである。それは殺人。ふたりの口ぶりからして、彼らはときどきヤバい仕事をやってるらしい。そして、さらに驚くことに、ジェイの奥さんも共犯者であると明かされる。彼女はスウェーデン人で、元は軍人だそうな。

翌日、コンビは殺しのクライアントに面会する。相手はアングラマフィア風の中年男(スチュアート・ロジャー)。ジェイたちは殺す相手3人のリストをもらって、仕事を引き受けたが、ここでクライアントがへんなことをやる。いきなりジェイの手のひらをナイフで切って、滴る血を紙にくっつけた。なんの意味があるのか知らないが、これが彼らの流儀らしい。

てわけで、ジェイは奥さんと子供にお別れをいって、ガルといっしょにでかけていく。コンビはホテルに泊まって、殺人仕事を片づけていく。

最初は神父。次は小児性愛の変態ポルノ屋。コンビは順調に仕事をこなすが、ポルノ屋においては、相手のあまりの外道さに腹を立てたジェイがプロらしからぬ行動に及び、乱痴気大暴れをするものだから、ガルにたしなめられ、それでもジェイのムカムカはおさまらず、ふたりは夕陽をバックに殴り合いをする少年同士のように転げ回り、そして、最後に仲直りをした。

ジェイという男は、パッと見、ウスノロに見えるが、その実、体内に刃物をしこたま溜め込んでいる可燃男で、いったんキレると止まらない。形相がギロリと変わって、講談社に殴り込むビートたけしに変身する。なかなかおもしろい。こんな男を親友に持ったガルはたいへんな思いをする。彼にとっては災難だが、映画を観ている私らにはおもしろい。

と、物語は進んでいくが、最後のひとりを殺る段になり、めんどうが持ちあがる。コンビは不吉な影に怯え、殺人仕事を途中でキャセルしたくなるが、クライアントは許してくれない。

ジェイとガルは暗闇の螺旋階段を手探りで下っているような案配となり、冷や汗ダラダラ、地下道に逃げたらキチガイの群れに追われ、絶体絶命の危機に瀕し、そして、最後は「ナンじゃコレー!?」のびっくりtwsitに落下するのであります。

この映画には、謎めいた演出が随所にある。

  • ガルの恋人のフィオナは、トイレの鏡の裏にへんな図形をラクガキし、ニタ笑いをする。
  • 彼女はガルをポイと振るが、その後、なぜかジェイ夫婦の前に顔を出す。
  • ジェイは庭に落ちていたウサギの死体(飼い猫が置いていったと彼は信じている)を拾って料理して食っちゃう。
  • コンビが殺した相手は、ジェイに「ありがとう」と言い残して死んでいく。
  • ジェイが手のひらの傷を診てもらおうと医者にいったら「悩みはありますか。性生活はどうですか」とセラピストのような質問をされる。

これらの不可解なほのめかしは、なんの意味があるんでしょうか。最後の超展開はなかなかのもんです。

トレイラー動画

Kill List (2011) trailer

邦題『キル・リスト』でDVDが発売中

邦題『キル・リスト』でDVDが出てます↓

感想

ローズマリーの赤ちゃん・ミーツ・セルビアン・フィルム!

ジェイというかんしゃく持ちの男が妙な因果でトラブルに巻き込まれ、真綿で首を絞められるように周囲から追い込まれていくところは『ローズマリーの赤ちゃん』みたいだし、最後の絶望感は『セルビアン・フィルム (2010)』みたいだし。

私はなんだか忙しくてこの映画の記事を書き損ねちゃったんだが、最近、読者の方からメールを頂いて、この映画についてやりとりをしていたら長文になり、いっそエントリにしたほうがいいやと思って書きました。

いろいろと議論を呼ぶ映画でありますね。私は次の台詞に注目したいです。コンビが仕事を途中でやめたくなり、謎のクライアントにお願いをする場面↓

Jay: What are we?
The Client: You're cogs.
Gal: What? What the fuck is this?
The Client: Reconstruction. So, keep turning.

このシーンのReconstructionはじつに多義的で、どうにでも解釈できる。日本語版ではどう訳されているのだろう。「仕切り直しせよ」つまり「余計なことは考えず、約束通りヤレ」という意味なのか(普通はそんな意味でこんな言い回しをしないけど)、あるいは「この世を再構築するのだ」みたいな意味であるようにも思える。

と、まァ、判然としないんだが、別の場面の医者の台詞がReconstructionに符合するのではないかと思える。コレ↓

The Doctor: The past is gone. The futre is not yet here. There is only ever this moment.

これ以上はネタバレになるので書けない。詳しくは下に書きます。

ベン・ウィートリー監督の新作『Sightseers』『A Field in England』も続けてアプする予定です。できたらまた読んでください。

UK版もUS版も発売中

ベン・ウィートリー監督
ベン・ウィートリー / Ben Wheatley 画像

インタビューでこんなことをいっていた↓

Ben Wheatley: When we're writing it, it's usually pretty stormy, but when we're editing it, it's usually pretty cool.

「脚本を書いている段階ではいつも嵐のようにハチャメチャなんだが、編集段階になるといつもバチッと決まるんですよ」

彼の作風からしてわかるかんじがしますねえ。

夫婦を演じたニール・マスケルマイアンナ・バーリング
マイアンナ・バーリング / MyAnna Buring、ニール・マスケル / Neil Maskell 画像

地下道の撮影はこんなセットでやってた。
ベン・ウィートリー / Ben Wheatley 画像

ベン・ウィートリー / Ben Wheatley 画像

私が持ってるのはUK版です。オマケはこれだけ↓

  • Commentary with Director Ben Wheatley and Writer Amy Jump
  • Commentary with Actors Neil Maskell, Myanna Buring and Michael Smiley
  • Audio Description
  • Making Of Kill List
  • Interviews
  • Trailer

英語字幕つき↓

US版も出てます↓

Memorable Quotes

Fiona: There's a bigger picture in business world.

Gal: Your picture doesn't stretch any further than your front door, does it mate?

The Client: It's important to learn from one's mistake, I always find.

Jay: You're giving me indigestion.
The guitar guy: Oh, sorry.
Jay: Apology accepted.
The guitar guy: Sometimes God's love can be hard to swallow.
Jay: Not as hard as a dinner plate.
Gal: (Chuckles)
The guitar guy: God loves you.
Jay: Does he? Well, tell God from me... if you're the kind of people he hangs about with, stay out of my way. No more guitar mate, not in restaurants. There's a time and a place. And your time and place is in a very isolated location where no one is likely to be for about a fucking hundred years. Ok? Cos Jimmy Hendrix you ain't.
Gal: Very sorry about my friend, Please accept my most humble apologies. And if you are speaking to the big man, put a word in for us, will you? Get them all a drink, love. Double orange juices all around.

Jay: Turn around.
The priest: Thank you.

Gal: Why do you think he had that smile on his face?
Jay: Probably at peace, you know.
Gal: Don't know how much at peach I'd feel if I was getting a bullet in the back of my head.

The Doctor: The past is gone. The futre is not yet here. There is only ever this moment.

Gal: We can get you top draw replacements. They even look like us.
The Client: It's your job.
Gal: What if we say, fuck you very much and good night?
The Client: Then you die. And your families, they die.
Gal: No wriggle room on that then?
The Client: No.
Gal: How long have we been working for you?
The Client: Please, don't embarrass yourself.
Gal: I'm asking you a straight question.
The Client: I see you, what you are.
Jay: What are we?
The Client: You're cogs.
Gal: What? What the fuck is this?
The Client: Reconstruction. So, keep turning.
Gal: What do you mean by fucking reconstruction?

Jay: The air's good.
Gal: Yeah, we should do this more often.
Jay: What, kill rich people?
Gal: No, get out in the fresh air.

ネタバレです

!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!

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原題: Kill List
別題: Kill List
Tapanimekiri
Halállista
Reshimat hisoul
Uma Lista a Abater
Lista za odstrel
邦題(カタカナ): 『キル・リスト』
制作年: 2011年
制作国: イギリス
公開日: 2011年3月12日 (アメリカ) (South by Southwest Film Festival)
2011年8月28日 (イギリス) (Frightfest)
2011年9月2日 (イギリス)
2011年9月3日 (フランス) (L'Étrange Festival)
2011年9月17日 (カナダ) (Toronto International Film Festival)
2011年9月17日 (フランス) (Strasbourg European Fantastic Film Festival)
2011年9月29日 (カナダ) (Vancouver International Film Festival)
2012年1月4日 (アメリカ) (Video On Demand)
2012年2月3日 (アメリカ) (limited)
2012年3月31日 (フランス) (Beaune Film Festival)
2012年4月6日 (ドイツ) (DVD)
2012年4月7日 (フランス) (Lyon Festival Hallucinations Collectives)
2012年4月20日 (アメリカ) (Wisconsin Film Festival)
2012年6月2日 (日本) (DVD)
2012年7月11日 (フランス)
imdb.com: imdb.com :: Kill List
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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