!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
本ページは『映画|キル・リスト|Kill List』のネタバレ全開です。この映画の普通の(ネタバレのない)レビューはこちらにあります↓
ネタバレ結末
コンビは3件の殺しのうち、2件を終えたが、ポルノ屋をブッ殺すにおいて、ジェイがキチガイのごとくかんしゃくを爆発させたもんで、ガルは彼の精神状態に不安を覚え、いったん家に戻った。したら、ジェイの家にはネコの死骸が、ガルの家には脅しのファイル(キエフ時代の記録やら最近行った殺人の隠し撮り写真)が届けられた。どこかの誰かがふたりを監視し、脅しているらしい。これはヤバい。
コンビは話し合った末、殺人仕事をやめたいと考え(ポルノ屋から大金を奪ったので)、「代理の者を紹介するからバイバイしたい」とクライアントに申し出たが「だめです」と拒否され「どうしても嫌なら家族は皆殺し」と脅される。
てわけで、やむなく3番目の仕事をすることにした。次の相手は下院議員。コンビが田舎の大邸宅を遠くから見張っていたら、夜になったら、たくさんの仮装男女(一部は全裸)が出てきて、森でへんな儀式をやりだした。標的の下院議員さんはカルトの信者だったらしい。
ジェイは遠くから標的を射殺。したまではよかったが、残りの連中が群れとなって追いかけてきた。コンビは地下の狭い通路に逃げ込むが、途中でガルは瀕死の重傷を負い、ジェイは彼を殺すしかなかった。この場面はものすごい閉塞感がある。すばらしいアクションシーンだった。
ひとりで逃げたジェイが家族の隠れ家に戻ったら、そこにもカルト軍団が押し寄せてきて、彼らがどうやって家を突き止めたかわからないが、ここは闘うしかない。ドタバタアクションの末、ジェイも奥さんも息子も拉致された。
ところ変わってここはどこかの森。
カルト軍団が儀式をやってるところに、ジェイが連れ出される。彼はみんなと同じ麦わらの仮装をさせられている。そして、『せむし男』を殺すように指図される。ジェイは相手と闘った末にブッ殺すんだが、彼が殺したせむし男は奥さんと息子だったと知らされる。
カルトのみなさんは拍手喝采をしてジェイの偉業を讃える。その中には、殺しのクライアントやガルの恋人フィオナもいる。ジェイは呆然。
おしまい。
私の解釈
依頼された殺しはカルト入信の儀式だった。カルト軍団はジェイという男の前身を調査し、彼をターゲットに選び、引き込むように計画した。これが真相だった。
- 聖職者
- ペド変態ポルノ屋
- 下院議員
- せむし男
このkill listにどんな意味があるのか謎だが、彼らが信じる教典にはこれらが暗示されているのだろう。
フィオナという女は「人事課に勤めている」と語ったが、確かに人事課といえば人事課です。彼女はジェイを引き込む目的でガルに接近した。ガルはダシに使われただけで、標的は最初からジェイに決まっていた。彼だけが手のひらを切られたからそうなのだろう。
へんな台詞をしゃべる医者もカルトの一味だった。殺されたひとたちが「ありがとう」と礼をいって、笑って死んでいったのは、彼らはそれが殉教であると信じていたから。
もしかしたら、『ジーザスの歌をうたう人たち』や『ホテルのフロント女』なんかもカルトの一味だったのかもしれない。ジェイは自分で人生を選択したと信じていたけれども、すべては仕組まれたレールを走らされていたのかもしれない。これはおそろしい。自分に自信がある人ほど、このようなmanipulationに弱いのではないか。
なぜジェイが選ばれたのかという点については、明確に明かされないけれども、ひとついえるのは、この男は相当に変わっているという点です。戦争時代のトラウマがあって、一見すると温厚そうだが、じつはかんしゃく持ち。でも、奥さんや子供にはすごく優しい。家族に暴力を振るうことはぜったいにやらなかった。世の中、キレやすい人間は多いが、彼のように『節度のあるかんしゃく持ち』てのは少ないんじゃないかな。でも、それが選ばれた理由というには、少し材料が足りない気がするけれども。
カルト軍団は周到に準備をしてジェイをハメたが、彼がどういう行動をするかなんて、そのときになってみないとわからないのだから、話ができすぎではないかと思う人も多いだろう。でも、それゆえに、これが儀式だったといえるんじゃないかな。言い換えれば入信テストみたいな。
カルト軍団はジェイみたいな標的をたくさん抱えていて、何度もこういうのをやってるんじゃないかな。ほとんどの人たちはカルトが意図した行動をとらず、脱落し、殺されていった。だから、最後の拍手には「よしよし!合格だ!えらい!」という意味が込められているんじゃないかな。
いっこわからない
上のような解釈をすれば、様々な意味深演出の謎が解けると思うんだが、ひとつわからない点がある。コレ↓
なぜ奥さんは笑って死んでいったのか?
これだけどうしてもわからない。彼女もまたカルトの一員だった。という説明が思いつくけれど、それはないと思う。奥さんは本気でカルトに怯え、必死で闘っていたから。その彼女がなぜあそこで笑ったのだろう。カルト軍団は彼女を服従させるためにヤク漬けにしちゃって、だから彼女は頭モーローでわけがわかんなくなっていた。ということなのかもしれないが、もっと深い意味があるようにも思える。
わかるひとは教えてください。DVDのコメンタリを聞けばなにかわかるかもしれないが、まだ聞いてない。なんかわかったら追記します。
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