2013/3/28 (Thu) at 6:20 pm

映画|禁断領域 ドレイメン|Community

ドキュメンタリ映画をつくりたい大学生コンビが、こわい住宅地に入り込んで、ヒデー目に遭うホラー映画。ジェマ・ダーレンダーエリオット・ジョーダンポール・マクナイリー。監督ジェイソン・フォード。2012年。

禁断領域 ドレイメン / Community DVDDVD画像

ここはイギリス。

荒廃した住宅地、ドレイマン・エステートには誰も寄りつかない。そこに入った者は行方知れずになる、殺される、ヤバいヤクがある、といったよからぬ噂が喧伝されている。警察も行政も手を出せない。

そんなおっかない場所に、映画制作を志す男女の学生コンビ(ジェマ・ダーレンダー + エリオット・ジョーダン)が、ドキュメンタリ映画をつくろうと、カメラを持って侵入する。どきどき。なにが出てくるのかな。

※という始まりはfound footage風ですが、この映画はソレ系ではありません。私的にはこっちのほうがいいです。

ドキュメンタリ企画の発案者、イザベルさんは、あらかじめドレイマン・エステートの住人である老人に取材の申し込みをしてあったので、彼の家を訪ねたが誰もいない。そこに怪しい子供チームがやってきて、ジロジロ粘着視線である。

コンビはたじろぎつつ「〇〇さんはどこ?」と訊いたら「死んだよ」といわれてびっくり。子供たちは「いいもん見せてやるからきな」という。ノコノコついていったら、ネズミの死骸を見せられ、ひー、とおののいたら、子供たちは「しめしめ」と誇らしげであり「こんどはこっち」つって、ネコの死骸、じゃなかった、瀕死のネコを見せ「ちゃんと撮ってる?」つって、ナイフで突いてみせた。なんという残虐性。

コンビは延髄キックを食らった顔になり、「いったいこいつらの親はなにをやってるのだ」と思い、家にいってみたらば、そこにはソファでだらしなく寝そべるラリラリのオバちゃんがいた。阿片窟のようなありさま。

てわけで、ドレイマン・エステートでは、大人たちはひがなヤクにうつつを抜かし惚けており、子供たちは動物を殺して遊んでいる。ヒデーなあ。そこらへんの道端に、芹明香が注射器を手に持ち、ブッ倒れていてもおかしくない雰囲気。

カメラマンのウィルさんは「もうじゅうぶんではないか。さっさとオサラバしよう」というが、イザベルさんにとってはまだまだ序の口。「特ダネのチャンスだよ」つって、嗅ぎ回る。死んだ老人の家にいったら、部屋の壁にメッセージがあった。コミュニティセンターに関わりがあるらしいです。

コンビはついにマリファナ栽培工場を発見。そして、なんと、彼らが肥料に使ってるのは、動物や人間の死体!?これはまぢにヤバいですよ。おれらの手には負えませんよ。

と気づいたときにはもう遅い。コンビは追われる身となる。リーダー格の男が「ガオー!」と咆哮するや、フード姿のチンピラどもが暗闇の中からわらわらと出てきて、あっちからもこっちからも出てきて、こわいのなんの、オオカミの群れに追われるウサギのような案配です。

トレイラー動画

Community (2012) trailer

邦題『禁断領域 ドレイメン』

追記。この映画は、邦題『禁断領域 ドレイメン』にて日本版が既に出ていました↓

気づきませんでした。いつも教えてくれてありがとう!

感想

先にレビューを書いた『タワー (2012)』と同じくhoodie horrorの新作であり、発売日は同じであり、タイトルは『C』で始まる1単語、おまけにパケも似てる、という点からして、2本続けて観ると、アンソロジー映画を観たようなきぶんです。偶然重なったのだと思いますが。

さて、感想ですが、前半はよかった。コンビがおっかなびっくりうろつき回って「もうちょっといってみよ」なんつって進んでいくあたり、ハラハラした。『タワー (2012)』が単純キラー話だったのに対し、こちらはマリファナを栽培しているなんておもしろいじゃん。フード姿のチンピラ連中はものすごくおっかない。子供たちもきもちわるい。

以下のページによれば↓

「初期の脚本の段階では、12歳の妊娠少女を登場させる案があったが、それはやめにした」そうです。なんだ。いいじゃんそれ。やればよかったのに。

が、後半からつまらなくなった。イザベルさんが「わたしゃ元カレに脅されてナントカ」つって、彼女の嘘が明かされ、すぐに引き返さなかったのは、単なる特ダネ目的ではなかったという話だが、これがものすごくバカな理由なのでがっくし。あんなバカ娘には同情できません。

また、ときどき説教臭いという点もよろしくない。だいたいですね、ホラー映画を見て『イギリスの被差別部落に関する諸問題』について考えようなんて思わないですよ。エロいビデオで女優さんがエッチをしながら少子化問題について語り始めたら萎えるじゃないですか。私は、常々、「ホラー映画はポルノである」と思っているので、これはいやです。

その点、『インブレッド (2011)』はえらかったですな。「腕が曲がっていようが、びっこをひいていようが、人類皆兄弟!」という村人たちの魂があった。そこには『差別される者』という卑屈さはなかった。一方、対する犠牲者たちにとって、連中は『悪意の敵』です。犠牲者たちは歪んだ差別社会と闘うのでなく、キチガイと闘うのです。この単純さというものに、私は拍手をする。日の丸の扇子を両手に持ち「あっぱれあっぱれ」と悦びの舞いを踊るのであります。ホラー映画たるもの、娯楽に徹してほしいものです。

ところで、以下は細かい話なんですが。

最近この手のヤツを続けて観ました。『タワー (2012)』『シタデル CITADEL (2012)』。これらの映画は「警察や行政から見離された廃墟にへんなヤツラが棲みついてどーこー」という設定ですが、私、不思議に思うのは、電気ガス水道などが通じているんですよ。イギリスの行政事情をまったく知りませんが、こんなことはあり得るのでしょうか。電気やガスは切っておけばいいのにね。それをやらないから、こんなヤツラが棲みついちゃうんですよ。ま、ホラー映画なので、ここらへんは許容ですが、思いついちゃったもんだから。

UK版DVDのオマケ

ジェイソン・フォード監督
ジェイソン・フォード / Jason Ford 画像

オマケはコレだけ↓

  • Trailer
  • Making Of

この映画のDVDは字幕ナシ↓

画像

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原題: Community
別題: Community - Der Schrecken kommt in deine Nachbarschaft
Community of Fear
Final Project
邦題(カタカナ): 『禁断領域 ドレイメン』
制作年: 2012年
制作国: イギリス
公開日: 2012年8月26日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2012年10月5日 (アメリカ) (Mile High Horror Film Festival)
2012年10月9日 (スペイン) (Sitges Film Festival)
2013年1月18日 (イギリス) (Horror on the Sea Festival)
2013年2月22日 (日本) (DVD)
2013年3月11日 (イギリス) (DVD)
2013年9月7日 (イギリス) (TV初オンエア)
imdb.com: imdb.com :: Community
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
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