2013/3/25 (Mon) at 7:22 pm

映画|アリス・キルズ|Alyce Kills

ゾンビ・ストリッパーズ (2008)』のジェイ・リー監督の新作。サエないOL娘が狂ってみんなをブッ殺すホラー映画。ジェイド・ドーンフェルドタマラ・フェルドマンジェームズ・デュヴァル。2011年。

アリス・キルズ / Alyce Kills DVDDVD画像

サエないOLのアリスさん(ジェイド・ドーンフェルド)は、いぢわる女上司にべちべち文句をいわれて最悪。きぶんを直すため、たったひとりの親友、アーパー娘のキャロルさん(タマラ・フェルドマン)といっしょにクラブ遊びにいく。

飲んで浮かれてヒャッホーと盛りあがるが、いった先のクラブで、キャロルのカレシ(ジェームズ・デュヴァル)の浮気が発覚。キャロルはピーピー泣いて悲しむ。

アリスは「こんなときこそ親友のわたしが慰めてあげなくては」と優しく介抱するが、キャロルときたら、根がヤク好きであるから「キメなくちゃやってられない!」つって売人に走る。ふたりは酒とヤクのちゃんぽんでぐでんぐでん。ビルの屋上に上がり、恍々と聳えるエベレストよりもハイになる。

この場面のタマラ・フェルドマンのラリラリ演技は、神懸かり的にすばらしい。「あーたしは、ヌーレヌレ、マーンコー!ウッヒョー!キャッハー!」つって、調子っぱずれな歌をうたって、へんな踊りをする。

Carroll: She's mad because I call her a wet vagina. A single wet vagina. Somebody's mad at me. Because they call me a wet vagina. A wet vagina. A wet vagina.

酩酊ラリラリのところにヌレヌレマンコ音頭を聞かされたアリスは、頭がぐるぐる回ってしまう。ラリラリの、ヌレヌレの、グルグルです。脳ミソはゼリーのように溶けだし、夜空に散っていく。やがてふたりの女は2個のマンコとなり、夜はしんしんと更けていくのであった。

とまァ、これだけであれば、ひどい二日酔いだけで済んだ話であるが、なんとアリスはビルの屋上からキャロルを突き落としてしまうのである。ひー。

この場合、殺意を持って殺した、というより、悪ふざけが過ぎたという調子です。

ふと気づくとキャロルがいない。あれれ。下の方から通行人の叫び声が聞こえる。パトカーの音も聞こえる。アリスは青くなる。酔いはたちどころに霧散し、あるのは後悔ばかり。

そのまま逃げて自分の部屋でガタガタ震えていたらば、警官がやってきた。彼女はその場しのぎの嘘をつく。

「昨夜、キャロルといっしょに飲んだところ、カレシの浮気が発覚しましたの。彼女は絶望し、わたしが寝ているあいだに出ていって、飛び降り自殺をしてしまったのですわ。信じられませんわ。かなしいですわ」

ふたりがクラブ遊びをやってたことや、浮気の事実はたくさんの目撃者がいる。ふたりが屋上に上ったところを誰にも見られなかったとすれば、完全犯罪になるのであろうか。と思ったら、なんと、キャロルは重態で生きていた。

全身複雑骨折のフランケンシュタイン状態。アゴの骨がぐちゃぐちゃなのでしゃべれないし、鉛筆を握ることもできないが、アリスにとっておそろしいことに、意識はあるのである。おそるおそるお見舞いにいったら、キャロルのママがいた。アリスはびくびくしながら、親友らしくお見舞いを述べ、警官に話したのと同じつくり話を聞かせた。ママは泣いた。

フランケンシュタイン状態のキャロルはガガーと興奮し、真っ赤な目をぎょろりと剥いて、アリスをにらんだ。こえー。

この日以来、アリスはヘロヘロになり、オバケのような幻影を見るに及び、ヤクに溺れる。キャロルと遊んでいた頃には、もっぱら彼女がヤクを調達してくれたので、アリスはどうやって買えばいいのかわからなかったが、売人(エディ・ローズ)のすみかに足を運び、売ってくれるようにお願いしたらば、ズコズコにレイプされ、ズタボロになり、それでも彼女はヤクを求めて、何度も売人を訪ねる。その度にヒデー目に遭わされるが、何度もいく。ヤク中だから。

でも、ヤクをやってもきぶんはすぐれない。垂直下降のアリスは狂女となる。彼女は殺人者になった。すると、またたく間に屈託は消え、この世はバラ色となり、マリア様のような優しい微笑みを浮かべるようになる。

狂うってすばらしいわ。という台詞はなかったが、そんなかんじ。細い腕にバットが似合う女は夜の町を徘徊し、そこらへんのひとをバッコーンとブッ殺して回る。死体の処理はディスポーザー。都会のキッチンってべんり。きゃは。

Cats eat bats!

トレイラー動画

Alyce (2011) trailer

感想

これ、新作といっても、1年前にオーストラリアとイギリスでDVDが出たんですよね。その後いつまで経ってもUS版が出なくて、忘れていたのですが、最近UK版を買いました。こういうのって多いなあ。アメリカ映画なのに、いつまで経ってもUS版が出ないの。どうしてなの?

さて、感想ですが、これはよかったですよ。『ゾンビ・ストリッパーズ (2008)』とはぜんぜん違うお話ですが、最後まで見たら、通底するテーマは似通っていることに気づきました。ビッチつながりです。ジェイ・リー監督は、『ビッチを描かせたら当代随一』というポジションを確固たるものにした。かもしれない。

私、タマラ・フェルドマンにシビレました。ときどきテレビドラマに出てくるので顔は知ってましたが(『HATCHET/ハチェット (2006)』にも出てましたが)、こんな楽しいネーチャンだったとは知りませんでした。私、この女と駆け落ちして、地獄の底に落ちていきたいです。ヌレヌレマンコ音頭はすばらしかったです。

タマラちゃんがラリッてる場面の台詞は下ネタ満載。いつか日本版が出るのか知りませんが、the journey to the center of vaginaなんて、どう訳すんでしょうか。『センター・オブ・ザ・マンコ』ですかね。でも、彼女は序盤で死んじゃうので(訂正!死亡じゃなくて重態だった!失礼しました)、出番は少ないのですが、その去り際もまたよかった。去った、といっても、じつはびっくりする姿で再登場するんですよ。

ゾンビ・ストリッパーズ (2008)』は脚本がおもしろかったが、この映画も言葉のセンスがいい。ヤクの売人男が特におもしろかった。詳しいことは映画で見てくださいと思うが、彼はアリスさんにさんざんヒデーことをするのです。仲間といっしょによってたかって、笑い者にする。ことごとく悲惨。アリスさんは憤懣やるかたないという顔で逃げ出すんだが、結局、何度もいっちゃうの。そんな負の連鎖に陥っていたところが、皮肉にも、彼女を狂気の道に開眼させたのは、この男の台詞だったという流れが巧みだった。

彼女は人付き合いが下手な不幸娘で、そのくせ強気で、口が悪い。自ら不幸を呼び寄せているような性格なんだが、狂いだしてからというもの、憑き物が落ちたようにスッキリ顔になる。真理を知った。ていう顔になった。キャロルの意思が乗り移ったという風にも見える豹変ぶりです。

クライマックスになるとゴアゴアどどーん。死体を始末するのに包丁でドカドカ切って、骨を砕いて、ディスポーザーで始末しようと奮闘するんだが、人間の骨は硬いので苦労します。チョン切った腕を電子レンジに入れてみたり、ミキサーで砕こうとするんだが、うまくいかないの。ヘタクソな料理番組みたい。骨がディスポーザーからぴょーんって飛び出てくるところに監督のニヤリが感じられる。

細い腕でバットをバコバコ振り回すところもよかった。あとさ、ブッ殺したあとに、余裕をカマしてうまそうにタバコを吸うんだよね。あれもいいよね。松田優作並の貫禄です。

と、ベタ褒め感想になったが、この映画の最大の見せ場はエンディングなのですよ。あのtwistはすばらしいですよ。あれがなかったら、ここまでイチオシはしなかったと思う。まぁまぁよかった。くらいの出来だったと思う。エンディングで一気にポイントUP。ほんとにびっくりした。最後のアリスさんの台詞↓

Alyce: What?

あれは語り継がれる名場面といっていいのではないか。

ひとつだけ文句を。

アリスさんはモテキャラとして描かれている。上司には「かわいいからっていいきになるんじゃないよ」とかいわれるし、クラブにいくとホイホイナンパされてモテモテなのです。でも、私、思うに、スタイルいいしブスってことはないが、そうカワイコちゃんでもない。メイク次第でもっときれいに見せれたと思うんだが、『生活に疲れた年増OL』という外見に見えたのが、唯一残念であった。

という不満を持つ私は浅はかなのだろうかという気もする。狂いだしてからはそこらへんはぜんぜん気にならなくなったので、もしかして、『狂女のかわいらしさ』を強調するために、前半をわざと顔色悪そうに演出したのかなって気もするから。実際にどうなのか、監督さんに訊いてみなければわからないけどもさ。大工さんに道具を借りにいく場面で「死体を処理するのにノコギリを貸していただけますかしら」なんつって、ニコッてするんだけど、あのスマイルはとてもかわいかったよね。

UK版DVDのオマケはなんにもナシ。字幕もナシでした↓

US版は『Ayce Kills

追記。

この記事を書いたときにはUK版のタイトル『Alyce』だったですが、『Ayce Kills』という別題で、2013年8月20日にUS版DVDがリリース↓

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原題: Alyce
別題: Alyce
Alyce - Außer Kontrolle
I tromeri Aliki
Alyce Kills
制作年: 2011年
制作国: アメリカ
公開日: 2011年9月24日 (カナダ) (Calgary International Film Festival premiere)
2012年3月22日 (オーストラリア) (DVD)
2012年4月30日 (イギリス) (DVD)
2012年9月6日 (ドイツ) (DVD)
2013年4月17日 (イタリア) (DVD)
2013年5月24日 (アメリカ)
imdb.com: imdb.com :: Alyce
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プロデュース
シネマトグラフィ
プロダクション・デザイン
アートディレクション
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