2013/2/16 (Sat) at 7:04 pm

映画|アウェイクニング|The Awakening

叙情的な映像が美しいイギリスのオカルトホラー映画。レベッカ・ホールドミニク・ウェストイメルダ・スタウントン。監督ニック・マーフィ。2011年。

アウェイクニング / The Awakening DVDDVD画像

1921年。イギリス。戦争の傷跡が人々の心に重くのしかかる時代。

フローレンスさん(レベッカ・ホール)は、オカルト現象を全面的に否定する主義の第一人者であり、ベストセラー作家である。科学に基づく理性的な観察に長けたこの女性は、オバケのインチキを暴くのが大得意。

レッド・ライト (2012)』に出ていたシガーニー・ウィーヴァーによく似たキャラだが、こちらの方が苦労が多いかもしれない。現代とは価値観の異なる大昔だから、オバケを本気で信じる人々が大勢いる。そんな石頭の連中をトンカチで叩いて回るという調子なので、しょっちゅう摩擦を引き起こす。

降霊会のインチキを暴いたら、感謝されるどころか、罵倒されてビンタを食らうなんてことも珍しくないが、彼女は信念の人なので、そんな中傷にはメゲないのである。

ある日、マロリーさん(ドミニク・ウェスト)という男が彼女を訪ねてくる。彼は全寮制プレップスクールの教師なんだが、最近、学校で奇怪な事件が起き、子供たちがオバケに怯えているから調査をしてほしいという話であった。

ある日、子供が突然死した。その子供は死ぬ前日「オバケを見た!」といって怯えていたそうな。大昔、学校の建物はとある金持ち家族の私邸だった。かつてそこで誰かが死んだという噂があるんだが、実際に何が起きたのかはわからない。でも子供たちは怯えている。

マロリーさんは持参した心霊写真を彼女に見せた。生徒たちの集合写真の中に子供のオバケが映っているのである。そういうのが何枚もある。でもこれだけではオバケの証拠にはならない。どうなんですかね。ほんとかなあ。

てわけで、彼女はその学校に行く。古くて大きな建物は由緒ありげで、堂々たる風格である。子供たちの世話をする寮母さん(イメルダ・スタウントン)が登場。元々、この女性がフローレンスさんの本の熱心なファンで、彼女に調査を依頼することを提言したのだそうな。

フローレンスさんは女探偵になり、学校内を調べ回り、たちまち真相を解明した。オバケは他の生徒のいたずらで、子供の死因は喘息の発作だった。なーんだ。いっちょうアガリである。任務完了。ただちに撤収。

と思ったら、へんな男(ジョゼフ・マウル)にへんなことをいわれてびっくりする。

Judd: It's the living you wanna watch out for. Not the dead.

あんたは生きてる人間に関心を払っているだけだよな。死者でなく。

きもちわるいなあ。と思ったら、じつはここから先が本番だったのでした。奇怪な出来事が次々に起き、彼女自身もオバケを目撃し、ヘロヘロになってしまう。もはや科学では説明ができない事態。最後には意外なオチになる。叙情的な映像で悲しいオバケを切々と描くオカルトミステリー。

トレイラー動画

The Awakening (2011) trailer

邦題『アウェイクニング』にて日本版DVD発売中

私が観たのは、先月発売されたUS版DVDですが、日本版も先月出てました。邦題は『アウェイクニング』↓

感想

amazon.comのレビューがやたら絶賛なので期待したんですが、これはつまらなかったなあ。そんなにいいかな?

最後に明かされるtwistはムリムリ強引すぎ。そして、さらに困るのが、フローレンスさんがだめすぎではないか。彼女は科学第一主義で、進歩的な考えの持ち主で、迷信深いひとたちを皮肉るような生意気キャラだったのに、オバケを見たらば、とたんにうろたえ、ただのネーチャンになっちゃうんだよね。

監督さん的には「それくらいに衝撃を受けたのですよ」ということなのかもしれないが、もうちょっとさ、そこにいくまでに、心の葛藤があるべきではないか。どんなこわい目に遭おうが恐怖を抑え「からくりがあるにちがいない。私は暴いてやるぞ」とかいってさ、冷や汗ダラダラで「科学科学科学」と念仏のように唱えているのが、いつしか「ナムアミダブツ」になってしまう。そんな心理描写があるべきではないか。

しかるに、この女はちょっとこわい目に遭っただけでヘロヘロになってしまうばかりか、男前のマロリーさんにデレデレとすがりつき、ナニしてしまうのである。キャラ変わりすぎ。

だめだなこいつは。と思いつつ見続けていったら、いろいろあって、オバケの意味もぜんぶわかって、やっとこさ全面解決。おしまい。すると、ホイと元に戻っちゃうのです。自信まんまんで「こんどの本のタイトルは決まった」なんつって、マロリーさんとキスをする。あのなー。

こういう女って、物事が快調なときには「女だからってバカにすんな」とかいうんだよね。んで、具合が悪くなると「男の人には守ってほしいですわ」とかいうんだよね。あー、いやだいやだ。こういう娘が組織にいると非常に厄介です。正面切ってよくない点を指摘しようもんなら、ガーガー怒ったり泣いたりしやがるので、迂回したほうがいいよね。誰かを間に挟むとか。挟まれた方は災難ですが。

あ。チト話がそれましたが、この映画はシネマトグラフィがたいへん奇麗です。叙情的な映像を見ていると「なんだか知らないが、ものすごく高尚で深遠なお話なのだろう」というきもちになってしまうが、結局、そう大したもんじゃなかった。でも褒めているひとがたくさんいるから、私には理解できない良さがあるのだろう。不思議だなあ。

ところで、レベッカ・ホールというひとはどっかで見たなと思ったら、『ドリアン・グレイ (2009)』に出てたんですね。あー、おもいだした。彼女はいい雰囲気の女優さんだと思うが、彼女が出ている映画はいつも私の好みに合わないなあ。

DVDのオマケ

US版DVDのオマケはこれだけ↓

  • Deleted Scenes Introduced By Nick Murphy
  • A Time For Ghost
  • Anatomy of a Scene: Florence and the lake

この映画のDVDは英語字幕つき↓

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原題: The Awakening
別題: The Awakening
O Despertar
La maldición de Rookford
La maison des ombres
To kouklospito
Buđenje
1921 - Il mistero di Rookford
Szepty
Öbür Dünyadan
Despertar de los muertos
邦題(カタカナ): 『アウェイクニング』
制作年: 2011年
制作国: イギリス
公開日: 2011年9月16日 (カナダ) (Toronto International Film Festival)
2011年10月25日 (イギリス) (London Film Festival)
2011年11月11日 (イギリス)
2011年12月2日 (イタリア)
2012年1月5日 (香港)
2012年1月26日 (フランス) (Gerardmer Fantasy Film Festival)
2012年2月16日 (ロシア)
2012年3月6日 (フランス) (DVD)
2012年3月15日 (オーストラリア)
2012年4月27日 (スペイン)
2012年7月28日 (日本) (Tokyo)
2012年8月17日 (カナダ) (limited)
2012年8月17日 (アメリカ) (limited)
2012年8月25日 (ドイツ) (Fantasy Filmfest)
2013年5月8日 (ドイツ)
imdb.com: imdb.com :: The Awakening
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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