2010/1/12 (Tue) at 8:12 am

映画|ドリアン・グレイ|Dorian Gray

オスカー・ワイルド『ドリアン・グレイの肖像』を映画化。ベン・バーンズ。監督オリヴァー・パーカー。2009年。

ドリアン・グレイ / Dorian Gray DVDDVD画像

アイドル顔の美青年、ドリアン・グレイはロンドン社交界に鮮烈デビューする。売れっ子画家のバジルに肖像画を描いてもらったら、これが奥様お嬢様に大評判!男前であることに加え、その性格は素直で純真。ルックスだけでなく性格もいいからじつにすばらしいのだが、不良中年男のハリーと出会って彼の人生は急旋回する。ハリーはドリアンに接近し「その美貌があれば世界は君のものだよ」なんつって、あれこれと悪い遊びを教え込む。ハリーの手腕は、世間知らずなボンボン社長を操るやり手専務のよう。またたくまにホストナンバーワンへと大変身!

ドリアンはそのうちハリーにもいえない秘密を持つに至る。それはあの肖像画である。人々がため息をもらした傑作肖像画はいつしか壁から取り外される。ドリアンはそれを屋根裏部屋に隠してだれにも見せない。なぜならそこには本当のドリアンの姿が描かれているからである。その絵は不思議な効力を持ち、ドリアンの罪深さ/悪業/老いといった、彼が怖れるものすべてを映しだす。ドリアンはいつまでも若く美しい。その代償として肖像画の中のドリアンは、醜悪な老人に変化していく。彼はそれを見るのもいやだし、だれにも見せたくない。彼は絵を隠し、嫌なことはぜんぶ絵に閉じ込めて放蕩三昧の人生を送る。でも、やがてそのツケを払わなくちゃいけなくなる。そして彼は破滅する。

Dorian Gray trailer

感想

『ドリアングレイの肖像 - メロドラマバージョン』になっちゃいました。

原作を読んだことがない人でも、そのプロットは有名なので知ってる人が多いと思います。「絵の中の男が年を食う代わりに、実際の男の方は若くてきれいなまま」という単純プロットはじつに傑作ですが、その点自体がこの小説のメインパートではなく、小説を読ませるために作者が創出したギミックというか、ホラー映画における特殊効果みたいなものではないかと私は思います。ではメイン骨子はなにかといえば、私は文芸評論家みたいにうまくいえませんが、たゆとう精神世界を描いたお話なのでいろんな捉え方ができると思うんですが、『美の求道者たることを目指した男が破滅する話』みたいなものかなと。

以下ネタバレになりますが、原作と映画の違いについて書きます。

ドリアンが快楽者ドリアンとして開花するきっかけとなった事件は恋人シビルの死だったですが、彼女が死んだ理由というのが原作ではとても象徴的だったですが、映画では変わってしまいました。

原作では、ドリアンとシビルが破局する流れは簡単にいうとこうです↓

シビルはドリアンに恋をしたことによって舞台芸術に対する熱意を失い、演技がおざなりになった。つまり女優でなく、ただのおねーちゃんになった。それを見たドリアンは「こんなバカ女だったのか!」と頭にきちゃって別れを述べた。傷心シビルは自殺した。

映画ではこうなります↓

ドリアンがハリーに誘われてエロい遊びをやってたもんで、それがシビルにバレてふたりはケンカして別れた。傷心シビルは自殺した。

このふたつはぜんぜんちがう。原作においては、シビルは女優であることを放棄しましたが、その代わりに恋をすることでまた新しい人生のroleを得ているわけです。恋する演技をやめてほんとに恋する女になったということですね。でもドリアンにはそれが理解できなかった。というじつにもう人生の酷薄さがにじみ出ているところだと思うんですが、それをタダの浮気話に変えてしまうなんて、原作の意図が台無しで、メロドラマになってると思います。

シビルの弟ジミー(映画だと兄のように見えるので設定変えたのかも)がドリアンに復讐するところ。最初、ジミーはドリアンを襲うが、彼がぜんぜん年を食っていないのに気づいて「ひとちがいでした。すません」とあきらめる。が、その後、やっぱりコイツがわるもんと気づいてドリアンを追うわけですが、この流れは原作と同じですが、ジミーが「ドリアンがドリアンであることに気づくきっかけ」というのが原作の見せ場のひとつなんだけど、これが映画では変わっています。原作ではこんなかんじ↓

ジミーがドリアンを逃がしたのち、そのあとにババア娼婦が出てきて「あいつは悪魔に身売りしてきれいな顔を手に入れたのさ。元はといえば、アイツが私をこんなふうにしたんだよイッヒッヒ」なんていわれたもんだから、やっぱりあれがドリアンなのか!と気づく。

この場面はドリアンのウラの顔を象徴するいいシーンでしたが、映画ではよくあるサスペンス映画のパターンに置き換わっていました。

あと、映画では、ドリアンは肖像画を見ることをずっといやがっていましたけど、原作ではときどき見てるのですね。自分の悪行が絵の中の男に映し出されるのを見てひそやかな快感にひたるのです。それがじつにこの男の酷薄さを表しているというか、おっかねえなあと思わせる文章だったんだけど、映画のドリアンはただそれがこわくて見れないだけだからつまらない。

後半になると、原作とはぜんぜんちがう流れになっていきます。ヘンリー卿(ハリー)の娘ってのが出てきて、ドリアンと恋をするようになる。ここらへんになるともう違うお話になってしまうので、まぁいいかとわりきり気分でした。

以下ネタバレを書きますが、これは映画のお話で、原作とは異なるところが多いです。

ネタバレです

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原題: Dorian Gray
別題: Dorian Gray
El retrato de Dorian Gray
Das Bildnis des Dorian Gray
Dorianas Grejus
O Retrato de Dorian Gray
To portraito tou Dorian Gray
邦題(カタカナ): 『ドリアン・グレイ』
制作年: 2009年
制作国: イギリス
公開日: 2009年9月9日 (イギリス)
2009年9月11日 (カナダ) (Toronto International Film Festival)
2009年10月8日 (スペイン) (Sitges - Catalonian International Film Festival)
2009年11月12日 (オーストラリア)
2009年11月27日 (イタリア)
2010年1月21日 (ロシア)
2010年4月15日 (ドイツ)
2010年6月11日 (スペイン)
2010年8月24日 (アメリカ) (DVD)
2010年9月1日 (フランス) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Dorian Gray
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