映画|Easter Bunny, Kill! Kill!
イースターのバニーちゃんのキラーがじゃじゃーんと出てきて、わるもんどもをブッ殺すホラー映画。ゴアゴアあり。ティモシー・マスカテル、リカルド・グレイ、シャーロット・マリー。監督チャド・ファーリン。2006年。
楽しいイースター。
レミントン(ティモシー・マスカテル)はわるもんである。彼はコンビニ強盗をやったあと、恋人(シャーロット・マリー)の家に行く。その女はシングルマザーで、かわいそうな知恵遅れの息子(リカルド・グレイ)がいるのだが、レミントンは「そんなの気にするなよベイビー」「おれがめんどうを見るからさ」などとうまいことをいう。女にしてみれば、そんな優しい言葉に触れるとホロリとしてしまうのであり、完全にダマされちゃう。ふたりはラブラブに盛り上がって、レミントンはそのまま家に居座る。
「ヘッヘッ、ちょろいもんだぜ」といい気になった彼は、女がいなくなると、知恵遅れ息子をいぢめだす。母親がいるあいだは優しいアニキづらをしているんだが、息子とふたりだけになると「オイコラ、おまえなんかいらない子だ」的なひどいことをいうのだ。息子は悲しくなり、ママに「あ、あ、あいつは、わ、わ、る、も、ん」と訴えるのだが、ママはのぼせてるので「いいこにしてよね。彼はやさしいひとよ」とかいう。
レミントンはますますいい気になり、女が仕事でいないあいだにパーティをやる。娼婦を呼んで盛りあがろうジャン。パーティ三昧ヤク三昧。ひどいやつだ。その前に、どっかの変態キモ男(デヴィッド・Z・スタンプ)を呼び出し「おまえ好みの坊やがいるぞ。いっちょうかわいがってやれ」などと誘って、そいつを家に呼んだ。
このキモ男は若い男が大好きで、相手が知恵遅れであると知ると「そりゃたまらんのう」なんつってヨダレを垂らすのだ。話を聞いただけで鼻から精子が噴出するのではないかというくらいの興奮ぶりである。きもちわりー。
とやってるあいだ、かわいそうな息子は自分の部屋に閉じこもってペットのウサギにエサをやったりしつつ、心細い思いをしている。彼は毎年イースターがくるのを楽しみにしていて、なぜかというと、死んだパパが帰ってくると信じているからなんだが、ところが、今年のイースターは最悪である。イヤな男がやってきて、そいつはママとイチャついて、おまけに家に居座りだした。あーあー。いやだなー。ドアの向こうからキモ男の声がする。きもちわるいよう。こわいよう。
と思ったところで、アクションスタート!
バニーちゃんコスのキラーがジャジャーンと登場。救世主のように現れたイースターバニーがわるもんどもをブッ殺す!デカドリルでずごごごーーーん。ホーキを口に突っ込んでズゴズゴぐえええええええ。チェーンソーでぎょおおおおおおおお。BLOODY-GORE!!!!
息子の願いが天に届いて、死んだパパが戻ってきたのでしょうか。あるいは、知恵遅れ息子がついにハジケちゃってキラーに変身したのでしょうか。最後のオチがおもしろいよ。
トレイラー動画
感想
前半は低予算ホラーにありがちなうだうだの連続です。後半になると、やっとこさ、ゴアゴアが始まるんだけど、この監督らしく特殊効果はなかなかのもんですが、見てるほうとしては「それですべて許せるというほどではない」という複雑心理に陥るでしょう。んー、こんなもんだったか、そうか、そうか。とやや冷たい視線で見続ける私。
そしたらアナタ!
最後の5分が!
I cannot believe this!
いいオチでした。この映画自体は凡作だと思います。でも、あのオチには非凡さをかんじます。ホラーファンが喜ぶ心理を突いてるなと思う。「これだけで終わらないよ、ほれほれ」的なサービス精神があります。これはすばらしいことです。愛と勇気と希望です。この監督さんがもっと大きな予算を使えるようになったらどんなものを出してくるのか、とても楽しみです。
知恵遅れの息子はかわいいウサギを飼ってるんですけど、あのウサちゃんを殺さなかった、という点もいいですね。ラスト近くの、死体の上にウサちゃんがぴょんと乗るところがすごくいい。最後はとてもシュールでへんなハッピーエンドなんですよ。ほんとにおもしろいとおもった。でも、もしかして、世の中には、あれを「しょーもないオチ」とかいう人もいるのかな。私、そういうひととは友達になれませんね。
あのウサちゃんの名前はGrannyちゃんというのですよ。エンディングにそう書いてあった。
『ハリウッド人肉通り (2003)』『Easter Bunny, Kill! Kill! (2006)』ときて、んでもって、『Someone's Knocking at the Door (2009)』で、ついに、傑作(まぢ)の域に達してしまったのだなあという、チャド・ファーリン監督の軌跡を知ることができました。『スローター 死霊の生贄 (2006)』(ちょっとおもしろいけどまぁ凡作)の2年後に『ゾンビ・ストリッパーズ (2008)』ですばらしいハジケっぷりを見せたジェイ・リー監督と同じような印象を持ちました。この先が楽しみです。
キャストのみなさんは監督さんの身内俳優が多いです。ティモシー・マスカテルは『ハリウッド人肉通り (2003)』のエリック・ヘイズ、知恵遅れ息子のニコラスくんを演じたリカルド・グレイは『Someone's Knocking at the Door (2009)』では「あわわ」のドモリ男を演ってました(そういうのばっか)。その他にも同じ俳優さんがいろいろ出てきます。
私、ティモシー・マスカテルが少し心配です。チャド・ファーリン監督はきっといつかBIGな予算のホラー映画をつくると思うんですよ。でも、そのとき、マスカテルさんは使ってもらえるんだろうか。彼ってブヨブヨの体で、いかにもインディーズ臭ぷんぷんなのです。将来、監督がえらくなったとき、古女房のように捨てられてしまうのではないかしらん。そうなったらかわいそうだなあ。いまからジョギングに精を出して、体を絞ったほうがいいんじゃないかなあ。最後のオチで「わははは」と笑ったあと、そんな思いが脳裏をよぎりました。
DVDのEtra
Extraには16分くらいのメイキングが入ってましたが、これによれば、最初はレミントン役にジョセフ・ピラトーがキャスティングされていたそうな(彼はこの監督さんの他の映画に出ています)。あと、息子とママも別の俳優さんだった。息子のほうは『ハリウッド人肉通り (2003)』でカメラを盗んでいっちゃう男がいましたが、彼がやる予定だったようです。撮影直前にドタバタして変わってしまった顛末を明かしています。
Features -------
- "FUCK UP" The Casting Woes Of Easter Bunny Kill! Kill!
- Easter Bunny Kill! Kill! Trailer
- The Ghouls Trailer
- Vicious Circle Films Presents
画像
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チャド・ファーリン監督の映画
- Easter Bunny, Kill! Kill! (2006)
- ハリウッド人肉通り (2003)
- Someone's Knocking at the Door (2009)
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Easter Bunny, Kill! Kill! | |
2006年 | |
アメリカ | |
2006年8月4日 (アメリカ) (Twisted Nightmare Weekend) 2006年10月20日 (アメリカ) (Tom's River Halloween Film Festival) 2006年10月21日 (アメリカ) (Hollywood Film Festival) 2007年10月21日 (アメリカ) (Rhode Island International Horror Film Festival) 2008年3月15日 (アメリカ) (Backseat Film Festival) 2010年4月1日 (アメリカ) (Video On Demand) 2010年6月1日 (アメリカ) (DVD) | |
imdb.com :: Easter Bunny, Kill! Kill! |
- Timothy Muskatell :: ティモシー・マスカテル [imdb] (Remington)
- Ricardo Gray :: リカルド・グレイ [imdb] (Nicholas)
- Charlotte Marie :: シャーロット・マリー [imdb] (Mindy)
- Trent Haaga :: トレント・ハーガ [imdb] (Bum / Donald)
- David Z. Stamp :: デヴィッド・Z・スタンプ [imdb] (Ray Mann)
- Marina Blumenthal :: マリナ・ブリュメンタル [imdb] (Lupe)
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