2010/8/23 (Mon) at 9:50 am

映画|バーニング・ブライト|Burning Bright

家の中にトラが歩き回ってるもんで、びっくりするホラー映画。てか、スリラー映画に近い動物パニックもの。トラ!タイガーですよ!CGじゃなくて本物!ミートローフがチョイ役で出演。ブリアナ・エヴィガンチャーリー・ターハンギャレット・ディラハント。監督カルロス・ブルックス。2010年。

バーニング・ブライト / Burning Bright DVDDVD画像

ブリアナ・エヴィガン演じるおねーちゃんはたったひとりで自閉症の弟(チャーリー・ターハン)のめんどうを見てるんだが、カレッジ奨学金をもらえることになったんで、弟を施設に預かってもらうことにする。死んだママが残してくれただいじなお金を使おうと思ったら、知らないうちに銀行預金が残高ゼロになっているではないか。焦って銀行に聞いたら、同居する義父(ギャレット・ディラハント)が勝手におろしていったと知り、怒る。くそったれえ。

この義父ってのは、身勝手でひどいやつである。自分の義理の娘息子が飢え死にしようが知ったこっちゃねーヨという調子で、彼はお金を横取りしてトラを1頭買ってきた。サファリパークを経営していっちょうひと儲けしたいと思ってるらしい。

檻に入ったトラが運ばれてきて、それは家の前までやってきたのだが、折悪しく、今夜は大型ハリケーンが接近中というので、義父はトラの檻を家の中に運び入れた。そして自分はバーに行っちゃう。さらにご丁寧なことに、この日の昼間、義父は大工さんたちを呼び、ハリケーンに備えて家の窓やらドアやらの補強を頼んだのであった。

夜になったら、なにも知らないおねーちゃんは家の中でトラさんと鉢合わせしてびっくり。いつのまにか檻を破ってそこらへんを散歩してるではないか。な、なんすか、これ!尋常ならざる非常事態において、弟を連れて外に出ようと思ったら、ドアも窓も分厚い板が打ちつけてある。姉弟はトラといっしょに閉じ込められちゃったのだ。

おねーちゃんは自閉症の弟を引っぱって、ひたすら家の中を逃げ回る。あああああああ、もうこんな人生いやあああああ!気の毒すぎる!ガオー!

トレイラー動画

Burning Bright (2010) trailer

感想

本物のトラを使ってみたよという、ちょっと珍しい映画でした。動物もののパニック映画では、明らかに別撮りした映像を編集しただけとか、こわい音楽が鳴って絶叫顔が映るだけ、動物は一瞬のみ、なんていうのが多いですが、この映画はその手のしょーもないヤツとは明らかに違います。

本物のトラさんに「ここでガオーと襲ってください。でもほんとに食べちゃだめですよ。手加減してくださいね」とお願いしても無理でしょうけど、制約の中で、なんとかアイデアを絞って、おもしろいシーンづくりをやってみたよというかんじがします。

けっこうドキドキしますよ。だいたい家の中にトラが歩いてるなんておもしろいじゃん。フロリダあたりでは家に帰ったらワニがいた!なんていうびっくりがあるそうですが、トラはさすがにいないでしょ?DVDのExtraに入ってたメイキングを見ると、3頭のトラを使ったということでいろいろ苦労話が聞けます。

もちろんトラが見どころですが、キャラの立ちがちゃんとしてて、ブリアナ・エヴィガンの境遇がじつにかわいそうで泣けてきちゃうという点もよかったです。ギャレット・ディラハントがこれまた憎たらしい!おまえはトラに食われてしまえとだれもが思うでしょう。『ラスト・ハウス・オン・ザ・レフト -鮮血の美学- (2009)』のときは彼のワル役演技に違和感を感じたのだけど、見馴れてきたというか、今回はまぁよかったです。

ブリアナ・エヴィガンはさいきんいろんなホラーに出てます。低予算のヤツが多いですが、いつも全力投球で「きゃああああああ」とやってくれるからいいです。余談ですが、この人、最初見たとき、ラシダ・ジョーンズ(Rashida Jones)にそっくりだなあと思いました。てか、本人かと思いました。顔だけじゃなくて、声もそっくりだから余計に驚く。ふたりの名前で検索するとズラーと出てくるので、同じことを思うひとがたくさんいるみたい。親戚なんだろうかと思ったら、特に関係ないようです。ラシダちゃんはクインシー・ジョーンズの娘です。

さて、映画の話に戻りますが、私はこう思ったんですよ。最後に姉弟は逃げ場を失い、トラに食われそうになる。ガオー!絶対絶命!ピンチ!と思ったところで、自閉症の弟がヒョイと手を出してイーコイーコしてやると、トラはゴロニャンと甘えておなかをだす。弟はそれを見てにっこりする。自閉症が治る。姉は泣いて感動する。私たちも感動する。姉弟はトラといっしょに仲良く暮らす。おしまい。

こうだったらいいなーと思って観てたんだけど、じっさいは違いました。ホラー映画によくあるしょーもないオチだったですが、ま、いいか。

映画の題名『Burning Bright』てのはウィリアム・ブレイクの詩からとったそうです。DVDのExtraの中にブリアナ・エヴィガンによる朗読が入っています↓

"The tyger"

by William Blake
as read by Briana Evigan

Tyger Tyger, burning bright, In the forests of the night: What immortal hand or eye, Could frame thy fearful symmetry? In what distant deeps or skies Burnt the fire of thine eyes? On what wings dare he aspire? What the hand dare seize the fire? And what shoulder, & what art, Could twist the sinews of the heart? And when thy heart began to beat, What dread hand? & what dread feet? What the hammer? what the chain, In what furnace was thy brain? What the anvil? what dread grasp Dare its deadly terrors clasp? When the stars threw down their spears And water'd heaven with their tears: Did he smile his work to see? Did he who made the Lamb make thee? Tyger, Tyger burning bright In the forest of the night: What immortal hand or eye Dare frame thy fearful symmetry?

パニック映画には似つかわしくない、えらく高尚なタイトルですが、監督さん的に「そこらへんのショボイパニック映画といっしょにするんじゃないよ」的なメッセージがこもっているのかもしれない(本人に聞いてみないとわかりませんが)。ま、でも、もし日本でDVDが出ることになったらきっとB級ぷんぷんタイトルになってしまうのでしょう。

ところで、ミートローフのアニキはトラを義父に売る怪しいオッサンの役でした。彼は最初だけチョロッと出る。これもなかなかよかったです。

あとからちょと追記。おもしろいよと書いたけど、そんなにショッカーグログロオエーというほどのものではないですヨ。ほんとのトラを使って、法律を守って(ひとを襲わせるなんてやらないという意味)、撮影できるギリギリのところを攻めてるように思えたから、私は好感を持ったのです。

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原題: Burning Bright
別題: Anthropino thirama
Burning Bright - Tödliche Gefahr
Ravenous
邦題(カタカナ): 『バーニング・ブライト』
制作年: 2010年
制作国: アメリカ
公開日: 2009年5月13日 (フランス) (Cannes Film Market)
2009年11月 (アメリカ) (American Film Market)
2010年8月17日 (カナダ) (DVD)
2010年8月17日 (アメリカ) (DVD)
2013年1月15日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Burning Bright
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出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
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