2010/2/27 (Sat) at 10:22 pm

映画|テル・テイル|Tell Tale

心臓移植手術を受けた男が幻視に悩まされるサスペンススリラー。ポオの短編『告げ口心臓』から着想を得た。ジョシュ・ルーカス、レナ・ヘディ、ブライアン・コックス。監督マイケル・クエスタ。リドリー&トニー・スコット制作。2009年。

映画|テル・テイル|Tell TaleDVD画像

ジョシュ・ルーカス演じるテリーは心臓移植の手術を受けたばかりの病気男で、さらに彼には、珍しい遺伝子疾患を持つかわいそうな娘がいるという、じつに気の毒な父娘なんだが、このたび、美人女医(レナ・ヘディ)とデートに成功。娘も彼女になついていいかんじ。うれしいなと思ったら、移植された心臓のせいで不思議な事件に巻き込まれ、彼は殺人者になってしまう。怪しい刑事(ブライアン・コックス)も出てきて、移植ドナーの過去が明かされる。かつての心臓の持ち主が自分を殺したヤツラに復讐をしたがっているようです。

Tell Tale trailer

感想

エドガー・アラン・ポオの短編小説『告げ口心臓 (The Tell-Tale Heart)』を元にしたってことですが、小説の映画化ということではなくて、小説からヒントを得てつくられたadaptation脚本てかんじでした。ちなみにこの小説はとても短くて、私が持ってる創元推理文庫だと10ページしかありません。かんたんにいうと次のようなお話です。小説と映画は内容が違うので、小説を知ってもネタバレにはならないのでご心配なく↓

殺人をした男の独白話。男はとある人物を殺す。死体を隠してだれにもバレなかったんだが、ポリスとしゃべってる最中に、殺した死体の心臓のドクドク音が聞こえてきたもんで「ひえええええ」と狂いだす。んで、自ら墓穴を掘るように罪を自白する。おしまい。殺人を犯した罪悪感ゆえに、聞こえるはずのない音が聞こえたってことですかという余韻の結末。

ネットでも読めます。英語日本語あります。とても平易な英語なので原文でも読みやすいですよ↓

てことなんだけど、映画と小説に共通しているのは「心臓のドクドク音が聞こえる」という点だけじゃないですかね。私はいろんなことを想像しながらこの映画を見たのですよ。これはもしかして「人間の罪悪感」という点において原作の概念を受け継いでいるのではないか。つまり、殺されたドナーはじつは罪悪感を持つような悪いことをしたから殺されたのであり、復讐というよりも贖罪的な行いをしているのではないか。なんて推理をしつつ鑑賞したんだけど、その結末はかなりちがってました。なかなかあたらないなあ。

監督のマイケル・クエスタはShowtimeの『Dexter』のいくつかのエピソードをディレクションしているので(プレミアエピソード含)、どんなもんかえと期待したらば、最後のクライマックス近くのイテテのシーンはソレぽい雰囲気かなと思ったくらいで『Dexter』を超えるものではなかったけれども、まぁオッケー。

臓器を移植されたら不思議なことが起きてナントカという映画は他にもいろいろありますが、私的にはパン兄弟の『The Eye / Gin gwai (2002)』がとても印象深いです。こちらは心臓じゃなくて角膜ですが、元の臓器の持ち主の思念がガガーと出てきておののくという点が似てるかなと思う。未見の方はぜひどうぞ。ジェシカ・アルバのリメイクはつまらないです。オリジナルの方がずっといいです。

SPOILER ALERT!!!!
ネタバレ!

真相が少しづつ明かされるんだが、まとめるとこうである。

テリーは殺人を重ねる。彼が平常心を失うのときには、常に幻視が見え、心臓どくどく音が大きくなる。殺す相手はいずれもドナーの死に関わっていた者たちなんだが、最初のうちは彼自身さえ自分の行動に説明がつかなくて苦悶してたんだが、移植ドナーの過去を調べるうちいろいろとわかってくる。ドナーであるVieillard氏は、奥さんと共に、臓器目的で殺人を犯すわるもんチームに殺されたのであった。殺された人物が(心臓を通じてテリーを動かして?)復讐をしていたということです。

テリーが苦悶の日々を過ごしていた頃、わるもんの方もタマげていた。絶対バレてないはずなのに、まるでどこかのだれかが自分たちをひとりづつ狙い撃ちしているようではないか。彼らにしてみれば「なぜ?だれが?」という疑問がわくのであり「どこのだれだか知らないが、おびきだして殺してやる」と考えるのは必然である。

テリーと恋人女医はわるもん医者に捕まる。この医者が臓器売買アングラ組織のボスってことらしい。テリーは氷漬けバスタブで拷問される。「おまえはなんでおれらのことを知ってるのだ?だれかにしゃべったのか?」てなことを聞き出そうとするんだが、そこで初めて自分らが殺して売った心臓がテリーに移植されたという事実を知っておののく。テリーは殺される。と思ったら、ブライアン・コックス演じる老刑事がダダーと突入してきて、格闘の末にテリーと恋人は助かる。

ラスト。

数日後、テリーは恋人女医と再会する。ふたりは感動的に会うんだが、テリーがナニゲにいった「もう秘密はナシね」という言葉、彼は自分が隠しごとをしていたからすませんでしたというつもりでこういったと思うんだが、その言葉を聞いた恋人女医は驚きの告白をする。

「あなたに心臓を手配したのはわたしなのです。医者仲間のうわさ話で『アイツにいえば順番待ちの移植臓器がパッと手に入るらしいヨ』ていうのを聞いたから、彼に頼んだの。彼はすぐに応じてくれた。わたしはその心臓がどこからくるかなんて聞かなかった。あなたがドナーの順番を待ち続けていたこと、そしてもう長くは持たないだろうということも知っていた。アンジェラ(娘)がかわいそうで見ていられなかった。助けたい一心でそうしたのです」

つまり彼女はまさか相手が殺人者だったとは知らなかったのですね。この告白を聞いたテリーはマッサオになる。絶句。「もうこの女とはやっていけません」という悲しい余韻で終了。

ドックン!(心臓の音)

おしまい。

※ラストで突入してきた刑事(ブライアン・コックス)はテリーが殺人をしているらしいと知ると「最後までやり遂げろ」なんて刑事らしからぬ発言をする謎のオッサンで、その理由は彼がドナーの奥さんの不倫相手だったからというサブ物語が明かされるんだけど、そこらへんはどうでもいいってかんじがしました。テレビドラマばかりつくってると、こういう話を入れたくなるのかな。

※この映画のレナ・ヘディは献身的な恋人なんだけど、私は彼女がこういう役をやってるとなにかウラがありそうだと思えてしまうんですが(じつは女医は仮の姿で未来からきた女戦士とか)、やっぱりありましたね。

画像

Tell Tale / テル・テイル (1) 画像Tell Tale / テル・テイル (2) 画像
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原題: Tell Tale
別題: Tell-Tale
Das schwarze Herz
Instinto de Vingança
Martyriara kardia
邦題(カタカナ): 『テル・テイル(原題)』
制作年: 2009年
制作国: イギリス/アメリカ
制作スタジオ: Artina Films
公開日: 2009年4月24日 (アメリカ) (Tribeca Film Festival)
2010年1月29日 (アメリカ) (DVD発売)
2010年8月18日 (フランス)
imdb.com: imdb.com :: Tell Tale
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
特殊効果(Special Effects)
視覚効果(Visual Effects)
謝辞

ホラーSHOX [呪](『ほらーしょっくすのろい』と読む)は新作ホラーやSFのレビュー中心のブログです。たまに古いのやコメディ等もとりあげます。

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