2008/10/31 (Fri) at 10:24 pm

映画|デス・レース|Death Race

『デス・レース』は刑務所から実況生中継でお届けする過激ショー。インダストリアルな海上サーキットを舞台に、重武装した殺人カーたちが暴れ回る。ダダダーうぎゃードドガーーーン!ドーパミンでまくりハイオク過激SFヴァイオレンス。主演ジェイソン・ステイサム。監督ポール・W・S・アンダーソン。2008年。

デス・レース / Death Race DVDDVD画像

2012年アメリカ。深刻な経済破綻ゆえに失業率&犯罪件数は急上昇。これにともない囚人の数も急上昇。刑務所経営は変革を迫られるのであり、カネ儲け上手な私企業にその運営が委託された。企業は様々なアイデアを出す。囚人同士を闘わせる過激なデスマッチを実況生中継し視聴率を稼いだが、すぐに飽きられてしまった。そこで編み出されたのが、究極の娯楽番組である『デス・レース』。

ガトリングガンやミサイルといった重火器を装備したレーシングカーでインダストリアルなコースを周回する。ルールはなんでもアリ。とにかく先にゴールした方が勝ちっていう単純レースだが、刺激を求める視聴者の好みに合わせて様々な残虐趣向が凝らされている。死を賭けて5回勝利した者には無罪放免の恩赦が与えられるってわけで、レースに参加する囚人たちはドーパミンでまくりの苛烈な殺し合いをやる。視聴率は上がる。企業は儲かる。囚人はバタバタ死んでいく。

ジェイソン・ステイサム演じるジェンセン・エイムスは元有名レーサーだったが、いまは鉄鋼工場で働く低賃金労働者である。これでも仕事があるだけめっけもんという不景気なご時世なんだが、彼が働く工場は閉鎖されると下された。退職金なんかナシ。最後の給料をもらって「もう来なくていいよ」といわれた労働者たちの怒りが爆発。暴動。機動隊と衝突。反抗する者はガシガシと殴られる。というお先真っ暗な近未来が舞台なのだが、ジェンセンには優しい奥さんとかわいい赤ちゃんがいる。奥さんはどんなときにも夫を励ますという善良キャラであり、ジェンセンは家族のためになんとかしなくちゃとケナゲにがんばっているのだ。

という心温まるシーンのあと、優しい奥さんは覆面姿の侵入者に惨殺される。すぐにポリスがきて、ジェンセンは問答無用で逮捕された。有罪判決ののち、重犯罪者たちが収監される厳重刑務所に移送された。どこまでもツイてない気の毒男であるが、ジェンセンは高倉健のような寡黙タフガイアニキであり、黙って運命を受け入れている。刑務所にきたらば、冷血ビジネスウーマンといった風貌の女刑務所所長に呼びだされ「『デス・レース』に出場しないか」と勧誘された。『フランケンシュタイン』と異名をとる人気レーサーがさいきん死んじゃったので、その身代わりをヤレっていう話であった。彼女はヘネシーという。

愛する妻をムシケラみたいに殺された怒りの男は死を賭けた殺人レースに挑む。コースを争うのは刑務所を代表する重犯罪者たち。見かけも中身もおっかない荒くれ男たちを相手に彼はサバイブできるんでしょうか。ドドドドズガーンな緊迫連続カーアクションの果てに爽快ラストまで一直線。これはおもしろい!トレイラーをどぞ↓

パート2が出たよ

その後、パート2が出ました。こちらは本作のprequelです。謎の伝説レーサー、フランケンシュタインが誕生するお話↓

トレイラー動画

Death Race Trailer

感想

1975年のロジャー・コーマン制作『Death Race 2000』のリメイク。コーマン先生もプロデューサーとしてクレジットされてます。さて、感想ですが『マッドマックス』に出てくる極悪非道なみなさんになんでも望む武器とクルマを与えて「ヨーイ、ドン」って競争させたらこうなるんじゃないか。冒頭ツカミのレースシーンは並のアクション映画の結末クライマックスを上回るくらいの迫力であり、まだまだこんなもんじゃないヨと次から次へと多段攻撃が出てくる。おもしれー。

重火器を積んだヘビーインダストリアルなムードのレーシングカーで殺し合いをやるっていうだけでわくわくするけれども、さらに刺激を倍加するためのシカケがあって、たとえば周回コースのあちこちに用意された『アイテムマンホール』があるんですね。それの上を通過すると武器が使えるようになったり、防御力がUPしたりするっていうヴィデオゲームみたいな要素もある。重装甲を持ち、武器を満載した巨大トレイラー(パッと見『ゴースト・オブ・マーズ』に出てきた装甲列車みたいなかんじ)が出てきてレースを妨害するというシカケもあった。この巨大お邪魔ムシをドッカーンとやっつけるシーンは快感。冷血わるもん女のヘネシー嬢がキーッと悔しがるのもきもちいい。

視聴率がすべてのプロレス興行みたいなもんだから、フェアな精神なんてまったくない。レースの主催者であるヘネシーはショーをおもしろくするためにいろんなズルをやる。ジェンセンがそれのまたウラをかく。単純にアクションがおもしろいだけでなく、ジェンセンの復讐話も同時に進行する。それはレースの内容と関連していて、最後のオチにつながっていくんだけど、復讐話とレース話が絡み合うわけだけど、その流れがじつに滑らかでムダがない。わかりやすくておもしろいプロット。さすがポール・W・S・アンダーソン。あーおもしろかった!

SPOILER ALERT!!!
以下ネタバレです。

女刑務所長に呼び出されていってみたらば『デス・レース』に勧誘された。前述したようにこれは刑務所経営をする側にとっては貴重なドル箱番組なのだが、さいきんその人気レーサーが死んじゃったそうである。『フランケンシュタイン』と名乗るそのレーサーは最多勝利数を誇る人気者だったが、苛烈な闘いの果てにドッカーンと爆死した。ヒーローがいないと番組の人気が落ちてしまう。ラッキーなことに『フランケンシュタイン』はホッケーのマスク(ジェイソンみたいなヤツ)をいつも被っていて、素顔をさらしていなかった。『フランケンシュタイン』が死んだことはまだ誰にも知られていないので、マスクをかぶって死んだレーサーになりすませっていうプロレス興行の楽屋話みたいである。

『デス・レース』のルールは「5回勝てば無罪放免」である。『フランケンシュタイン』はすでに4回勝利していたので、ジェンセンがソレになりすまして残り1回だけ勝てば無罪にしてやるっていうおいしいスカウト話。ジェンセンは「なにやら怪しいゾ」と警戒しつつ、その申し出を受けた。ピットで働くエンジニアのみなさんを紹介され、戦闘仕様に改造されたレースカーを見た。

脇役のみなさんをざっと紹介する。チームのリーダーはコーチっていう名前の渋いオッサン。メカニックはデブの気弱善良男。『フランケンシュタイン』のライバルはマシンガン・ジョーっていう名前からして怒り狂った暴力黒人。助手席に乗るナヴィゲイターはケイスっていう名前の美人ギャルだが、彼女はほかの刑務所に収監されている女囚である。なにしろこれは娯楽番組だから、おイロケもなくっちゃっていうことで、ナヴィゲイターは女囚がやると決まってるのだ。

レースは3ステージ制。3日間連続で行われる。毎日だれかが死んで脱落する。3日目のファイナルデーになったら『フランケンシュタイン』ことジェンセンと、マシンガン・ジョーのふたりだけになった。ジョーは敵愾心ムキダシで襲いかかってくるサイコパスヤローである。ジェンセンはレースでサバイブしつつ、内密に独自調査を敢行。妻が殺されて自分がレースをやらされているのは刑務所所長ヘネシーの陰謀なのだと確信するに至った。このにっくき冷血オンナをギャフンといわせるためにジェンセンは復讐作戦を考えた。彼は日頃仲が悪いマシンガン・ジョーと結託したのである。

ふたりは殺人バトルをやると見せかけつつ、ミサイル攻撃をワザとそらして極厚フェンスを突破。そのままランナウェイという脱獄作戦である。囚人が逃げちゃったときのためにレースカーには爆弾がしかけられていたけれども、これを事前に外しておいた。ハメられたヘネシーはキーッと悔しがる!

武装ヘリが出動。脱獄者たちを追う。ジェンセンはヘリの攻撃から逃げ回りつつ、こっそりクルマから逃げた。運転席にはナヴィゲイターのケイスが入れ替わった。武装ヘリに囲まれ、両手を挙げて出てきたのはマスクを被るケイスなのだった。彼女はレース前にヘネシーに協力することと引き換えに「レースが終わったら釈放してヨシ」っていう書類にサインをもらっていたから、いったん逮捕されたのちに無罪放免された。冷血オンナの元にクリスマスプレゼントが届いた。それは『フランケンシュタイン』のレースカーに仕込んであった爆弾。ひぃい。ドッカーン。わるもんは完全敗北でスッキリ。

ラスト。無事に脱獄を果たし、マイアミに逃げたみなさん、ジェンセン、マシンガンジョー、ケイスの3名に加え、ジェンセンのかわいい赤ちゃんもいっしょにおきらくハッピーエンド。

おしまい〜。

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2008年11月29日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Death Race
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