2011/8/12 (Fri) at 9:31 pm

映画|ポール|Paul - メイキング

宇宙人ポール (2011)』のメイキングについてイロイロ。セス・ローゲンが演じた舞台ウラ話など。

私が持ってるのは、UK版の2枚組DVDです。そのパケ↓

映画 ポール Paul DVD 画像

その内容↓

DISC 1:

  • Theatrical Version (01:39:25)
  • Unrated Version (01:44:49)

Theatrical VersionとUnrated Versionの違いはこちらに詳しく説明があります↓

EXTRA↓

  • Bloopers (10:52)
  • The Evolution Of Paul (15:07)
  • Simon's Silly Face (01:21)
  • Who The Hell Is Adam Shadowchild? (02:11)
  • Galleries
    • Photos
    • Storyboards
    • Posters
  • Credits

DISC 2:

  • Between The Lightning Strikes - Making Of 'Paul' (40:07)

以上。映画本編/オマケも英語字幕つき。こちらで買えます↓

そしてUS版も2011年8月9日に出ました↓

US版は持ってないので、オマケの内容はわからないです。このエントリでは、UK版のオマケの中からおもしろい話をつまんで紹介します。

よくできたコメディ映画のメイキングってのはたいていおもしろいですが、これも楽しい。

『Bloopers』はギャグリールみたいなヤツ。グレアムとクライヴはゲイなのかとあちこちで疑われるというギャグがありましたが、こちらには、サイモン・ペッグニック・フロストがキスするシーンが入っている。ビル・ヘイダージョー・ロー・トゥルーグリオの漫才とかイロイロ。

『The Evolution Of Paul』てのは、ポールのVFXに関するメイキング。たくさんのひとたちが加わって、おそろしく手間をかけてつくったんですよという話。VFXを手がけたのはDouble Negative。彼らのウェブサイト↓

『Between The Lightning Strikes』は全般的なメイキング。キャスト/クルーのみなさんが出てくる。お笑いたくさん。サイモン・ペッグニック・フロストが、脚本を書く前にリサーチ目的でアメリカ旅行をした話/撮影風景/インタビューなど。

脚本/主演のコンビサイモン・ペグ (Simon Pegg) とニック・フロスト (Nick Frost)

6年前のスケッチ〜アメリカ下見旅行

宇宙人ポール (2011)』の発端は6年前に遡る。『ショーン・オブ・ザ・デッド (2004)』の撮影の合間に、サイモン・ペッグが冗談まじりでアイデアを思いついて、ラフスケッチを描いた↓

映画 ポール (Paul) スケッチ

プロデューサーのニラ・パークさんはこれをだいじにとっておいた。それからずいぶん経ってから実現したんだが、彼女は、まずは、彼らのヤルキをうながすために(galvanizeといってた)、アメリカに行かせて、下見旅行をさせた。ふたりにアメリカという国を体験させるためですね。

彼らはグレアムとクライヴみたいな調子で、RVに乗って旅をした。途中で雪が降ってきて寒い寒いといいつつ、毎日いろんな体験をした。一日の終わりにはニラ・パークにメールを送り「今日はこーであーでした」みたいな業務報告(?)をした。

んで、旅行のあとに、アイデアがわーっとわいて、ドラフトを書いた。彼らがしゃべってるのを聞いていると、ニラ・パークさんはふたりのお母さんみたいです。こんなひと↓

ニラ・パーク / Nira Park

このリサーチ旅行が脚本を書くための大きな原動力になったようです↓

Simon Pegg: Every day there was a new experience that fed into the script. A lot of the things, the bird hitting the window happened to us. Just being able to write about the landscape was important. So, in actual fact, it ended up being... I look back now, and how naive we were to think we could write it without doing it. You learn what it's like to be in the interior of America. Also the beauty of it. It's extraordinarily beautiful and hospitable, inhospitable at the same time. It's a remarkable country and that, I think, became a character in the movie itself. You know, America itself.

ポールの声を演じたセス・ローゲン

ポールの声をやってるセス・ローゲンは、映像が完成したあとスタジオにきて、原稿を渡され、ベラベラしゃべって、録音しておしまい。というだけかと思っていたら、実際の制作はそんな簡単なものではなかったという点がメイキングを見てよくわかりました。

セス・ローゲンもまた、他の俳優と同じく、ポールというキャラを演じているのです。彼はモーションキャプチャの服を着て、動き回って、演技をした↓

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像1

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像2

んで、こんな粗い合成映像をつくって↓

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像3

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像4

これはアニメをつくるためのラフ案というかカンプのようなもんで、Double Negativeの技術者はコレを元に、セスさんの顔の表情なんかも参考にして、ポールをつくりあげていった。んで、最後にこうなった↓

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像5

セス・ローゲン (Seth Rogen) 画像6

皮膚の形状や関節の動きが解剖学的に自然に見えなければならないとか、ライティングとかですね、ディティルを段階的に仕上げていく。アニメーターだのコンポジターだの、200人以上のひとたちが関わっているそうな。

監督さんは俳優を相手にするのと同じきもちで指示を出すんだが、アニメキャラなので、数秒のシーンを見るまでに1週間〜1ヶ月もかかる。ボツになることもある。とにかく膨大かつ複雑な作業の連続であった。

メイキングの中で、この『セス・ローゲン・ムキダシ・バージョン』の舞台ウラ映像がしょっちゅう出てくるんだが、けっこうおもしろいんですよ。コレで映画を通してみたい気がする。

近年の映画はポストプロダクション(撮影後にコンピュータで映像をいぢくる過程)の比重が高まりつつあるとよく聞きますが、この映画はまさにそのパターン。

グレッグ・モットーラ監督のお言葉↓

Greg Mottola: Trying to direct an animated character feels kind of like giving an actor direction via Twitter from the other side of the globe.

Greg Mottola: It's sort of an insane level of detail that Double Negative, the CG animators, get into. THat kind of blows my mind. Because they do this on their own initiative, a lot of it. You talk about it and talk about it. There's stuff you would just never think to do.

we literally started taking video tape of Seth's head from the stuff we'd done in pre-production and cutting it into the movie, just like the floating genie from Pee-wee-s Playhouse. And it was strange because not only was he not there, and not only was Seth Rogen dressed in a motion-capture suit, which was like a light messenger. It didn't really match the performance. He was acting to a slightly different energy in those scenes.

We went back to Seth and we started ADR with him again, so he could act versus what we'd cut. And it was sort of a back-and-forth, we'd take some of what he's done and we re-cut the scene and we'd go back, re-cut the scene. Meanwhile, the animators would use that as reference for animation.

Double Negativeのひとは「ピスタチオはたいへんだったヨ!」なんていってましたが、見てるほうからすると、へー、ってかんじですよね。サラッと見過ごしているから。『月に囚われた男 (2009)』のダンカン・ジョーンズ監督が「ふたりのサムが卓球やるシーンがたいへんだった!」とメイキングで述懐していたのを思い出しました。

ピスタチオや卓球ってそんなにたいへんなのか!って意外に思うってことは、それだけ自然につくられている証であるわけで、これすなわち、技術者にとって最高の賛辞なのかもしれない。

その昔、私は『ロジャー・ラビット (1988)』を観たとき、スゲーもんですなあ、と強烈に印象的だったのをいまでもよく覚えていますが、あれからずいぶん技術は進歩していますなあ(ぢぢくさくてすません)。いまなんかこれだけのものを観ても観客はそう驚かないですもんね。

ところで、ポールのキャラは脚本段階では「クソ頑固のおこりんぼキャラ (grumpy, cantankerous)」だったそうです。セス・ローゲンが演じることで、かなりマイルドでファニーな雰囲気に変わったそうな。

セス・ローゲンのお言葉↓

Seth Rogen: Like, anytime you see the alien just do something ridiculous and stupid, they're smoking weed, all that stuff to me is really funny just 'cause I've never seen such an amazingly accomplished piece of technology used to do something so stupid and infantile and to me that was the whole appeal.

メイキングの中から、ポールのキャラづくりについて紹介しましたが、このような技術的な話だけでなく、インタビューやらなにやら、おもしろいのがたくさん入っているから、みんなも見るといいですよ。

この映画のレビューはこちら↓

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公開日: 2011年2月14日 (イギリス)
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2011年9月18日 (日本) (Old Town Taito International Comedy Film Festival)
2011年12月17日 (日本) (Tokyo)
2011年12月23日 (日本)
imdb.com: imdb.com :: Paul
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
謝辞

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