さすらいの股旅ニャンコ漫画『猫DJゴッシー』続々海外進出!こんどはアメリカ!
『ニートメタル』でおなじみのハル吉さんのオリジナル漫画がアメリカの本に掲載されました。すごいすごい!
『猫DJゴッシー 短編集』は、垂れ耳の猫DJ、ゴッシーちゃんがレコードとターンテーブルをかついで、諸国漫遊、さすらいのひとり旅をするハードボイルド漫画である。函館の北風がぴゅーぴゅー。哀切感漂う細密絵の世界を、ニャンコ一匹股旅(マタタビ)道中。おひけえなすって。
猫がね、DJをやるんですよ。このニャンコはけっこう顔が売れているみたいで、あちこちから「たのむわ」って依頼がくる。すると商売道具を乗せたリアカー引いて出かけていくの。
あるときには、売れない演歌歌手の最期を看取り、またあるときには、ロシアンマフィアに追われ、またあるときには、お殿様に呼ばれて華麗なDJワザを披露するスーパーニャンコ!
どこにいっても、飄々とした顔でレコードを鳴らす。そしてギャラをもらう。プロですから。このニヒルな猫感は、猫界の市川雷蔵でありますね。
という漫画は、ハル吉さんという人が自費出版している小さな創作物である。彼は海外漫画の翻訳をやったりしつつ、自分で自分の漫画をこしらえた。インクジェットプリンタ出力による小冊子スタイルの本を開くと、小さく描き込まれた絵が、うわーっ、と出てくる。誠に以て手作り感あふれる、ほほえましい小品。
猫がDJをやる、と聞いてもぴんとこないひとが多いだろう。同人誌にありがちな、自己満足ノリの、単に猫の絵がズラズラと出てくるだけなんじゃねーの、と勘ぐる人がいるかもしれない。でもさ、ちゃんとお話があって、小さなドラマを描いているんですよ。ゴッシーは猫なので人間の言葉をしゃべれないが、猫語翻訳機を持ってて、依頼主と会話ができる。だからきちんと物語が成立するのです。
ゴッシー、全米デビューの巻
んで、この度、なんと、これが、アメリカのコミックス専門のアンソロジー本に収録されましたよという話。これこれ↓
Treasury of Mini Comics Vol. 2
詳しくはハル吉さんのブログを読んでくださいと思うが↓
なんだかすごい本である。大きさはポストカードと同じくらいで小さめだが、なにしろ分厚い。この重さ。立派な装丁。手に持ったかんじは聖書みたい。この中にぎっしり漫画が埋まっている。
マイケル・ダウワーズさん(Michael Dowers)というひとが編集にあたり、世界中の同人コミックの中から優秀作品を一挙に集めたそうな。848ページ。収録漫画家は50名以上。
版が小さいので、漫画を楽しむのは少々不便に思えるが、こんな本は資料的な価値が高いのだろう。マイケルさんはインディーズコミック界の荒俣宏みたいなひとなんだろうか。なんでもかんでもカタログ化しないと気が済まない人ってたまにいる。こんな人が文化の保存に貢献しているのだろう。
以下はアマゾンのリンクだが↓
アマゾンのページを見ると、ちゃんとHarukichiさんの名前もある。こんな立派な本に収録されるなんてすごいことだ。おめでとうございます。
こういう漫画をオルタナ漫画と呼ぶそうだが、私はこの方面に明るくないので、何を見ても初めてづくしだが、この本をぱらぱらとめくっていると、色んな作風の漫画が次々に出てくるから楽しいです。
いまならハル吉さんのブログから注文すると、『猫DJゴッシー 短編集』もついてて、2,990円で買える。送料込み。私も買った↓
後からちょと追記。
日本のアマゾンにもあった。でもハル吉さんのブログから買う方がずっと安いよ。
追記以上。
ヨーロッパでは既に紹介されている
こんなゴッシーちゃんであるが、この作品が海外で紹介されるのは初めてではない。過去に、既に、ロシア/ポーランド/スウェーデン/ラトビア/クロアチアと、色んな国で色んな雑誌に掲載されているのである↓
私は上の中のCEST BON ANTHOLOGYてヤツを去年買った。へんな絵がたくさん載ってて楽しいが、ここではゴッシーちゃんは巻頭を飾っている。他のアーティストを差し置いて、彼だけ巻頭カラーなんですよ。
CEST BON ANTHOLOGY
スウェーデンのインディーズコミック誌
ハル吉さんとのおつきあいは『ニートメタル』以来である。あれから他の翻訳作品も読ませてもらった。コナはおもしろかった。過去の私の感想↓
彼のブログを読むと、その話題は、メタル/現代音楽/海外コミックス/エロ漫画と多岐に渡り、どれもこれも私の知らないことばかりで新鮮である。ガイマン賞受賞あたりからだろうか。海外で自作漫画が紹介されるネタが多くなった。なんだか知らないが、このひとは海外の漫画業界において、地下マフィアのような独自ネットワークを持っているのだろう。
去年、彼の訳した『カウガール・ナニの冒険』というへんな漫画を買って、これもおもしろいんだが、感想記事をまだ書いていないんだが、これもいつかやります。
ところで、あれだ、最後に余談だが、ぜんぜん関係ない話だが、漫画といえばですね、『エイリアン・クロール (2014)』の、倉林さんのあれだが、あのコミックス企画は発表が伸び伸びになってしまっているが、あの企画は決して頓挫したのではないんですよ。色々と事情があって伸びているが、一日も早くお披露目できることを祈っている。倉林さんは超人的な粘り強さで作品をつくり続けている。
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