マニアックのボカシについて
いろいろと。
昨日のTW↓
マニアック、観た。映画は最高にいいんだが、肝心の頭皮ハギハギウギャーのシーンにぼかしが入っていましたよ。わざわざ足を運んでアホくさいものを観てしまった。あー。
— tinker (@horrorshox) June 1, 2013
私は映画館で問題のシーンを観てこう思った↓
「カルフン&アジャでこれはないだろ!なにかへんだ!」
しかし、単なる印象だけで「ボカシだ!」と主張するのは自殺行為である。twitterてのはバカ発見機だそうなので、私自身が『発見される』可能性もある。んで、家に帰って、いろいろと調べて、やっぱりそうだなと思ったから、上のTWをポストしたのであります。
その後、1日経ったが、公式さんからはなにもいってこない。ゆえにやはり確定であろう。もし間違いなら、封切り日にそんないちゃもんをつけられて黙っているわけがないよね。
日本の配給会社が『マニアック』という映画に入れたボカシは、私には「作品を台無しにしている」と感じられるが、中には「あれくらい気にすんな!」というひとも多いだろう。それは結構だと思う。映画を楽しめたんだから、うらやましくもある。イヤミでなく。ほんとに。
でもさ、そこを議論するのはやめにして、「感想はひとそれぞれでいいじゃないの」ということにして、私は別のことがいいたいのである。だから、異論があるひともないひともちょっと読んでくれるとうれしい。
ここから本題。
イギリスにBBFC(British Board of Film Classification)という審査機関がある。『グロテスク (2009)』やら『ムカデ人間2 (2011)』やらで派手にその名前が出たので覚えている方が多いと思うが、この団体はいわばイギリスの映倫です。
BBFCの場合、カットされた理由/改変内容/経緯がウェブサイトで細かく公表される。それらは常に映画の公開前に公表される。「〇〇という映画の、〇〇の場面の描写は、〇〇の理由でけしからんからだめである。制作者はこれを受け、〇〇を削除し、〇〇分〇〇秒短くなり、全体で〇〇分〇〇秒になった」みたいなかんじで、細かく書いてあるときもあるし、単純にカットしたというケースでなく、削除場面の代替に別シーンを加えたりすることもあるんだが、その経緯も書いてある。
『ムカデ人間2 (2011)』の場合はこんなかんじ↓
- BBFC - The Human Centipede II (Full Sequence) (2011)
- BBFC - The Human Centipede II (Full Sequence) (2011)
- BBFC - The Human Centipede II (Full Sequence) (2011)
『グロテスク (2009)』の場合はもっと単純で「全面的にダメ。ダメはもんはダメ」という稀なケースだったが、理由が説明されている。この理由に納得できるかはさておき、いちおう書いてある↓
私はUK版のDVDを買うときにはいつもBBFCを参照し、カットされていないかどうか確かめてから買う。BBFCてのは鼻持ちならない野郎であり、ホラーファンの天敵だが、情報公開の徹底ぶりは大したものである。そこだけはえらい。公開前の映画のネタバレをホイホイ書いて「ゆえにカットせよ」と結論づけ、平然としていることさえある。なんてやつだ。
こんなBBFCさんと長くつきあっていると、彼らは彼らなりのやり方で、映画制作者と観客に対し、礼節を重んじているのかなって気もしてくる。夕暮れの原っぱで殴りあえば、親友になれるかもしれない。みたいな。
しかるに、日本の映倫の場合、コレしか載ってないのである↓
「R15+ですよ」というだけで、ボカシを入れた事実/理由/経緯は一切伏せられている。つまり、なにも知らずに劇場でこの映画を観たら「これがマニアックていう映画なんだな」と信じ込まされてしまう。これはひどい!ひどい!ひどい!
ボカシいれてR15に落とすんならR18にして、こんなに残虐だから18未満は見に行んな!って宣伝しろ!!
— チン様 (@salomovie) June 1, 2013
という意見もあり、じつにもっともだと思うが、そんなことよりいけすかないのは「ボカシを入れた事実を公表していない」という点ではないか。私は映倫だの配給会社だのネットでたくさん探したが、そのような公開資料は見つけられなかった。もし、どこかにあるんなら教えてください。
結論。
お上の事情で修正をするならしたらいいよ。でもBBFCがやってるみたいに事前に教えてほしい。ボカシが入っていると知っていたら、私は絶対観にいかなかったよ。
ある映画はそのままであり、ある映画はカットされ、ある映画にはボカシが入る。でも、観客はどれがどれなんだかわからない。これがいまの状況ではないか。私らは、常に、「違うものを見せられているのかも」という不安を持ちながら観てるってことではないか。そんなの嫌じゃん?
私は『マニアック』をものすごく楽しみにしていた。レビュー書く気まんまんで、1980年製作のオリジナルのUS版Blu-Rayも買い、比較なども書こうと思っていた。でも書く気がなくなった。
ボカシできぶんが悪くなったというだけで、映画はすばらしいですよ。US版Blu-Rayが出たらぜったい買う。
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参考。
BBFCのサイトは時間が経つとurlが変わったりページが消えたりすることが多い。そこで役に立つのがmovie-censorship.comというサイトです。こちらはUKだけなく他の国の事情も載っているし、同じ国でも、劇場/VOD/DVD/Blu-Rayというメディア別にまとめられている。しかも画像つき。例えば『ムカデ人間2 (2011)』の場合はこんな風にまとめられている↓
追記。2013年6月6日。
その後、2013年6月5日、次のような動きがありました↓
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