2015/1/30 (Fri) at 5:57 pm

映画|アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち|Eliza Graves

19世紀イギリスの精神病院を舞台にしたスリラー映画。原作はエドガー・アラン・ポーの短編小説『タール博士とフェザー教授の療法』。ケイト・ベッキンセイルジム・スタージェスベン・キングズレーマイケル・ケイン。監督ブラッド・アンダーソン。2014年。

アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち / Eliza Graves DVDDVD画像

1899年。ロンドン、オックスフォード大学。

精神医学のえらい先生(ブレンダン・グリーソン)が出てきて、学生たちの前で、狂った女(ケイト・ベッキンセイル)を連れてこさせて、あーだこーだとヒデーことをやる。学生さんたちは目をぱちくり。

一見すると、先生のやっていることは、かわいそうな女をいぢめているだけに見えるが、当時としては、これが先端的な精神医学治療だったそうで。

これにショックを受けた学生の中に、エドワード・ニューゲイト(ジム・スタージェス)なる若い医者の卵がいた。彼は大学の方針に疑問を覚え、ロンドンを離れた。んで、遠く旅をし、ストーンハースト・アサイラムなる精神病院にやってきた。

「この病院では、他では見られない新しい試みの治療をやってるそうですね。見学させてください」と訴えたところ、快く受け入れてもらえた。

院長先生(ベン・キングズレー)に案内してもらったら、ずいぶん調子がちがう。この病院では、患者たちは相当の自由を与えられ、病院内を歩き回り、なんだか楽しそう。医者と患者がいっしょにめしを食ったりする。

彼は病院内で、冒頭で出てきた狂女と再び出会う。彼女はイライザさんというんだが、昔の狂ったありさまとはおおちがい。しっとりとした美人妻の物腰で、ピアノを上手に弾いたりする。もう治ったんですか。

風変わりな治療風景を見学させてもらって、「ほえー。こういうやり方もあるんですね」と感心しきりのニューゲイトさんだったが、なんだか妙な空気が漂っているんですよ。なにか秘密がありそう。

やがてニューゲイトは病院の秘密を知る。ギョギョギョ。えーっ、そんなー。もう逃げるしかないですね。頼りになりそうなのは、美人妻のイライザさんだけ。彼は大急ぎで彼女にわけを話して、「いっしょに逃げましょう!はやくはやく!」といったら「むりなんですわ。わたしもくるっているんですわ」なんていうではないか。いったいどんなわけが!?

ニューゲイトにいぢわるをする乱暴男にデヴィッド・シューリス、かわいいかわいい看護婦さんにソフィ・ケネディ・クラーク、そして、あの方、マイケル・ケインが重要な役柄を演じます。彼の役どころはナイショですが、さすがの老齢スターぶり。

twistに次ぐtwistがおもしろいメロドラマ仕立てのスリラーは、エドガー・アラン・ポーの短編小説『タール博士とフェザー教授の療法』がベースになっています。

トレイラー動画

Stonehearst Asylum (2014) trailer

感想

ケイト・ベッキンセイルはきれいだし、みんな演技うまいし、ポーの短編をベースに押し拡げたadaptationはうまくこしらえてあるから、そこそこおもしろいとは思うが、なにせメロメロのメロドラマで終わるのが、当ブログ的に気に食わないですね。なんだあれは。

ケイト・ベッキンセイルが演じたイライザさんを評して「あの女はまったく狂人に見えないけれど、亭主の耳を食いちぎって、めんたまをくりぬいたんですよ。おそろしやー」なんていう台詞があるんで、期待するじゃないですか。そうかそうか。最後の最後はドッカーン!ケイトさんは強烈にガオー!てな具合になるんだろうなと思ってさ、ずいぶん期待して見てたら、そんなのぜんぜんなくって、その代わりにメロメロ会話になっていくんですよ。あほくせえ。

ポテンシャルはあった。19世紀という時代に『きちがい』ってのがどのように定義されたかを知るのは興味深い主題である。「おれもおまえもみんなきちがいになろう!どいつもこいつも狂って、幸せになろう!カッポレカッポレ!」みたいなひとがいるんだよね。そこはたいへん結構なので、その路線でズダダダーといけばいいのに、つまらんメロドラマに流れてしまった。

エドガー・アラン・ポーの『タール博士とフェザー教授の療法』は有名なお話なので、あのオチをご存知の方も多いだろうが、未読の方もいるだろうから、ここには書きませんけれど、そう、あれですよ、あれ。でも、この映画ではあのオチは中盤あたりでわかるようになってて、映画ではそのまた先に続くお話がある。

この病院の患者さんたちはお金持ちやら伯爵家の子弟ばかり。いわば「家の面汚し」的な連中。家業が鉄道会社なのに鉄道にまったく関心を持たない男っていうのが患者の中にいた。彼はファミリーから変人扱いをされ、疎外され、精神病院に放り込まれたのだろうと想像され、この時代には、精神病院てのは、そんな風にゴミ捨て場的なもんだったのかもしれないと思った。このあたりはうまくこしらえてある。そして最後には、小説にはなかったtwistもある。

だから、小説を知ってるからといって、映画がつまらないということはないが、問題はあのメロメロに耐えられるかどうかですね。私はだめですね。メロメロはじんましんが出る。アナフィラキシーショックで死ぬところだった。

エドガー・アラン・ポータール博士とフェザー教授の療法

本作『アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち (2014)』の原作『タール博士とフェザー教授の療法』は以下の本に入っている。他にもおもしろいお話が入っているから未読の方は是非。この本の巻末には江戸川乱歩による、誠に以て、気合い入りまくりのポー評がある。なにしろ乱歩先生はポーのみならず当時のいろんな探偵小説を読みあさって、体系立てて、評論して、日本にも探偵小説をもっと広めよう、という運動をやっていたくらいなので、全身全霊の『探偵小説愛』を放っています。乱歩、ばんざい!

キチガイ病院ものなら『The House of Insane Women (Exorcism's Daughter) (1971)』を見よう

すばらしいポスター!
The House of Insane Women

「精神病院にまじめな若い医者の卵がやってきて、みんなを救おうとジタバタして、患者さんに恋をするアッハーン」という、『アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち (2014)』によく似た筋書きをやりつつ、すべてが大違いの、まさに『キチガイを見よ』路線のホラー映画がこちらであります↓

1971年のスペインのエクスプロイテーション映画はたいへん楽しい。ケタケタ笑いのオバちゃんがおもしろいよ。私と同様、『アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち (2014)』のメロメロ路線に落胆した方は、これを見てきぶんをなおしてください。

US版DVDは発売中

ブラッド・アンダーソン監督
ブラッド・アンダーソン / Brad Anderson 画像

ジム・スタージェス
ジム・スタージェス / Jim Sturgess 画像

ケイト・ベッキンセイル
ケイト・ベッキンセイル / Kate Beckinsale 画像

マイケル・ケイン
マイケル・ケイン / Michael Caine 画像

DVDのオマケはこれだけ↓

  • Making Of Featurette
  • Previews

この映画のDVDは英語字幕つき↓

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The Asylum
Stonehearst Asylum
邦題(カタカナ): 『アサイラム 監禁病棟と顔のない患者たち』
制作年: 2014年
制作国: アメリカ
公開日: 2014年10月23日 (イタリア) (Rome Film Festival)
2014年10月23日 (ロシア)
2014年10月24日 (アメリカ)
2015年1月9日 (スペイン)
2015年1月30日 (ドイツ) (Blu-ray & DVD premiere)
2015年4月24日 (イギリス)
2015年8月7日 (フランス)
2016年7月21日 (日本) (Qualite Fantastic Cinema Collection)
imdb.com: imdb.com :: Eliza Graves
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
セット制作
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup

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