2014/3/19 (Wed) at 9:15 am

映画|Penumbra

皆既日食の日に起きた不思議な出来事。自信満々の女弁護士がヒーヒーいわされるアルゼンチンのホラー映画。クリスティーナ・ブロンドBerta MuñizCamila Bordonaba。監督アドリアン・ガルシア・ボグリアーノラミロ・ガルシア・ボグリアーノ。2011年。

Penumbra DVDDVD画像

ここはブエノスアイレス。

今日は皆既日食が起きるらしいよ。

日食なんて興味のキョの字もありませんわ。といった雰囲気のマルハさん(クリスティーナ・ブロンド)は、バルセロナからやってきたバリバリの女弁護士。ラテン版の勝間和代といった雰囲気の女である。

彼女は町中の古いアパートの前で人待ち中。彼女の家族が所有する部屋がこのビルにあり、本日は不動産屋が部屋を見に来るというんだが、時間を過ぎても現れないからイライラ。

妹に電話をしてブーブー文句をいってテンパリかけたところで、「もしや」と思い、建物に入ってみたらば、中に男(Berta Muñiz)がいるではないか。あらこんなところにいらっしゃったの。ぜんぜん気づきませんでしたわ。とかいって、ここらへんまではよかったんだが、この先いろんなことが起きて、彼女はキーッキーッキーッキーッの連続で、完全テンパリ女になってしまうのである。

不動産屋男に部屋を見せたら、さっそく乗り気で「この部屋を借りたい人がいる。すぐに本人を呼び、私のボスも呼び、この場で契約したい。借り主の人物は相場の4倍を払う。1年分を前払いします。だからもう少しここにいてくれませんか」なんていう。これまたラッキーではないか。

バルセロナに本拠を置く彼女にとっては、ブエノスアイレスの汚いアパートの部屋なんて大して興味はない。こんな用事はサッサと終らせたいと思っていたところが、どこの誰だか知らないけれども、酔狂な金持ちが相場の4倍の金額を払うという。なんとまあ。

マルハさんは午後には大事なビジネスミーティングの予定があったが、急きょ予定を変更し、このままアパートにいて、借り主が現れるのを待つことにした。

待つあいだ、チョロッと用足しに近所のスーパーにいったら、へんなことが起きた。店の前で汚いホームレスオヤジが寄ってきて「太陽を見たか?」とキチガイ顔で訊くのである。濃厚な浮浪者臭がむわっと鼻孔を襲った刹那、ひー、とおののいたが、なにしろ勝間和代であるから、どんなときにも心の準備はできている。いつも持ち歩いている最強スタンガンをとりだすや、ビリビリ電気ショックで撃退した。ホームレスはウギャーと悲鳴をあげてブッ倒れた。備えあれば憂いなし。

ざまあみろ。まいったか。

と、思ったら、回りに人だかりができていた。その中に警官もいて、「いったいなにがあったのですか」と質問された。「この汚い男がわたしを襲ったのです。けがらわしい!」と訴え、鼻の穴をぐわーとふくらませるや、そこから鼻クソまじりの蒸気をブォーと噴出させつつ、「おまえのようなゴミムシは社会のためにならない。この負け犬め。わたしの払う税金がおまえらを食わせているかと思うと、ああ、もう腹が立つ。わたしは我慢がならないのだ」とかいって、納税者として感想をやや感情的に述べたところ、意外なことが起きた。

人だかりの中から質素な婦人が進み出て「この方は悪人ではありません。ごはんの前にはいつもお祈りをしています」といったら、周囲の人々も「うんうん」とうなずき、警官は「ホームレスにも人権はあるんですよ」と相手を擁護するようなことをいうではないか。人々はドラキュラを見るような目つきでマルハさんを眺め、彼女の方が悪者になってしまった。

なんだか知らないが、ブエノスアイレスでは、ホームレスは徳川時代のお犬様のような扱いを受けているらしいと知った彼女はカルチャーショックを受け、店員の冷たい視線を浴びてそそくさと買い物を済まし、アパートに戻った。この国はいったいどうなっているんだ。下等民族め。

厄日。というのだろうか。

この先、災難ばかりが彼女にふりかかる。廊下でスッ転んで顔に怪我をする。電話が通話できなくなる。鍵をなくす。そんなことが次々に起きて、しまいには目が三角になってくる。じつにおもしろい。不吉な皆既日食の影響なんですかね。映画を観ている私らにはそんな風に思えるが、マルハさんは実利主義なので、そんな迷信じみたことに気を払わない。なんでもいいから早く契約を終わらせたい!

しかしながら、肝心の借り主はいつまで経っても現れないのである。じりじりと待つあいだ、不動産屋男の女上司(Camila Bordonaba)がきた。遅れてふたりの若い社員(ビクトリア・ビテンブルグDiego Cremonesi)もやってきた。アパートの賃貸契約をやるにしては大げさな人数だが、彼らは「今回の契約は我々にとってものすごく大事だから、満を持して臨みたいのです」とかいう。しかし、借り主が現れないのでは話にならない。彼らがサルヴァと呼ぶその人物は大変な大金持ちらしいが、いったいどんなヤツなんですかね。

その後、びっくりすることが起きて、マルハさんの人生は大転落をするのである。すごいもんが出てくるよ。最後はホームレスオヤジのニタニタ笑いで終了します。いったいなにが起きるんですかね。まぁ、映画を見てくださいよ。

トレイラー動画

Penumbra (2011) trailer

感想

おもしろいが、演出は地味である。ゴアゴアはほとんどない。最後の最後にドッカーンとくるが、そこにいくまで会話ばかりで、大したアクションもない。でもイケイケ女のキーキー演技を見物するのはじつに楽しい。このひと、演技がうまい。

さて、気になる結末だが、素っ頓狂でおそろしい出来事が起きるが、あれはまったく説明がつかない。それでもこの映画はおもしろい。マルハさんが真綿で首を絞められるように追い込まれていくところは『ローズマリーの赤ちゃん』風で見ごたえがある。彼女が初めて恐怖を覚える場面、「〇〇は××ではなかった!」と気づいた場面では、画面がゆらゆらと揺れた。映画を見ているこっちもめまいがするようだった。

マルハさんのような実利一辺倒の女にとっては、理屈で説明できない不可思議というのは、なおさらに恐ろしいだろうと想像され、そのきもちが観客の心にもシンクロをするのである。あの瞬間、現実というものがガラガラーと崩壊していく音が聞こえたようだった。

US版はオマケはなんにもナシでした。英語字幕つき↓

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原題: Penumbra
別題: Hispano
Secta satánica
制作年: 2011年
制作国: アルゼンチン
公開日: 2011年9月22日 (アメリカ) (Austin Fantastic Fest)
2011年10月27日 (フランス) (Fantastique Semaine du Cinéma)
2012年2月2日 (アルゼンチン)
2012年4月20日 (アメリカ) (Video On Demand)
2012年4月20日 (アメリカ) (limited)
imdb.com: imdb.com :: Penumbra
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
プロダクション・デザイン
特殊効果(Special Effects)
謝辞

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