2014/2/7 (Fri) at 7:42 pm

映画|アンチソーシャル|Antisocial

facebookモドキのソーシャルサイトを介して感染する発狂ウィルス恐怖を描いたホラー映画。ミッシェル・マイレットコディ・レイ・トンプソンアダム・クリスティ。監督コディ・キャラハン。2013年。

アンチソーシャル / Antisocial DVDDVD画像

ニューイヤーズ・イヴ。

ダニエル・パナベイカーにちょっと似のカワイコちゃん、サムさん(ミッシェル・マイレット)は、Red Roomなるソーシャルサイトに夢中。

来る日も来る日もビデオやら写真やらを投稿し、人々との交流を楽しんでいた彼女であるが、映画が始まって早々、ビデオチャット経由でカレシに捨てられる。えー。

大晦日のホリデーだというのにヒデーこった。フラレ直後に、男のプロフィールを見たらば、さっそく「彼女募集中!」に切り変わっているではないか。相手のスッキリ顔が眼に浮かぶよう。ひー。

サムさんは深く落胆し、アプリを消去した。

つらいですわ、悲しいですわ、とぼやいていたらば、友達(コディ・レイ・トンプソン)にパーティに誘われた。そっちに顔を出したら、何人か知らないメンツがいて、夜が始まった。

この映画に出てくるヤツラ(アダム・クリスティアナ・アリックRomaine Waite)は、どいつもこいつもRed Roomが大好き。なにかっちゅうと、写メだの、ビデオだの、チャラい連中ばかりである。このサイトは最近急激に人気が出、世界中からアクセスが増えているそうだが、サイトの雰囲気といい、つくりといい、facebookまんまです。

この世にプライバシーなんてものはなく、すべての出来事はハエの羽の軽さで拡散する。サム破局のニュースは、彼女自身が知る前に既に人々の耳に知れ渡っていた。なんという軽さ↓

“I hear you're back on the market.”

「カレシ募集中ステータスに戻ったそうじゃん?」

サムさんはこの状況に暗澹としつつ、それでもひとりでいるよりはましだわね、と自分に言い聞かせ、大晦日のパーティを楽しもうとするんだが、そうこうするうち、不可解な事件が起きる。学生が警官に射殺されたというニュースが報じられ、ネットいじめ(cyberbullying)が背景にあるらしい、とかいうんだが、数時間後には、世界中にパニックが拡散。

Red Roomにアクセスした人たちが一斉にガオーと狂いだした。正体不明のウィルスはみるみる拡がり、感染者はおそろしい幻視を見たと訴え、ゾンビのようになってひとを襲う。ニュースは大騒ぎで、「家の中に誰も入れないで!」と警告を発し、家の外にはキチガイどもがあふれだし、911に助けを求めてもつながらない(そのくせネットにはバシッとつながるのが不思議だが、ホラー映画てのはそんなもんです)。

ネットワークを介して感染するウィルス?

Jed: The party kind of sucked anyway.

トレイラー動画

Antisocial (2013) trailer

感想

よかったところ↓

  • 主演のカワイコちゃんはカワイコちゃん
  • グログロギョエーのVFXはけっこうおもしろい

悪かったところ↓

  • どいつもこいつもチャラチャラ
  • ソーシャルサイトで拡散するウィルスていう主題を、深く掘り下げて描くようなホラー映画を見たかった
  • なんて期待したのが間違いだった

後半ピンチになってからの、主人公カワイコちゃんのこの台詞には脱力した↓

Sam: Maybe I didn't tell you, but... You mean everything to me. It's like I pushed everyone away. Maybe I pushed you away too, I don't know. Maybe I... I've been really far... And I'm really sorry. But right now I'm asking you to stay. And it's because I need you. I really need you.

この台詞は、仲間がバタバタ死んで、友達男とふたりだけになってしまった状況において吐かれたものである。相手の男は彼女に片想い。この瀬戸際において、この女は「ひとりきりになるのはつらい!」という理由から、おめめうるうるで、「You mean everything to me.」なんていけしゃーしゃーというのである。あー。つまらん女だ。

どいつもこいつもこんな調子だからおもしろくない。もしかして、監督さんはわざと薄っぺらな人間関係を描いて「facebookなんてこんなもんですよ」といいたかったのだろうか。私にはそこまで考えてやってると思えなかったけれど。

という不満はあるが、アクションはそこそこおもしろいから、見て損したというほどでもない。くらいの湯加減であった。

ところでbody horror

ちょっと思いついたからついでに書きます。

body horrorという言葉は日本ではあまり根づいてないみたいだが、英語圏のホラーファンはこのワードをよく使う。定義があいまいだから、日本では定着しないのだろうか。実存主義の文学を引用してbody horrorを説明する人もいるから、むずかしく思えるが、と同時に、「〇〇はbody horrorだよね」なんて言い方でパッと友達になれて便利な言葉でもある。

body horrorといえば、『ザ・フライ (1986)』や『鉄男 (1989)』がよく挙げられるが、つまり、あんな風に、肉体に異物が侵入(or 合体)し、グロテスクな描写が多用されるようなホラー映画がbody horrorなのかというと、それだけでは定義が広すぎる。それでオッケーならそこらへんのゾンビ映画はぜんぶあてはまってしまうではないか。Wikipediaでは極めて簡素に定義されているが↓

私としては、もう少し意味を狭めたい。body horrorたるもの「肉体が変異する or 肉体に異物が侵入する」という点に加え、こんな限定枠を設けるとしっくりくるように思う↓

「侵入した異物(or 異体と化した肉体)はとろけるように融合し、そのさまにはフェティッシュな情緒が表現されており、肉体が変容する過程を執拗に描きつつも、その主眼は、人間の精神臨界点を描くことに意欲が注がれている」

最近の例でいうと『アンチヴァイラル (2012)』とか。「フェティッシュな情緒ってなんだ?」とか「精神臨界点ってなんだ?」と突っ込まれてもうまく説明できないからさ、あんまり訊かないでほしいんだが、かようにあいまいであるものの、確固とした領域として存在しているのがbody horrorというジャンルなのである。

※誤解のないように申し添えておくが、このようなジャンルを示す言葉の意味は人によって多少の差異はある。でもだいたい一致するよね。

さて、『Antisocial (2013)』はbody horrorではなく、チョットbody horror風くらいである。この映画では肉体に異物が侵入するけれども、侵入される側にとって、それは『嫌悪すべき毒物』でしかない。人間とウィルスが融合し精神世界が糜爛していく、なんて展開はなく、その方面を目指したかったのかなと思わせる描写はチョッピリあるが(死者の目がカメラのようになって映像を送り続けている場面とか)、基本的に、この映画におけるウィルスは単なる異物である。

そこが私には残念に思えたんだが、そもそもの話、この映画の制作者はそんな方向性を求めていないのだろう。だからしょうがないですね。自分の好みに合わないからといって怒っていたら、それこそ発狂したと思われてしまいます。

ところで、余談だが、つい最近「body horrorの神髄を見よ」的な映画を観た。これはたいへんけっこうなので、近々記事をアプします。また読んでください。

US版DVDが発売中

  • Audio Commentary with Director/Writer Cody Calahan and Cinematographer Jeff Maher
  • Behind the Scenes Featurette
  • Photo Gallery

この映画のDVDはCCつき↓

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原題: Antisocial
制作年: 2013年
制作国: カナダ
公開日: 2013年7月31日 (カナダ) (Fantasia Film Festival)
2013年8月25日 (イギリス) (Film4 FrightFest)
2013年9月6日 (オーストラリア) (Sydney Underground Film Festival)
2013年9月25日 (カナダ) (Calgary Film Festival)
2013年10月9日 (カナダ) (Vancouver International Film Festival)
2013年10月27日 (フランス) (Samain du Cinema Fantastique)
2013年11月26日 (オーストラリア) (Monster Fest)
2013年12月13日 (カナダ) (limited)
2014年1月27日 (イギリス) (DVD)
2014年1月28日 (アメリカ) (DVD)
2014年2月21日 (ドイツ) (Blu-ray & DVD premiere)
2014年4月22日 (カナダ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: Antisocial
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
Makeup
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