2013/7/16 (Tue) at 9:13 am

映画|THE サスペリア 生贄村の惨劇|Jug Face

穴ボコの神様に生け贄を捧げるホラー映画。ローレン・アシュリー・カーターショーン・ブリジャースショーン・ヤングラリー・フェセンデン。特殊メイク ロバート・カーツマン。監督チャド・クロウフォード・キンクル。2013年。

THE サスペリア 生贄村の惨劇 / Jug Face DVDDVD画像

どっかの森。

古来より伝わる『穴ボコ教』を信じる人たちが、小さな共同体をつくり、ひっそりと暮らしている。

この村の森には穴がある。人間がひとり入れるくらいの小さな地面の穴で、底に少し水が溜まっている。パッと見、ただの穴ボコである。しめ縄や守り神の石像などがあるわけでないから、知らないひとが通りがかったら、特に見向きもしないだろう。

ところが、村人たちにとっては、霊験あらたかな『穴様』。穴に入って泥水を浴びると病気が治癒するとか、ありがたい御利益があるが、それと引き換えに、生け贄を捧げなければならない。

村には、焼き物をやっている陶芸家(ショーン・ブリジャース)がいるんだが、この男は『穴様』のご神託を授かる巫女さんのような役割を与えられている。彼が土をこね、人間の顔を模した壷をつくり、釜に入れて焼くと、次の生け贄になるべき人物の顔が出てくる。こんなの↓

映画|ジャグ・フェイス|Jug Face (29) 画像
題名のJug Faceてのはこういう壷のことです

生け贄に選ばれたら、それが愛する家族だろうが、文句をいわずにブッ殺し、血を捧げなければならない。そうじゃないと『穴様』が怒っちゃうから。

こんなブッ飛んだ設定であるが、他にもいろいろと驚く点がある。彼らは独自のやり方で婚姻をする。男と女がいっしょになるのを『結婚(marriage)』でなく『結合(join)』と呼ぶ。娘が年頃になると、同じ年頃の息子を持つ家から「そろそろjoinしますか?」とお誘いがくる。joinされた男女は村の人たちから「たくさん子供をつくれ」と祝福され、夫婦になる。

こんな話をすると「そいつらは土人なの?アマゾンの話?」と想像する人が多いだろうが、そうじゃないんですよ。この人たちが暮らすのは、アメリカのどっかの森。田舎ではあるが、文明から隔絶されているわけではない。普通の家に住んで、テレビや洗濯機もある。彼らは定期的に町を訪れ、密造酒(なのかな)を売って、生活に必要な物を手に入れている。

なんというへんな設定でありましょう。

前置きが長くなったが、この映画の主人公はエイダさんという若い娘である(『The Woman』に出ていたローレン・アシュリー・カーター)。彼女には、優しいパパ(ラリー・フェセンデン)、優しいけど怒るとこわいママ(ショーン・ヤング)、そして兄(ダニエル・マンチ)がいる。あと、手のかかる痴呆おじいちゃんもいるんだが、エイダさんが進んでめんどうを見ているから、心の優しい娘さんである。

ある日、彼女にjoin(つまり婚姻)のお誘いがきた。相手は近所に住む普通のアンちゃん(Mathieu Whitman)。本来ならば村のしきたりに倣ってヨメにいくところだが、その直後に、びっくりすることが起きる。彼女は「次の生け贄は自分!」と知ってしまった。パニクった挙げ句、壷を隠してしまう。

これだけでも心の重圧であるが、エイダさんの悩みは他にもある。彼女は兄と近親相姦しており、妊娠したと知る。こんなヤバい話は誰にも相談できない。口数が少なくなり、悪い夢を見ているような顔になってくる。

そうこうするうち、穴の祟りでバタバタと死人が出る。彼女の両親や他の村のひとたちは、『穴様』のご神託を授かる陶芸家に問う。「ちゃんと生け贄を捧げているはずなのにへんだ。おまえ、なにか知ってる?」とかいう。彼は答えられない。自分が焼いた壷をなくしてしまったから。

エイダさんはますます悶々と悩む。そして、ついに村から逃げ出す決心をするのであります。

トレイラー動画

Jug Face (2013) trailer

感想

じつに面妖です。ぜんぜんアメリカっぽくない。このような土着信仰(アニミズムみたいなの)はアジアの得意技だと思っていたので、アメリカ人がこんな風にサラッと描くなんて不思議です。村で誰かが死ぬと、おばあさんが「ぶおーん」と角笛を吹くんですよ。山伏みたいなの。柳田國男が生きていたらなんていうでしょう!

『寝ててもわかるハリウッド映画』が当たり前だと思っていると、この映画は少々わかりづらいかもしれません。説明ヌキでお話が進んでいくからです。婚姻の意味でいきなり「join」というワードが出てくるし、『壷の顔に似てるひとが次の生け贄』というシステムを理解するのに難を要しました。

でも、私的には、このつくりは好きです。説明をほったらかして、「こういうもんなのだ!」という調子でやられると、観客はあっけにとられてしまい、「異質だなあ」というきもちがことさら強くなる。そんな効果があるように感じられました。

この村の人たちは暴力的でなく平和的な雰囲気ですが、でもやはり不気味です。理解不能なものを信仰している集団ってこわいじゃないですか。もし森で道に迷ってこんな村にたどりついたら。なんて想像をしながら観るとどきどきしますよ。

ラリー・フェセンデンが出ている(または絡んでいる)映画はひと味ちがうと私は常々思っているのですが、またひとつ新たな事例が追加されました。

また、この映画のプロデューサーであるロバート・トニーノアンドリュー・ヴァン・デン・ハウテンは、『隣の家の少女 (2007)』『襲撃者の夜 (2009)』『ザ・ウーマン (2011)』といった、一連のジャック・ケッチャム映画の制作をてがけています。という点からして、日本でも売りやすそうなかんじがするので、きっといつか日本版が出るんじゃないのかなhopefully。

でも作風はぜんぜんちがいます。ロバート・カーツマンが特殊メイクをやっているから、ゴア描写はよくできていますが、そういう場面は少ないです。ゴアゴアを楽しむ映画ではなく、『穴ボコ教』を信じるへんな村を見物するのがメインのホラー映画です。

US版は10月にリリース予定

私は『THE サスペリア 生贄村の惨劇 (2013)』をiTunes USで観ました。US版Blu-Ray/DVDは2013年10月にリリース予定だそうです↓

監督さんに質問をしてみた

私、この映画にたいへん興味を覚えたので、twitterでチャド・クロウフォード・キンクル監督に質問をしたら、丁寧に答えてくれました。感激。

my question: Just watched JUG FACE. It was so strange experience. I believe you've been asked many times but how did you come up this idea? I'll be able to get answers by asking google but I'd like to hear from your mouth if you don't mind.

質問「Jug Faceを見ました。とても奇妙な体験でした。きっと監督さんは同じ質問をたくさん受けたと思いますが、どうやってこのアイデアを思いついたのですか。ネットで検索すれば答えがわかるかもしれませんが、直に教えてほしいのです」

いいですよ。南部にあるFolk Pottery Museumでface jug(人間の顔を模した壷みたいなの)を初めて見て、このアイデアを思いつきました。

※たぶんコレだと思います↓

my question: From what I felt in my heart, it was so Asian. Don't get me wrong. There's no such religious around here as far as I know but.. It is hard to tell exactly what it was but I'm certain I felt a little something familiar in my blood. I am a Japanese.

質問「私が感じたままをいうに、アジア風の印象を受けました。いえ、このような風習がアジアにあるという意味ではなくてですね、そんなのは聞いたことはないですが、言葉で説明するのがむずかしいのですが、なにかこう、自分の血液に流れるものをピピッと感じたのです。私は日本人です」

それはじつに興味深いです。私はずっと日本の文化を好きだから、それが私の意識にしみ入るような作用が働いたのかもしれないです。

my question: Thanks so much for answering my question! I'm in the middle of writing my review. I'll let you know when I finished. Can I ask U one more? I'm a big fan of Larry Fessenden. He was awesome as always. So do U have story to share with his fans?

質問「質問にお答えくださり、ありがとうございます。いまレビューを書いているから、できたらお知らせします。もうひとつ訊いていいですか。私はラリー・フェセンデンの大ファンです。彼はいつも通りよかったです。彼のファンが喜ぶようなネタ話をしゃべってください」

おもしろい話ってのは特にないけど、ラリーは撮影のあいだじゅう私のお気に入りでした。彼はすばらしい。私は彼のためならなんでもします。

こんなに丁寧に答えてくれると思わなかったのでうれしかったです。チャドさん、ありがとう。

Chad, thank you so much for kindly answering to all my questions. I'm hoping your film could get released in Japan sooner. I'm pretty sure that Japanese audience should be excited when it happens.

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原題: Jug Face
別題: The Pit
制作年: 2013年
制作国: アメリカ
公開日: 2013年1月23日 (アメリカ) (Slamdance Film Festival)
2013年3月29日 (アメリカ) (Boston Underground Film Festival)
2013年4月1日 (フランス) (Mauvais Genre Film Festival)
2013年4月20日 (アメリカ) (Nashville Film Festival)
2013年4月26日 (イギリス) (Dead by Dawn Film Festival)
2013年4月26日 (イギリス) (Dead by Dawn Horror Film Festival)
2013年6月4日 (スペイン) (Nocturna, Madrid International Fantastic Film Festival)
2013年7月8日 (アメリカ) (VOD)
2013年8月9日 (アメリカ)
imdb.com: imdb.com :: Jug Face
監督
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プロデュース
シネマトグラフィ
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