映画| アウトレイジ・ワールド|Rites of Spring
ネーチャン拉致監禁スラッシャー/身代金目的誘拐事件/地下から蘇る怪物さん。意外な取り合わせのホラー映画。アネッサ・ラムジー、AJ・ボーウェン。監督パドレイグ・レイノルズ。2011年。
1984年。
ミシシッピークイーンのカワイコちゃんを含め、5人のティーンが行方不明になった。以後24年間、春になると若い娘が失踪する事件が相次いだ。死体は発見されず。
2008年3月。
レイチェルさん(アネッサ・ラムジー)とアリッサさん(ハンナ・ブライアン)は、バーを出たところで何者かにがつんと襲われ、誘拐される。
キラー(マルコ・セント・ジョン)は自分ちの納屋に彼女たちを拉致監禁。ふたりを吊るし、ナイフでぐりぐり。ふたりはギャーギャーわめく。
このキラーは、普通のホラー映画に出てくる『快楽的殺人者』とは趣が異なり、なにか目的があるらしい。その理由は徐々に明かされるが、映画の冒頭でさりげなく暗示されています。
ま、しかし、殺される方にしてみれば、理由なんかどうでもいい話である。ふたりは涙目で励まし合う。結果、アリッサさんは殺されてしまうが、レイチェルさんは、うんとがんばってファイト一発。スタコラ逃げ出す。やったー!
と思ったら、地下からへんな怪物がぐわーんと出てくるではないか。ひぃい。なんすかこれ。
怪物さんはバケモノ顔で、その体躯はレスラーのように大きく、汚い布を身にまとっている。フランケンシュタインかミイラ男みたい。そいつが巨大オノを手に持ち、ズダーンと攻撃してきやがる。でかいくせに動きが俊敏。そして凶暴。
一難去ってまた一難のレイチェルさんは逃げる逃げる。
こんな大事件が起きているあいだ、別の場所では、とある悪人団が身代金目的の誘拐を実行していた。
彼らはマスクで顔を隠し、金持ちの家に押し入った。家に現金がないのは承知。おそれおののく主人(ジェイムズ・バーツ)に「娘を連れていく。身代金を用意しろ」と言い、さんざん脅し、少女(スカイラー・バーク)を連れ去った。
誘拐が目的ならば、娘を道端でヒョイとさらえばいいではないか、そっちの方が簡単ではないか、という気もするが、映画的には、こんなバイオレンスがあった方がいいのである。
誘拐団は潜伏アジトから父親に連絡。カネの受け渡し方法を指示する。ところが、この父親ってのがキモの座った男で「悪人どものいいなりになってたまるか」つって、誘拐団のウラをかいて反撃する。金持ちパパはなかなかやるではないか。
と思ったら、意外な出来事が起きて、またまた形勢逆転。そこに、前述のレイチェルさんが「たすけてー」と逃げ込んでくる。彼女を追って、怪物さんもやってくる。
誘拐犯も、金持ちパパも、気の毒娘も、めまぐるしい展開に目をぱちくり。わーわー。オノがズダーン!
トレイラー動画
邦題は『アウトレイジ・ワールド』
追記。この映画は邦題『アウトレイジ・ワールド』にて、2013年5月2日、レンタル開始予定だそうです。
メールをくれたひとありがとう。
DVD発売は2013年5月24日↓
感想
- びっくりした。
- twistがおもしろい。
- 伏線の張り方がうまい。
- レイチェルさん、がんばれ!
よくあるスラッシャー映画なんだなという湯加減で始まるんだが、その先はすごく意外でおもしろかった。誘拐殺人と身代金強奪が同時進行し、後半で2つのお話が合流するんだが、それは、単に、ネーチャンが逃げた先に誘拐団がいた、というだけではないのです。このtwistはよく練られている。
スラッシャー映画てのは「なにがなんでもブッ殺す!細かいことは気にすんな!」てのが多いじゃないですか。ズダーン!どかーん!ウギャー!みたいな。でも、この映画は、いつも見馴れている単細胞ホラーとはひと味ちがう。
レイチェルさんがすごくよかった。彼女は駐車場で襲われ、拉致監禁され、目の前で友達がブッ殺され、ファイト一発逃げ出したと思ったら、怪物に襲われ、ひーこら逃げたら、誘拐団にとっつかまる。逃げる逃げる。すばらしい絶叫クイーンだった。こんな娘はホラー界の財産です。
レイチェルさんは絶叫がいいだけでなく、心の優しい娘さんなんですよ。映画の冒頭。バーのシーン。彼女は同僚アリッサに悩みを打ち明けていました。
彼女は仕事上のミスを誰かになすりつけ、そのせいで誰かが首になったらしい。が、それは犯罪と呼べるようなものではなく、サラリーマン社会ではありがちな『ちょっと汚い手』的なものだったらしいが、彼女はすごく悩んでいる。首になったひとがかわいそうだから。
悩んだ末「やっぱりぜんぶ話す。わたしが首になってもいい」てなことをいう。そんな話をしていたところで誘拐されちゃったんだが、じつは、その場面の会話が、後に起きる出来事と絡んでいたなんて、私、夢にも思いませんでした。
怪物ですか。こいつはとにかくアグレッシブに襲いまくる凶悪な相手です。『素早くなったビクター・クロウリー』ってかんじですかね。でかいくせに動きが速いの。迫力ある。
ゴア描写はあまりないが、それを補うおもしろさがある。スリリングな展開にハラハラするよ。特に、最後のへんの、車の中に逃げ込んだレイチェルさんをドッカーン!と襲う場面はすごかったです。ダイナミックでうまい。みんなも観よう。
怪物さんはワームフェイス(Wormface)
この怪物は『ワームフェイス』というそうです(映画の中ではそのようなワードは出てこなかったけど)。クリーチャー造形はアーロン・シムズ。ワームフェイスが出現する動機は映画の中で明かされましたが、謎が多く、その由来や背景などはぜんぜんわからない。
Bloody Disgustingのインタビューによれば↓
パドレイグ・レイノルズ監督はパート2をやるきまんまん。もし次が実現したら、ワームフェイスの謎が明かされるそうな。この怪物は迫力満点だし、ポテンシャルを秘めていると思うんで、シリーズが進んだら、スリーフィンガーやビクター・クロウリーのような有名キャラに育つかもしれません。
DVDのオマケ
US版DVDのオマケはこれだけ↓
- Commentary
- Storyboards
- Poster Designs
- Worm Face Art Work
- Sales Trailer
- Trailer
オマケはスティルばかりでそう大したもんはないが、コメンタリがおもしろい。以下のみなさんがしゃべっています。パドレイグ・レイノルズ監督、レイチェルを演じたアネッサ・ラムジー、誘拐犯のひとりのベンを演じたAJ・ボーウェン、プロデューサーのE・トンプソン。
ホラー映画ではおなじみのコーン畑を逃げ回るシーンがあるんだが、アネッサ・ラムジーがいうに「コーンの葉っぱはシャープだから、こんなところを走るのは危ないよ」だそうです。そうだったのか。他にもいろいろ教えてもらえるよ。
この映画のDVDは英語字幕つきだが、コメンタリは字幕ナシ↓
ネタバレです
!!!! SPOILER ALERT !!!!
!ネタバレ注意!
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Rites of Spring | |
Rites of Spring Tavaszi vérszomj Os Ritos da Primavera | |
『アウトレイジ・ワールド』 | |
2011年 | |
アメリカ | |
2011年10月22日 (アメリカ) (Screamfest Film Festival) 2012年7月27日 (アメリカ) (New York City, New York) 2012年7月27日 (アメリカ) (Video On Demand) 2013年5月10日 (ドイツ) (DVD) | |
imdb.com :: Rites of Spring |
- Padraig Reynolds :: パドレイグ・レイノルズ [imdb] (screenplay)
- AJ Bowen :: AJ・ボーウェン [imdb] (Ben Geringer)
- Anessa Ramsey :: アネッサ・ラムジー [imdb] (Rachel Adams)
- Sonny Marinelli :: ソニー・マリネリ [imdb] (Paul Nolan)
- Katherine Randolph :: キャサリン・ランドルフ [imdb] (Amy)
- James Bartz :: ジェイムズ・バーツ [imdb] (Ryan Hayden)
- Shanna Forrestall :: シャンナ・フォレスタル [imdb] (Gillian Hayden)
- Andrew Breland :: アンドリュー・ブレランド [imdb] (Tommy Geringer)
- Hannah Bryan :: ハンナ・ブライアン [imdb] (Alyssa Miller)
- Sarah Pachelli :: サラ・パチェリ [imdb] (Jessica)
- Skylar Burke :: スカイラー・バーク [imdb] (Kelly Hayden)
- Marco St. John :: マルコ・セント・ジョン [imdb] (The Stranger)
- John Evenden :: ジョン・エヴェンデン [imdb] (Karmanor / Worm Face)
- Amile Wilson :: アミル・ウィルソン [imdb] (Karmanor / Worm Face)
- Jocelyn Amos [imdb] (Newscaster)
- Grady Champion [imdb] (Bartender)
- Edward Saint Pe' [imdb] (Weatherman)
- Victoria Massey [imdb] (Store Clerk)
- Jeff Nations [imdb] (Karmanor / Worm Face)
- Bobby Benton :: ボビー・ベントン [imdb] (executive producer)
- Wes Benton :: ウェス・ベントン [imdb] (producer)
- John Norris :: ジョン・ノリス [imdb] (executive producer)
- Luke Ricci :: ルーク・リッチ [imdb] (line producer)
- E. Thompson :: E・トンプソン [imdb] (producer)
- Aaron Peak :: アーロン・ペアケ [imdb] (colorist: Hollywood-DI / digital effects artist / end titles)
- Aaron Sims :: アーロン・シムズ [imdb] (character design)
- Neil W. Smith :: ニール・W・スミス [imdb] (digital intermediate supervisor: Hollywood-DI)
- Toby Sells :: トビー・セルズ [imdb] (special effects)
- 'Puppet' Chris Brown [imdb] (creature special effects makeup artist: Toby Sells Creature Makeup Fx Shop)
- Josh Russell :: ジョシュ・ラッセル [imdb] (special makeup effects artist)
- Toby Sells :: トビー・セルズ [imdb] (special makeup effects artist: Toby Sells Creature Make up FX Shop / special makeup effects designer: Toby Sells Creature Make up FX Shop)
- Amanda Bowman [imdb] (hair stylist and assistant makeup artist)
- Georgia Jacobs [imdb] (key makeup artist)
- Mark James Ross [imdb] (makeup FX shop foreman: Toby Sells Creature Make up FX Shop / special makeup effects artist: Toby Sells Creature Make up FX Shop)