2012/10/27 (Sat) at 10:45 pm

映画|ザ・トンプソンズ|The Thompsons

呪われた血族兄弟を描いた家族ドラマ的ホラー映画『パニック・ゲーム (2006)』に続くPART2。コーリー・ナウフエリザベス・ヘンストリッジマッケンジー・フィーガンスライアン・ハートウィグ。監督ブッチャー・ブラザーズ(ミッシェル・アルティエリ + フィル・フローレス)。2012年。

ザ・トンプソンズ / The Thompsons DVDDVD画像

ネタバレ注意!

このエントリには前作『パニック・ゲーム (2006)』のネタバレが含まれます。

ここはイギリス。

ロンドン北東の寂しい田舎道。5人兄弟の三男、フランシス(コーリー・ナウフ)がひとりでドライブ旅行中。他の兄弟はどうしたのであるか。

前作『パニック・ゲーム (2006)』をざっとおさらい。こんなお話でした↓

人にいえない秘密を抱える4人兄弟。彼らはじつはヴァンパイア血族であり、生きるためにだれかを拉致監禁 → 吸血 → バレそうになると夜逃げ → 別の名前で別の土地に移り住む、という調子で、人目を避けて生きているんだが、末っ子フランシスだけはそれが嫌で、兄たちに反抗する。が、結局、彼もまた自らの運命を受け入れる。兄弟の絆は深まる。呪われた血族の家族愛を描いた奇妙なドラマ。最後にちびっこ坊やが出てきて、じつはもうひとりいたんですよ。

本作PART2のタイトル『The Thompsons』は前作ラストの台詞と繋がっている。またもや引っ越しするはめになった兄弟たちが旅に出、新しい家に引っ越す。こんどの名前はThompsonという、その場の思いつきのような台詞がそのまま続編のタイトルになった。

パニック・ゲーム』てのは意味不明のピンボケ邦題ですが、原題を見ればわかりやすい。『The Hamiltons』の次は『The Thompsons』てわけで、こんな調子ならいくらでも続編をつくれそうですね。

さて、この続編では、フランシスがイギリスの片田舎で一人旅をしている場面から始まる。彼はまた兄たちと喧嘩したのだろうか。ということはなく、じつは家族を守るために単独行動をしているのであり、込み入った事情があるのです。

前作の後、彼らは末っ子レニーも加わって仲良く暮らしていたが、不幸な出来事から、ポリスに追われるお尋ね者になった。ヨーロッパに逃亡するが、国際指名手配されているから、どこにいっても気は休まらない。ひとりは重傷。

このピンチにおいて、彼らはロンドンとパリに分かれて潜伏していたが、ロンドン郊外のルドロー(Ludlow)ていう町に助けてくれるアテがあるとわかったんで、フランシスだけが偵察目的でやってきたのある。

フランシスはみんなの期待を背負ってここまでやってきたが、彼が知る手がかりはMandersonという名前だけ。そこにいけば自分たちと同じ血族の連中がいて助けてくれるという話なんだが、おとぎ話のようであり、フランシス本人も半信半疑である。結局のところ、目当ての相手に会えたのだが、これが予想を覆す悪人どもで、フランシスと兄弟たちはまたまたピンチに陥ってしまう。

4人兄弟を演じるのは前作と同じみなさん。

コーリー・ナウフ演じるフランシスは、前作においては、気弱な繊細少年だったが、ずいぶん大人っぽくなった。サラッとした雰囲気の男前アンちゃんである。

サミュエル・チャイルド演じる長男デヴィッドは、前作においては「おれが家族を守らねば」という義務感に駆られ、あまりに封建的な性格ゆえに、しばしば摩擦を引き起こしていたが、あの頃と比べるとずいぶん穏やかな顔になった。彼が優しくなったのは、フランシスが成長し、より兄弟の絆が深まったからであろう。

ジョセフ・マッケラー演じるウェンデルと、マッケンジー・フィーガンス演じるダーレーンは双子であるが、こいつらは相変わらずのアーパーぶりであり、ピンチになってもパーティをやっています。

本作『The Thompsons (2012)』では、ダーレーンがわるもんに狙われてえらいことになる。兄弟の中で唯一の女である彼女は繁殖目的に狙われるのであるが、いくら彼女がエッチ好きだといっても、子宮マシンのように扱われるのはごめんであるから、ギャーギャーわめく。他の兄弟たちは彼女を守るためにがんばる。

新キャスト、末っ子のちびっこ坊やレニーを演じるのは、ライアン・ハートウィグ。彼は一家のマスコット的存在で、兄姉にかわいがられている。ライアン・ハートウィグは、この前レビューを書いた『キッズ・リベンジ (2012)』もよかった。彼はホラー子役としていいポジションをつかんでいますな。子役で通用するのはあと2、3年かなと思いますが。

フランシスを助けてくれるカワイコちゃん、ライリーを演じるのは、エリザベス・ヘンストリッジ。わるもん軍団に、ダニエル・オメアラセリーナ・ジルズSean BrowneTom Holloway。といったみなさんが登場します。

兄弟たちの闘いは自分たちのルーツを知る旅でもある。一連の出来事を通じ、フランシスは死んだ父母を思い出し、両親がなぜ子供たちに過去を語らなかったのか、その理由を知るのであります。

トレイラー動画

The Thompsons (2012) trailer

感想

ブッチャー・ブラザーズ(ミッシェル・アルティエリ + フィル・フローレス)の映画をご覧になったことがある方はご承知と思いますが、この監督の映画はホラー映画に分類されるものの、ジャンルを超越した不思議な雰囲気の映画ばかりです。いつも『理解されにくい人々』の視点を描いている。

音楽や台詞や編集等に、観客を選ぶ独特の風合いが感じられ、J・T・ペティ監督の微妙さと似ているかんじもします。いや、作風は違うのですが、なんとなく、同類っぽいというか。へんな邦題をつけられて日本では日の目を浴びないという点も同類臭い。

この映画はフランシスがいきなり大ピンチの場面から始まり、彼のナレーションが流れ「ぼくがこんな目に遭ってるのはわけがあるんですよ。じつはね」なんつって、チョイ戻りして、あー、そうだったんですか、とわかり、そのまた先で、もっと前に戻る、という調子で、時系列がいったりきたりで進行するんですが、編集がうまくされているから、混乱などすることはありませんでした。

パニック・ゲーム (2006)』のときと比べ、兄弟たちがずいぶん仲良しになったなあとおもいました。それゆえに、彼らがピンチになるとすごくハラハラしました。フランシスは男前になったし、末っ子のレニーくんはかわいいです。

兄弟の両親は、かつて子供たちのことを考えて世間から隔絶して暮らしていましたが、その頃、母は昔のことは絶対いわなかったそうです。だから子供たちは自分たちのルーツをまるで知らなかった。

フランシスはその点に思いを馳せ「ファミリーの歴史は語られるものでなく、新しくつくるものであると思っていたのかな。だからママはぼくたちにいわなかったのかな」と亡き母の心境を想像します。んで、エンディングになると、彼は再び母を思いだす。そして「ぼくたちはこれから歴史をつくっていこう」みたいなナレーションが流れ、new beginnningの余韻を残して終了します。感動しちゃったじゃないか、くそ。

DVDのオマケ

監督コンビ『ブッチャー・ブラザーズ』The Thompsons ブッチャー・ブラザーズ

私が持ってるのはUK版でオマケがこれだけ入っています↓

  • Relocating The Family
  • Scribed In Blood
  • Humans To Monsters
  • Awakening The Project
  • Families
  • Ringlestone Inn

英語字幕つきです。こちら↓

US版は12月31日にリリース予定です↓

UK版の方がパケがかっこいいし、安いからいいと思う。

Memorable Quoates

Francis: Before they died, our parent raised us out on a farm secluded from everything. They tried to protect us from the world because we were different, but I was starting to see it was the world that needed protecting from us. Our mother never really talked much about her past. She thought we should just... create our own story, instead. Maybe she was right. We were on our own now and things couldn't stay the same.

woman at the bar: You're monsters! Monsters!
Francis: Yes, we are. There's one thing I left out. We need blood to survive. Our disease makes us kill to live. We're that kind of monster. We never lost control before. And this time we had nowhere else to run.

Riley Stuart: You feel cursed because you were born with it. I feel useless beause I was born without it.

Riley Stuart: I used to think that we could only live in a certain way, with malice in our hearts... until I met you. I don't want this story to end as a tragedy.
Francis: I like Westerns. We could ride off into the sunset together.

Francis: As we try and find our place in the world, all we have is each other, and a disease that will forever follow us. I understand what I am now, where I belong. And even though we need blood to survive, it's not blood we're bound by, or even what keeps us alive. It's family that gives us life. And it's our family that will ultimately let us know where w belong. This is our story. And even if we don't realise where it will end, or even if it's just beginning, we do know we're always travelling towards home.

ネタバレです

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原題: The Thompsons
別題: Tompsonovi
Oi Thompsons
制作年: 2012年
制作国: アメリカ/イギリス
公開日: 2012年10月15日 (イギリス) (DVD)
2012年11月7日 (イタリア) (DVD)
2012年12月31日 (アメリカ) (DVD)
imdb.com: imdb.com :: The Thompsons
監督
脚本/原案
出演
プロデュース
音楽
シネマトグラフィ
編集
キャスティング
プロダクション・デザイン
アートディレクション
衣装デザイン
視覚効果(Visual Effects)
特殊効果(Special Effects)
Makeup
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